バイオベンチャーの違いを数字で比較

カテゴリ:バイオ業界
ES研究所 2018年10月15日

シャーレ 粉

ここでは日本の有名バイオベンチャーの

  • ・そーせいグループ(以下:そーせい)
  • ・ユーグレナ
  • ・ペプチドリーム
  • ・タカラバイオ

の4社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージではなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 主要子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. コスト&研究開発費の比較
  6. 従業員1人あたりの売上&利益の比較
  7. 事業セグメントの比較
  8. まとめ
  9. 志望動機として使えそうな点

①主要子会社・関連会社の比較

表24
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②事業規模の比較(単位:百万円)

表7

売上 順位

  • 1位:タカラバイオ
  • 2位:そーせい
  • 3位:ユーグレナ
  • 4位:ペプチドリーム

純利益 順位

  • 1位:そーせい
  • 2位:ペプチドリーム
  • 3位:タカラバイオ
  • 4位:ユーグレナ

売上高に関しては独走態勢のタカラバイオですが、純利益となるとかなり順位を落として売上高では雲泥の差を見せつけたペプチドリームにさえ負けています。

純利益で独走しているのはそーせいで、ユーグレナについては売上高こそそこそこあるものの純利益は現状最下位ということになっています。

③安全性の比較

表12

流動比率 順位

  • 1位:タカラバイオ
  • 2位:ユーグレナ
  • 3位:ペプチドリーム
  • 4位:そーせい

自己資本比率 順位

  • 1位:タカラバイオ
  • 2位:ペプチドリーム
  • 3位:ユーグレナ
  • 4位:そーせい

あまり比較になりませんが、ひとまず言えるのがそーせい以外は異常なまでに資本が充実しているということです。

そーせいに関しても相対的に見れば見劣りがしますが絶対水準ではまあまあ普通くらいの財務基盤は有しているようです。

④利益性の比較

表27

純利益率 順位

  • 1位:ペプチドリーム
  • 2位:そーせい
  • 3位:ユーグレナ
  • 4位:タカラバイオ

純利益率はペプチドリームとそーせいが異常に高いようです。

ユーグレナとタカラバイオはどっこいどっこいといった印象。

ネットFCF 順位

  • 1位:タカラバイオ
  • 2位:ペプチドリーム
  • 3位:ユーグレナ
  • 4位:そーせい

ただタカラバイオ以外は自由資金が残っていません。

タカラバイオもそこまで余裕がある訳ではないようです。

実質設備投資/営業CF 順位

  • 1位:タカラバイオ
  • 2位:ペプチドリーム
  • 3位:そーせい
  • 4位:ユーグレナ

いずれにせよバイオベンチャーは設備投資にかなりのお金がかかるようです。

特にユーグレナはムチャクチャにお金を使いまくっています。

在庫回転率 順位

  • 1位:そーせい
  • 2位:ペプチドリーム
  • 3位:ユーグレナ
  • 4位:タカラバイオ

そーせいとペプチドリームは在庫を持たずにライセンス契約などで売上を挙げることから在庫回転率が異常に高くなっています。

ちょっと特殊なケースなので今回はこの項目は一概に比較し辛いです。

⑤コスト&研究開発費の比較

表13

販管費/売上 順位

  • 1位:ペプチドリーム
  • 2位:そーせい
  • 3位:タカラバイオ
  • 4位:ユーグレナ

研究開発費/売上 順位

  • 1位:ユーグレナ
  • 2位:ペプチドリーム
  • 3位:タカラバイオ
  • 4位:そーせい

全体的にペプチドリームのコスト効率の良さが目立ちます。

そしてそーせいは他社に比べて売上のかなりの割合を研究開発費に投じているようです。

⑥従業員1人あたりの売上&利益の比較

表28

売上/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:そーせい
  • 2位:ペプチドリーム
  • 3位:ユーグレナ
  • 4位:タカラバイオ

事業規模では圧倒的なトップだったタカラバイオですが、個人換算すると最下位ということになります。

そして事業規模では2位だったそーせいがここではトップに立っており、ペプチドリームがそれに続きます。

営業利益/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:そーせい
  • 2位:ペプチドリーム
  • 3位:ユーグレナ
  • 4位:タカラバイオ

