高学歴びいきな就活後ろ倒しの影響と対策

カテゴリ:就活と時事ネタ
ES研究所 2016年04月05日
就活の後ろだおしの影響

目次

  1. はじめに
  2. 2016年から就活の時期が変わる
  3. 就活後ろ倒しで企業と採用担当者が受ける影響
  4. 就活後ろ倒しで就活生が受ける影響
  5. まとめ

1. はじめに

こんにちは。Liberchで代表を勤める岩谷です。
例年、台風が過ぎ去る頃には、大学3年生が私服からリクルートスーツへ衣替えする季節なのですが、今年はあまりリクルートスーツの学生を見ない様な気がすると思ったら、今年から就活のルールが変わったことを思い出しました。そこで、今回は、記念すべき岩谷執筆の1回目のコラムということもあるので、2016年卒から始まる「就活のルール変更」についてまとめてみたいと思います。

2. 2016年から就活の時期が変わる

      

「採用選考に関する指針」経団連HPより

※2017卒からは6月に前倒しとなる可能性があります。
『経団連会長、就活の面接解禁6月前倒し「1つのやり方」』日本経済新聞

2016卒、つまり2014年の就活から就活時期が後ろ倒しになりました。まずは、ルール変更の内容と背景を、上の図を使いながら説明していきたいと思います。

2-1.そもそも就活の何がどう変わるのか

 

2014年からルールが変更されると、就活の「時期」が「遅らされ」、「短くなり」ます。具体的には次の3つです。

  • ■企業の広報活動が12月開始だったものが、3月開始に遅らされる。(3ヶ月の遅れ)
  • ■企業の採用活動が 4 月開始だったものが、8月開始に遅らされる。 (4ヶ月の遅れ)
  • ■企業の採用活動が最長6ヶ月だったものが、2ヶ月に短縮化される。(1/3への短縮化)
就活後ろ倒しの図

2014年の9月に、現行の安倍政権から「就活のルール変更」の要請が日本経済団体連合会(経団連)に出されました。これに応じる形で、就活解禁時期を「経団連に加盟する企業において」 上記の様に後ろにズラすことが決まりました。

中でも、最も影響を与えると言われているのが、3番目の企業の採用活動が最長6ヶ月だったものが、2ヶ月に短縮化される点です。これは、「従来、少しでも良い人材を確保するために全力を尽くしていたことを、今年は、1/3の時間内で行う必要がある。」ことを意味していますが、そんなこと出来るはずがありません。そこで、企業は、採用の方法を去年から変える必要が出てきます。

2-2.そもそもなんで就活を遅らせることになったのか

そもそも何でこんなことになったのか。無力な私たちはこれを覆すことは難しいですが、せめて、何でこんなことになったのかぐらいは知っておきましょう。
首相官邸の発表を要約すると

「学生が勉強しないし、留学もしないのは就活が長引いてるせい。学業に負担のない夏休みにやりたい人はやればいい。」

とのことです。就職活動が長期化することで、学生の意欲や時間が学業ではなく就活に向いてしまってるということを危惧しての要請ということですね。

もう少し整理すると、

  • ■言い出したのは「経団連」ではなく、「政府」
  • ■就職活動を遅らせたのは「学生に勉強をしてもらうため。」
  • ■就職活動を遅らせたのは「学生に就活を気にせず留学をしてもらうため。」

以上が、が目的で就職活動は遅らされることになりました。

しかし、そもそも大学生が勉強をしない根本的な原因が就活にあるか否かの前に、”インターン型選考”の活発化や、外資系企業やベンチャー企業等、経団連に属さない企業の存在によって、結果的に、就職活動を不必要に長期化させてしまうのではないかという不安や、海外留学する学生のそもそもの割合が極度に少ないという意見も多くあるのが実情です。メリットとデメリットを天秤にかけたとき、判断の正しさが疑わしくなるところです。

3. 就活後ろ倒しで企業と採用担当者が受ける影響

さて、ここからは、この2016年卒からの就活のルール変更によって、採用する側である企業はどのような影響を受け、どのように今年の動き方を変えていくのかを見ていきたいと思います。

3-1.企業の採用活動の何がどう変わるのか

企業側の受ける最も大きな変化としては「採用活動に掛けられる時間」が「大幅に減ってしまった」という点です。上述の、採用活動の期間が1/3に短縮されるというルール変更が企業に与える影響としては最も大きいようです。

