企業の実態を丸裸!~有価証券報告書を使った企業研究~ 「パナソニック編」

カテゴリ:電機業界
ES研究所 2018年10月26日
家電の接続部分

はじめに

この記事では「就活生=投資家」「就職=自分という資本を企業に投資する」と定義した上で、就活生に人気がありそうな上場企業を「有価証券報告書」という上場企業なら毎年提出しなければならない成績表に書かれている「数字」という客観的事実のみで見てみようとするものです。

なのでここに書かれていることは、あくまで企業に対する直感を補足するものないしは裏付けるものとして捉え、就活に役立ててもらいたいと思っています。

では就活人気企業として、パナソニックを取り上げます。

目次

  1. どんな仕事の種類があるのか
  2. どこの国で仕事をしているのか
  3. 会社の安定性を測る指標
  4. 会社の成長性を測る指標
  5. 投資家目線で見た魅力的な会社とそうでもない会社の違い
  6. まとめ
  7. ES・面接での想定訴求ポイント

パナソニックはいったいどんな商売をしているのでしょうか?

最新の有価証券報告書から抜粋すると、5つの事業に分けることが出来ます。

「アプライアンス」
ルームエアコン、大型空調、テレビ、デジタルカメラ、冷蔵庫、洗濯機など
「エコソリューションズ」
照明器具、配線器具、太陽光発電システム、空気清浄機、内装建材、介護関連など
「コネクティッドソリューションズ」
航空機内エンターテインメントシステム・通信サービス、電子部品、溶接機、パソコン・タブレットなど
「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」
車載インフォテインメントシステム、自動車用ミラー、車載電池、リチウムイオン電池、制御器、モーターなど
「その他」
戸建住宅、集合住宅、分譲用土地・建物など
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①どんな仕事の種類があるのか

各セグメントの直近3年間の平均数値は以下になります。

表3

売上 順位

  • 1位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
  • 2位:アプライアンス
  • 3位:エコソリューションズ
  • 4位:コネクティッドソリューションズ
  • 5位:その他

売上高では「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」と「アプライアンス」が2トップのようです。

ただその他の事業もそれなりの売上高は挙げています。

利益 順位

  • 1位:アプライアンス
  • 2位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
  • 3位:コネクティッドソリューションズ
  • 4位:エコソリューションズ
  • 5位:その他

「その他」以外はほとんど同じような利益貢献度を示しており、事業ポートフォリオが非常に良く分散されていることがわかります。

研究開発費 順位(少ない順)

  • 1位:その他
  • 2位:エコソリューションズ
  • 3位:コネクティッドソリューションズ
  • 4位:アプライアンス
  • 5位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ

研究開発費のほぼ半分を「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」が占めており、他は少しずつ分け合っている印象です。

設備投資額 順位(少ない順)

  • 1位:コネクティッドソリューションズ
  • 2位:その他
  • 3位:エコソリューションズ
  • 4位:アプライアンス
  • 5位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ

設備投資も「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」が全体の半分以上を占めていることから、この事業はけっこうコストがかかる事業なようです。

順位をまとめると以下のようになります。

※各数値の偏差値を基準として順位を算出しています。偏差値の平均は50です。

※下位項目を赤字で示しています。

表8

セグメント 総合順位

  • 1位:アプライアンス(偏差値:64)
  • 2位:エコソリューションズ(偏差値:57)
  • 3位:コネクティッドソリューションズ(偏差値:52)
  • 4位:その他(偏差値:41)
  • 5位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(偏差値:36)

セグメント総合ではローコスト&ハイリターンを実現した「アプライアンス」が1位となっており、ローコスト&ローリターンの「エコソリューションズ」がそれに続きます。

なお「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」はハイリターンではあるものの1番の金食い虫であるために総合では最下位ということになっています。

次に従業員1人あたりの売上と利益について見てみましょう。

表10

※売上/従業員数・利益/従業員数の単位は百万円

売上/従業員数 順位

  • 1位:アプライアンス
  • 2位:コネクティッドソリューションズ
  • 3位:エコソリューションズ
  • 4位:その他
  • 5位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ

それぞれの事業でこれといった差はあまりついていないように見えます。

唯一「アプライアンス」が他の事業と比べて頭一つ抜け出ている印象です。

利益/従業員数 順位

  • 1位:コネクティッドソリューションズ
  • 2位:アプライアンス
  • 3位:エコソリューションズ
  • 4位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
  • 5位:その他

営業利益では「コネクティッドソリューションズ」が頭一つ抜け出た個人技の強さを誇っています。

「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」と「その他」は何とも微妙な数値です。

1人あたり利益/売上 順位

  • 1位:コネクティッドソリューションズ
  • 2位:エコソリューションズ
  • 3位:アプライアンス
  • 4位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
  • 5位:その他

営業利益率では「コネクティッドソリューションズ」と「エコソリューションズ」が他の事業よりも優秀なようです。

順位をまとめると以下のようになります。

※各数値の偏差値を基準として順位を算出しています。偏差値の平均は50です。

※下位項目を赤字で示しています。

表6

従業員1人あたり 総合順位

  • 1位:コネクティッドソリューションズ(偏差値:64)
  • 2位:アプライアンス(偏差値:57)
  • 3位:エコソリューションズ(偏差値:51)
  • 4位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(偏差値:41)
  • 5位:その他(偏差値:37)

(参考)