営業利益に関してもそーせいとペプチドリームがダントツの数値を記録しています。

1人あたり営業利益/売上 順位

  • 1位:ペプチドリーム
  • 2位:そーせい
  • 3位:タカラバイオ
  • 4位:ユーグレナ

ただ営業利益率に関してはペプチドリームがそーせいを抑えての1位です。

タカラバイオとユーグレナはそれぞれ3位と4位ですがそれなりの営業利益率を記録しているので、ペプチドリームとそーせいは異次元の営業利益率ということになります。

⑦事業セグメントの比較

そーせい

表25
表11
表21

国内医薬
医薬品の研究開発・販売、ナノ粉砕化技術による医薬品開発、再生医療ファンドの運営、日本国内の再生医療関連のバイオベンチャー企業への投資
海外医薬
ライセンス等による海外開発・事業化推進、GPCRの構造解析・初期のリード化合物の創出・独自開発のStaR技術による候補品探索、GPCR関連基盤技術を利用した新規医薬品の構造ベース創薬・スクリーニング・抗体医薬研究開発の促進

なんというかもはやこの会社は海外の会社と言えそうです。

むしろ日本で事業を継続しない方が今後のためになるかもしれません。

ユーグレナ

表30
表2
表17

ヘルスケア
ユーグレナを活用した食品製造販売及び化粧品製造販売
エネルギー・環境
ユーグレナを活用したバイオ燃料開発等

「ヘルスケア」でそれなりに稼いでいることがわかります。

そして暫定的にリストラ対象となりうるのが「エネルギー・環境」です。

売上においてはあまり比重を占めていませんが、営業利益を割と圧迫しているので早急なテコ入れが必要と思われます。

ペプチドリーム

表8
表18
表4

アライアンス
独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPSを活用して、国内外の製薬企業との共同研究開発のもと、新しい医薬品候補物質の研究開発を行っている

単一セグメントなので比較のしようがありませんが、とにかく異次元の営業利益率の高さがこの会社の売りなようです。

タカラバイオ

表16
表14
表26

バイオ産業支援
遺伝子工学・細胞工学の基盤技術、研究支援、理化学機器、受託サービス、CDMO事業、産業支援
遺伝子医療
研究用試薬などの開発において培ったコアテクノロジーである遺伝子工学技術の応用分野として、遺伝子治療や細胞医療などの先端医療技術の開発に注力し、その商業化を目指した事業展開をはかっている
医食品バイオ
グループ独自の先端バイオテクノロジーを駆使して食物の科学的根拠を明確にした機能性食品素材の開発、製造および販売を行う

他社と違って割と様々なセグメントを有していますが、内容を見る限りでは「バイオ産業支援」の一本足打法のようです。

「医食品バイオ」はここ2年間は稼げるようになってはきているものの、「遺伝子医療」は事業としてはボロボロでせっかく稼いだ営業利益を食い潰しています。

今後この事業が伸びると踏んでいるから投資をしているのでしょうが、どうなのでしょうか。

そして海外売上比率です。

そーせいとペプチドリームは売上のかなりの割合を海外から稼いでいるので既にグローバル企業となっており、ユーグレナはかなりドメスティックな企業のようです。

表29

⑧まとめ

これまで見てきた 社の順位を「利益性」「コスト」「安全性」「チーム力」「個人技」の括りで下記します。

※各数値の偏差値を基準として順位を算出しています。偏差値の平均は50です。

※平均以下の項目を赤字で示しています。

表15

利益性 総合順位

  • 1位:そーせい(偏差値:63)
  • 2位:ペプチドリーム(偏差値:57)
  • 3位:タカラバイオ(偏差値:43)
  • 4位:ユーグレナ(偏差値:38)

利益を稼ぐことに関しては事業規模でも効率性の高さでも力を見せつけたそーせいが1位となっています。

ぺプチドリームはほぼほぼそーせいの2番手に甘んじています。

表1

コスト 総合順位

  • 1位:ペプチドリーム(偏差値:65)
  • 2位:タカラバイオ(偏差値:52)
  • 3位:そーせい(偏差値:46)
  • 4位:ユーグレナ(偏差値:37)

ただコスト効率に関してはペプチドリームの圧勝のようです。

表20

安全性 総合順位

  • 1位:タカラバイオ(偏差値:58)
  • 2位:ユーグレナ(偏差値:54.85)
  • 3位:ペプチドリーム(偏差値:54.68)
  • 4位:そーせい(偏差値:33)