採用も魔法で行われるわけではありません。企業ごとの有限な「ヒト(採用担当者や説明会に登壇する社員)」、「モノ(セミナーや面接に使う会場)」、「カネ(予算)」の下に行われています。特に前の2つに関しては、時間的な制約の影響を免れることは出来ず、企業はすでに根性論でどうにか出来る影響の範囲を超えており、採用の方法を改めざるを得ない状況にあるようです。

3-2. 企業は採用活動をどの様に変えていく

では、採用方法を改める必要が出てきた企業は、どのような採用方法に変えていくのでしょうか。既に体感されている方も多いかとは思いますが、次の2つが2015年の就職活動よりも増加すると言われています。

  • インターン形式での採用活動
  • 採用担当としてのリクルーター面接

■インターン形式での採用活動

2015年の採用活動からすでに、ベンチャー企業や一部広告代理店等でも採用されきたインターン形式での採用活動ですが、2016年はこれが更に増加すると言われています。企業の表立った採用活動の時間が1/3に圧縮されてしまいましたが、

  • 確保しなければならない人材の質
  • 確保しなければならない人材の数

は2015年とそれほど大差はありません。となれば、水面下で採用を推し進めざるを得なくなるというのが、採用側の実情の様です。単なる、効率化だけで乗り切れるルール変更ではないということです。

■採用担当としてのリクルーター面接

もう1つ増加すると言われているのがいわゆる「リクルーター面接」です。こちらも2015年から、人材価値が高く、上下の繋がりが強い「体育会系」の人材の獲得を目的とする企業や、いわゆる「重工長大」と呼ばれる歴史を長く持つ日系企業等で行われてきた採用方法です。

突然、出身大学の「OB」や「先輩」を名乗る社員から「相談に乗らせて欲しい」だとか、「就活中の学生の意見を聞かせて欲しい」だとかで、電話が掛かってきて、喫茶店で「フランクに」執り行われる「事実上の面接」のアレです。往々にして、リクルーターの推薦を勝ち取った学生は、そのままリクルーターの内部支援を受けつつ、圧倒的優位の下、その後の選考を勝ち抜いていきます。

3-3. インターンとリクルーターの増加が意味すること

「インターンとリクルーターが増加する…採用の形式が変わるだけで、結局、採用の本質は変わらないんじゃ?」という声も聞こえてきそうですが、それはおそらく間違いです。採用の機会がより不公平になるようです。起こりうることは次の2つです。

  1. 高学歴が優遇される体制になる
  2. 通常選考の「枠」が減るため、競争率(倍率)が上昇する。

インターン形式での採用活動と、採用担当としてのリクルーター面接に共通するのは、どちらも「高学歴が通常の採用より有利」という点にあります。なぜなら、インターン形式は、あくまで公式の採用ではないため、全ての大学生に対して門戸を開く義務は無く、リクルーター面接は、OBから電話が掛かってくるため、企業側がアプローチする学生の母集団を決定できるからです。従って、単に高学歴の大学出身でないという理由でインターン選考への参加の機会やリクルーターと接触する機会が与えられる可能性が通常選考に比べて低くなります。

また、こうした、通常採用以外のルートからの採用を実践するということは、その分だけ、通常採用での内定数を減らすことになります。よって、通常通り、エントリーシートを提出し、テストを受け、面接を経て選考される就活生は、より少なくなった「内定枠」を争うことになります。

4. 就活後ろ倒しで就活生が受ける影響

    

では、最後に2016年の就活ルール変更によって、学生サイド(=就活生)がどのような影響を受けるのかについて考えてみましょう。

4-1.学生の就職活動の何がどう変わるのか

今回の就活のルール変更で、就活生は「学歴」と「動きだしの早さ」の「重要度が増す」ことになります。これは、二極化がさらに進行するということも意味します。

採用活動の短縮化によって、企業は水面下で採用活動を推し進める必要が出てきました。そのため、水面下での採用活動において「参加のチャンス」を得やすい①高学歴の学生②就活解禁前から動き出している学生の2層が有利になります。

