NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの違いを財務視点から攻める

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携帯・通信業界
2018年02月21日
携帯

はじめに

ここでは日本の携帯電話会社BIG3である「NTTドコモ」「ソフトバンク」「KDDI」を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージだけでなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 有名子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. 事業セグメントの比較
  6. まとめ
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有名子会社・関連会社の比較

2017年3月時点

表1

「この会社も子会社や関連会社だったりするのか」みたいな企業がズラっと並んでいます。

特にソフトバンクグループは有名企業を数多く抱えていることがわかります。

ちなみにソフトバンクグループは2016年までは子会社として「クラッシュ・オブ・クラン」「ヘイ・デイ」などのモバイルゲームで有名なスーパーセル社を、関連会社として「パズドラ」で有名なガンホーオンラインメンターテインメントを保有していましたが、どちらの株式の大半を2016年に売却しているため、この表には載っていません。

各社とも携帯電話事業とは別の事業を数多く持っていることから言えるのは、

各社とも携帯電話会社でありながら同時に「投資ファンド」としての側面も持っている

ということです。

特にソフトバンクグループは投資家の間では「携帯電話会社の皮をかぶった投資ファンド」と言われるほど、投資に対して積極的ということで知られています。

仕組みとしては携帯電話契約によって毎年安定的にもたらされるキャッシュフローを原資に投資をし、さらに携帯電話というインフラを押さえているのでそれを使って投資先企業の成長に一役買うといったものです。

事業規模の比較(単位:百万円)

NTTドコモ

表3

ソフトバンクグループ

表2

KDDI

表5

上記の数字を見る限り、NTTドコモとKDDIは同じくらいの事業の規模感ですが、ソフトバンクグループのみ突出して事業規模が大きいことが確認出来ます。

これはソフトバンクグループの数字としてアメリカのスプリント社という携帯電話事業を行っている子会社の数字が含まれているからです。

一方、携帯電話の契約者数はどうなっているかと言うと、

表4

このソフトバンクの数字は先述したスプリント社の契約者数抜きの純粋なソフトバンクの契約者数です。

これで見ると契約者数はNTTドコモが突出して多いことが確認出来ます。

ソフトバンクとKDDIの契約者数はその半分以下なので、両社とも「お父さん犬」や「三太郎」などの話題のCMを放送していて、イメージとしては何か勢いがある感じだったり、有名だったりしているんですが、実態としては

NTTドコモがシェアの圧倒的多数を占めている

ということがわかります。

安全性の比較

NTTドコモ

表7

ソフトバンクグループ

表6

KDDI

表9

流動比率・自己資本比率ともにNTTドコモが安定感抜群

だということがわかります。

そしてソフトバンクグループは3社の中でも財務的にはかなり不安定な印象を受けます。

ソフトバンクグループの2017年3月時点での総資産は約24兆6,300億円で、そのうち純資産は約4兆4,700億円です。

つまりはグループ全体での借入金は約20兆1,600億円ということになります。

それに毎年利息の支払い約5,200億円を加算すると、純利益が約1兆4,700億円なので、純利益を全て借金返済に充てても完済まで20年くらいはかかるという計算になります。

そしてこれはソフトバンクグループの会社としての大きな特徴なのですが、

この借金の大半は銀行から借りているのではなく、「社債」という形で一般の投資家から調達しています。

余談ですが、筆者は少し前に証券会社に勤めていたのですが、その時にソフトバンクがやたらと社債を発行しまくっていたことをよく覚えています。

そしてソフトバンクの社債の利率は「1%~2%」で、銀行定期預金の利率の「0.1%~0.2%」とは比べ物にならないほどべらぼうに高かったので人気があり、社債の発売と同時にほぼ完売していました。

利益性の比較

NTTドコモ

表8

ソフトバンクグループ

表12

KDDI

表10

※利益率=純利益/売上高

※ネットFCF=営業CF-実質設備投資額

NTTドコモとKDDIの各数値はそこまで差がないのですが、ここでもやはりソフトバンクグループが異常値を叩き出しています。

特にネットFCF(営業CFから実質の設備投資額を引いたもの)と実質設備投資/営業CFの項目を見るに、「お金使い過ぎ」な印象を受けます。

それもこれも

ソフトバンクは会社の買収や投資に余念がないので、お金を使い過ぎてしまう

ということになっているようです。

事業セグメントの比較

まずは売上高の構成を見てみましょう。

NTTドコモ

表11

※スマートライフ事業:動画配信・音楽配信・電子書籍サービスなど

※その他事業:ケータイ補償サービスなど

ソフトバンクグループ

表13

※流通事業:海外での携帯端末の流通事業など

※アーム事業:ARM社による半導体設計事業など

※その他:福岡ソフトバンクホークスなど

KDDI

表14

※パーソナル:個人及び家庭向けの通信サービスなど

※バリュー:各種金融・コマースサービス・各種アプリケーションなど

※ビジネス:企業向け通信サービス

※グローバル:海外での企業・個人向け通信サービス

※その他:コールセンターなど

売上高の構成の上位が携帯電話事業であることは3社とも共通していますが、NTTドコモとKDDIはその比重がソフトバンクグループと比べて少し高いように見えます。

ソフトバンクグループは少し事業を分散させているようです。

次に利益構成を見てみましょう。(営業利益ベース)

NTTドコモ

表15

ソフトバンクグループ

表16

KDDI

表17

構成は売上高と3社ともそこまで変わらないようですが、ソフトバンクグループの特徴として際立っているのが「ヤフー事業」です。

グループ全体の利益の実に20%を稼ぎ出している金の卵として成績に大いに貢献しているようです。

まとめ

これまで見てきた3社の特徴をまとめると以下のようになると思います。

NTTドコモ

  • ・3社の中で契約者数は圧倒的なNo.1
  • ・財務面ではかなりの優等生で、会社の安定性は抜群
  • ・毎年自由に使えるお金(ネットFCF)を安定的に稼いでいる
  • ・売上高は3社の中で一番低い

ソフトバンク

  • ・3社の中で相当な異端児扱い
  • ・「携帯電話会社」というよりはその本質は「投資ファンド」
  • ・借金がかなり多い
  • ・毎年かなりの金額を主に企業買収、投資に使っている
  • ・超優秀な子会社を多数保有している(ヤフージャパン、アリババ、アスクルなど)
  • ・売上高、利益は他2社を寄せ付けない圧倒的なNo.1

KDDI

  • ・3社の中で一番地味な印象
  • ・契約者数はNTTドコモに遠く及ばないが、売上高に至ってはNTTドコモを追い抜かしており、純利益もそろそろ追い抜きそう

以上にまとめた特徴を結婚相手の職業に置き換えると以下の感じでしょうか?

NTTドコモ

公務員(堅実、安定)

ソフトバンク

外資系投資銀行のトレーダー(給料は多いが、職は不安定)

KDDI

隠れ優良企業に勤める会社員(地味だが、けっこう実力がある)

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人にあったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。