はじめに
ここでは日本の鉄道会社の「JR東日本」「JR東海」「JR西日本」「JR九州」の4社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージだけでなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。
※JR九州に関しては直近2年分の有価証券報告書しか提出されていないので、2年分の数字を記載しています。
目次
①事業規模の比較(単位:百万円)
JR東日本
JR東海
JR西日本
JR九州
売上高順位(2017年度)
- 1位:JR東日本
- 2位:JR東海
- 3位:JR西日本
- 4位:JR九州
純利益順位(2017年度)
- 1位:JR東海
- 2位:JR東日本
- 3位:JR西日本
- 4位:JR九州
売上高ではJR東日本が圧倒的なトップですが、純利益を見るとJR東海が逆転してトップに立っています。
JR西日本とJR九州は安定して3番手と4番手といった印象です。
②安全性の比較
JR東日本
JR東海
JR西日本
JR九州
流動比率順位(3年平均)
- 1位:JR東海
- 2位:JR九州
- 3位:JR東日本
- 4位:JR西日本
自己資本比率順位(3年平均)
- 1位:JR九州
- 2位:JR東海
- 3位:JR西日本
- 4位:JR東日本
さきほどの事業規模についてはJR九州はダントツのビリでしたが、財務状態を見るとその状況は逆転し、JR九州が4社中トップでJR東日本は下位になっています。
JR西日本に関してはここでも順位は上がっていません。
③利益性の比較
JR東日本
JR東海
JR西日本
JR九州
利益率順位(3年平均)
- 1位:JR東海
- 2位:JR東日本
- 3位:JR西日本
- 4位:JR九州
ネットFCF順位(3年平均)
- 1位:JR東海(※2017年度のリニア建設資金による大幅なマイナスはここでは除外)
- 2位:JR東日本
- 3位:JR西日本
- 4位:JR九州
実質設備投資額/営業CF順位(3年平均)
- 1位:JR東海(※2017年度のリニア建設資金による大幅なマイナスはここでは除外)
- 2位:JR東日本
- 3位:JR西日本
- 4位:JR九州
この3つの項目を見るとJR東海がいかに効率良く利益が出る商売をしているかが一目瞭然です。
他の3社の順位に関してはあまり3つとも変わりがありませんが、得てして言えばJR九州はちょっと心配になってくる数字を連発しているので、注意が必要なのかもしれません。
④事業セグメントの比較
JR東日本
JR東海
JR西日本
JR九州
以下セグメント毎の各社まとめです。
まず売上からです。
だいたいどこも「運輸サービス」が過半数を占めるメイン事業になっていますが、JR九州だけは違うようです。
内訳を見ると「運輸サービス」はメインと言えばメインですが、「流通・外食」がその次の大きな事業になっているようです。
JR九州は他の3社と比べて事業の分散をしているといった感じでしょうか。
次に利益を見てみましょう。
他の3社と比べてJR東海はほぼ完全に「運輸サービス」の一本槍でお金を稼いでいるようです。
そしてJR九州は利益の内訳を見る限りでは「駅ビル・不動産」がトップになっていることから、世間一般のイメージの「鉄道会社」とは大きく異なり、実態は「テナント貸しが本業の不動産会社」みたくなっていることがわかります。(JR九州にとって「駅ビル・不動産」は金の卵でもあるみたいです。)
⑤まとめ
これまで見てきた4社の特徴をまとめると以下のようになると思います。
JR東日本
- ・売上高は圧倒的トップ
- ・財務状態はそんなに良くない
JR東海
- ・売上高こそ2番手だが、利益額は圧倒的なトップ
- ・あらゆる面で利益効率がスバ抜けて良い
- ・運輸サービスに最も特化している
JR西日本
- ・総合的に3番手
- ・総合的に特色がない
- ・失礼な言い方をすれば、「劣化版JR東日本」
JR九州
- ・事業規模はダントツのビリ
- ・財務状態は4社の中で一番良い
- ・事業構成が特殊で、利益構成を見るともはや鉄道会社ではなく不動産会社
⑥志望動機として使えそうな点
JR東日本
- ・国内鉄道会社で最大の事業規模を誇ること
- ・関東圏一円の交通網を担っていること
JR東海
- ・事業の質の面(利益面)で日本最大の鉄道会社であること
- ・運輸サービス一本槍に特化していること
- ・日本の大動脈である東京ー名古屋ー大阪の交通網を担っていること
JR西日本
- ・あらゆる面で普通なこと(良い意味でも悪い意味でも尖っていない)
- ・関西圏一円の交通網を担っていること
JR九州
- ・もはや鉄道会社ではなく、不動産会社みたいであること(つまり鉄道会社に就職したいのではなく、不動産会社とか商業施設とかに就職したい人に向いていると思われる)
- ・九州地方の交通網を担っていること
これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人にあったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。