セグメント 総合順位

  • 1位:アプライアンス(偏差値:64)
  • 2位:エコソリューションズ(偏差値:57)
  • 3位:コネクティッドソリューションズ(偏差値:52)
  • 4位:その他(偏差値:41)
  • 5位:オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(偏差値:36)

セグメント総合では1位だった「アプライアンス」ですが、個人技でもそれなりの強さはあるものの2位ということになっています。

そしてセグメント総合では並のレベルだった「コネクティッドソリューションズ」が個人技では最強ということになっています。

全体的には車関連製品よりも、白物家電や業務用製品の方が事業としてのクオリティが高い印象です。

②どこの国で仕事をしているのか

表2

地域別 順位

  • 1位:日本
  • 2位:アジア・中国他
  • 3位:米州
  • 4位:欧州

「パナソニック=日本」という印象が割と強かったのですが、海外売上比率は50%を超えていることからけ既に結構グローバルな企業のようです。

とは言うもののアジア圏が中心のようです。

③会社の安定性を測る指標

  • A:流動比率&自己資本比率
  • B:CF計算書

A:流動比率&自己資本比率

表5

全体的に当落選スレスレの財務基盤のようです。

万が一に備えてもうちょっと資金の厚みが欲しいところです。

B:CF計算書

表9

※単位は百万円

営業CFは純利益を大幅に超過しているものの、投資CFでかなりのお金を使っていることから意外とアグレッシブな経営をしているように見えます。

④会社の成長性を測る指標

表12

※単位は百万円

各数値ともアップダウンをしているので一概に成長軌道にあるとは言えません。

何と言うかいまの水準をキープ出来るか出来ないかで頑張っているように見えます。

⑤投資家目線で見た魅力的な会社とそうでもない会社の違い

  • A:ROE(自己資本利益率)
  • B:FCF(フリーキャッシュフロー)
  • C:不況時の売上・純利益・営業CFの推移

A:ROE(自己資本利益率)

ROE、つまり「投資家から預かったお金を使っていかに効率良く利益を出しているか」という観点で企業をチェックする場合、全世界的に見て

  • 5%未満=最悪
  • 5%=微妙に悪い
  • 10%=普通
  • 15%=まあまあ良い
  • 20%以上=素晴らしい

となります。

ではROEの直近3年間の推移を見てみましょう。

表7

ROEの水準だけ見れば「普通」なのですが、自己資本比率が30%台ということを鑑みると、どちらかと言えばお金の使い方は下手なように思えます。

B:FCF(フリーキャッシュフロー)

表1

※営業CF・実質設備投資・ネットFCFの単位は百万円

先のCF計算書の項目でも触れましたが、やはり結構激しくお金を使っているようです。

従って商売の効率はそんなに良くなさそうです。

その結果、営業CFの水準から見ると自由資金はあまり残っていません。

C:不況時の売上・純利益・営業CFの推移

表11

※単位は百万円

営業CFは持ちこたえているため経営的にはそこまで深刻な問題にはならなそうですが、売上高と純利益ともに大きく落ち込んでいることから、景気の影響は強く受けるようです。

⑥まとめ

これまでパナソニックを数字で見てきたことをまとめると、

  • ・事業のクオリティは「アプライアンス」が一番高い(個人技は普通よりちょっと上くらい)
  • ・個人技最強は「コネクティッドソリューションズ」(チーム力は普通)
  • ・「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」はハイコスト&ハイリターンという意味ではセグメントの中では諸刃の剣といった立ち位置
  • ・アジア圏中心ではあるものの、海外展開は割と進んでいる
  • ・財務基盤は薄い
  • ・経営はアグレッシブ
  • ・落ち目でもないが、成長軌道にも乗っていない
  • ・お金の使い方はどちらかと言うと下手
  • ・事業維持に結構なお金がかかる
  • ・景気の影響は強く受ける

ということになるでしょう。

⑦ES・面接での想定訴求ポイント

ここでは有価証券報告書で調べてきたことを実際のESや面接でどうやって活かしていけるか、という点に絞って想定される訴求ポイントを挙げます。

「コネクティッドソリューションズ」を攻める

一般的なイメージと割と相違なく、一番クオリティが高い事業は白物家電などを扱っている「アプライアンス」であることを確認してきました。

上記で述べたことからも、「『アプライアンス』に携わりたい」という志望動機ではおそらく競合就活生との競争が熾烈になることが想定出来ます。

確かに会社側の需要も「アプライアンス」にあるにはあるのですが、今まで数値で見てきた中でこの「アプライアンス」の強さは投下人員数の多さに起因するところが大きく、個人技ベースでは「コネクティッドソリューションズ」が最強の事業であるということを確認してきました。(おまけにコストも少なく済んでいる)

ということで会社へのアピールには「『コネクティッドソリューションズ』に携わりたいこと」が有効なのではないかと考えます。

数値を細かく見ないと「アプライアンス」と「コネクティッドソリューションズ」の差はわからないことだと思うので、競合も割と少なくなるのではないかということと、会社側の需要を満たすという意味合いでも結構使えるのではないかと思われます。

有価証券報告書で調べたことから使えそうなところを捻り出すとしたら、上記のようになると思います。

有価証券報告書だけでなく、企業の「IR情報」という投資家に向けて公表している情報には業績や今後の方針などをわかりやすくパワーポイントでまとめたものもあるので、興味を持たれた方はそちらも見てみると良いかもしれません。