そのため、「リクナビ」に代表されるマッチングサイトの浸透後顕著になったと言われる”二極化”が更に進行すると言われています。二極化とは、内定が特定の優秀な学生に集中することで、”複数内定者”と、いわゆる”NNT”に就活生が分けられてしまうことです。12月からは嫌でも大学3年生は就活を意識せざるを得なかった2015年卒よりも、採用期間が短い、裏を返せば、自由意志に基づいて水面下で就職活動を展開できる期間が長い2016年卒の採用市場では、”早く動くほど、恵まれる機会がより増える”ことを意味しています。そのため、”正しくがんばった学生”と”正しく頑張らなかった学生”の間に、公式の開始時期である3月1日の時点で、2015年以前よりも大きな実力・情報格差が生じてしまう可能性が高いです。

4-2.学生はどんな風に就職活動を送るべきなのか

今回の就活のルール変更で、間違いなく有利になるのは高学歴の学生です。与えられたチャンスを活かすため、積極的にインターンに応募し、リクルーターと会いまくってください。

問題は、「頑張りたい」けどいわゆる「高学歴」じゃ無い学生の方々です。そういった学生が、その意欲をぶつけるべき先は、フィルターにかかってしまうインターンや、きっと来ないリクルーターからの電話を全力で待つことではありません。僕が提案したいのは次の3つです。

  • ■積極的にOB訪問を仕掛ける
  • ■通常選考での準備を徹底する
  • ■新卒紹介サービスに登録する

■積極的にOB訪問を仕掛ける

待っていても来ない奇跡は待っていても来ないので、こちらから攻めましょう。インターン型選考への通過率を少しでもあげ、リクルーターとなる人物についてもらえる可能性を1%でも高めるため、また、それらに参加する学生との情報格差を少しでも埋め合わせるために、積極的なOB訪問をおすすめします。

OB訪問をする際には、単なるOB訪問で終わらせず、「1%でも内定の確率を高める」ことと「1%でも、ミスマッチを回避しうる情報を獲得する」ことの2点を常に意識して臨むと良いでしょう。

■ 通常選考での準備を徹底する

来るか来ないか分からないインターンの案内やリクルーターからの電話に備えるぐらいなら、例え競合環境が激化しているとはいえ、確実にやってくる「通常選考」への徹底した準備をおすすめします。メガベンチャーや外資系企業であれば、内定を早期に獲得することも可能です。

例えば、スーツ類等をそろえたり、エントリーシートの提出数と通過率を高める訓練をしたり、業界の知識等を蓄えたり、面接の練習をしたり。通常選考への準備に関しては、Liberchで用意している「平成就活物語」も参考にしてみてください。

■新卒紹介サービスに登録する

世の中には、「人材紹介業」というサービスがあります。ヒトが欲しい企業と、仕事が欲しいヒトを、ヒトが媒介してつなげることで世の中の有限な人材の適正配置に貢献する事業です。当然、新卒というフィールドにも人材紹介サービスなるものが存在します。

人材紹介サービスというのは「あたなにピッタリの会社をあなたに代わって見つけてきます。もしぴったりだと思ったら、独自の選考を受けて入社して下さい。お金は企業側から頂くので、あなたから頂くことはしません。」というモデルがほとんどです。つまり、無料で、あなたの変わりに就職活動をしてくれるということです。あなたがお酒を飲んでいるときも、彼女とデートを楽しんでいるときも、家でYOUTUBEを見ているときも、あなたの変わりにプロがあなたを企業に売り込んでくれるわけです。これを使わない手はありません。

5. まとめ

                        

以上が、2016年卒の就活ルール変更の影響のまとめです。いかがでしたでしょうか。たかだが3ヶ月、4ヶ月の遅れですが、就活市場に与える影響は甚大です。これを無視するのではなく、どういう状況になっている、なっていくのかを踏まえた上で、自らの動き方を変える必要があるのではないでしょうか。

ただ、いくらルールが変わっても、利益やヴィジョンに見合う人材を採用していくという企業の基本原則は変わりません。与えられる機会は、高学歴の学生に集中する気配がありますが、単に高学歴であったとしても利益やヴィジョンに見合わない人材に内定が出されることは原則あり得ませんし、もし仮に高学歴でなかったとしても、利益やヴィジョンに見合う人材であることを得られた機会(通常採用ルートであっても)で証明できれば、内定を獲得することは十分に可能です。いわゆる高学歴に属する学生の方は慢心せず、属さない可能性が高い学生の方も落胆せず、今出来ることを通じて未来を変えていくことが大切ではないでしょうか。

長くなりましたが、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。