そーせい以外はかなりの僅差ですが、タカラバイオが1位フィニッシュです。

この項目に関しては1~3位までは実力の差はあまりありません。

表6

チーム力 総合順位

  • 1位:そーせい(偏差値:66)
  • 2位:タカラバイオ(偏差値:49)
  • 3位:ペプチドリーム(偏差値:47)
  • 4位:ユーグレナ(偏差値:38)

チーム力はそーせいの圧勝です。タカラバイオとペプチドリームを大きく引き離しています。

この項目を見ると事業規模ではタカラバイオに軍配が上がりますが、利益効率の良さはペプチドリームの方が優れているということになっています。

表23

個人技 総合順位

  • 1位:そーせい(偏差値:60)
  • 2位:ペプチドリーム(偏差値:59)
  • 3位:ユーグレナ(偏差値:42)
  • 4位:タカラバイオ(偏差値:38)

個人技は僅差でペプチドリームをかわしてそーせいが1位となっています。

そしてチーム力では2位だったタカラバイオは個人技では最下位に甘んじています。

表22

総合順位

  • 1位:ペプチドリーム(偏差値:63)
  • 2位:そーせい(偏差値:54)
  • 3位:タカラバイオ(偏差値:47)
  • 4位:ユーグレナ(偏差値:36)

なんやかんや言いながらも総合ではペプチドリームが2位以下に大差をつけて1位となっています。

事業規模以外はほぼ高順位を獲得した安定性が光ります。

そしてチーム力と個人技など利益に関する項目でトップを独走し続けていたそーせいはそれ以外の項目で安定感を欠き、結局は2位ということになっています。

なお事業規模以外ではそこまで目立ってこなかったタカラバイオはそーせいとの差が極端にはないようです。

ユーグレナに関しては今回の比較ではあまりいいところなしみたいです。

各社の特徴をまとめると以下のようになります。

表10
  • 強み:チーム力、個人技
  • 弱み:財務基盤
表9
  • 強み:財務基盤
  • 弱み:利益性、コスト効率
表5
  • 強み:個人技、コスト効率
  • 弱み:チーム力
表19
  • 強み:財務基盤、チーム力
  • 弱み:個人技、利益性

⑨志望動機として使えそうな点

そーせい

最高レベルのチーム力及び個人技を誇る点

今回比較した4社の中でこの会社は営利企業として「稼ぐ」ことに特化して優れています。

なので「優秀な人材が多くいる競争環境があり、なおかつ会社としても優れている会社で働きたい」と考えている人にとっては最も向いているかもしれません。

海外売上比率が非常に高い点

もはやこの会社は日本の会社ではなく、海外の会社みたいであることを海外売上比率の欄で確認しました。

なので「海外での事業に携わりたい」と考えている人にとってはうってつけだと思います。

ユーグレナ

話題のバイオベンチャーなのに確固とした財務基盤を有している点

成長性が高い話題のベンチャー企業と言うと普通は財務基盤が割と脆弱だったりするので就職するのに二の足を踏むケースがあると思うのですが、この会社に関しては確認してきた通り財務基盤は盤石も盤石です。

なので会社の理念に共感出来たり今後の成長性に期待していたりする人にとっては今のところ安心して就職出来る環境がこの会社にはあると思います。

ペプチドリーム

総合的に見ると4社の中では最優良の会社である点

利益性に関してはそーせいの2番手に甘んじている印象が強いこの会社ですが、それ以外の財務基盤の確かさやコスト効率などもひっくるめるといわゆる「優良企業」に該当します。

なので「バイオ関連の優良企業で落ち着いて働きたい」と考えている人にとっては最も向いているかもしれません。

タカラバイオ

4社の中では事業規模が圧倒的に大きい点

最初の項目でも確認したとおりこの会社の特徴は事業規模の圧倒的な大きさです。

そういう意味ではバイオベンチャー業界の中では最大手と言えなくもなさそうなので「スケールメリットがある会社で働きたい」と考えている人にとっては最も向いているかもしれません。

ただしこの会社は個人技は4社の中では最低レベルで、投下人員数の多さでそれをカバーしている形になっています。

そういう意味ではチームプレイの中で力を発揮出来る人の方が向いているのかもしれません。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人に会ったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。