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メガバンクグループの違いを数字で比較

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金融業界
2018年02月17日
ビル

はじめに

ここでは日本のメガバンクグループである「三菱東京UFJフィナンシャル・グループ(以下:三菱)」「三井住友フィナンシャルグループ(以下:三井住友)」「みずほフィナンシャルグループ(以下:みずほ)」を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージだけでなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 有名子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. 事業セグメントの比較
  6. まとめ
  7. 志望動機として使えそうな点
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有名子会社・関連会社の比較

2017年3月時点

※かなり長いリストですが、ご容赦下さい。

表7

事業規模の比較(単位:百万円)

三菱

表9

三井住友

表8

みずほ

表11

経常収益順位(2017年度)

  • 1位:三菱
  • 2位:三井住友
  • 3位:みずほ

経常収益順位(2017年度)

  • 1位:三菱
  • 2位:三井住友
  • 3位:みずほ

三菱が3社の中で一番規模が大きいことがわかります。

3位のみずほと規模感を比べると、三菱はみずほの約1.5倍くらいの規模感です。

安全性の比較

メガバンクグループの連結決算書には流動資産・流動負債の記載がないので、「流動比率」が計算出来ません。

なので代わりと言っても何ですが、各グループの「受け入れている預金額」を記します。

なお、自己資本比率はそのまま記してあります。

三菱

表10
表13

三井住友

表12
表15

みずほ

表14
表18

預金額順位(2017年度)

  • 1位:三菱
  • 2位:みずほ
  • 3位:三井住友

自己資本比率順位(3年平均)

  • 1位:三菱
  • 2位:三井住友
  • 3位:みずほ

ここでも三菱がトップに立っています。

ただ預金額を見ると2位と3位が入れ替わっていることが確認出来ます。

利益性の比較

三菱

表

三井住友

表17

みずほ

表19

利益率順位(3年平均)

  • 1位:みずほ
  • 2位:三菱
  • 3位:三井住友

ネットFCF順位(3年平均)

  • 1位:みずほ
  • 2位:三井住友
  • 3位:三菱

実質設備投資額/営業CF順位(3年平均)

  • 1位:三井住友
  • 2位:三菱
  • 3位:みずほ

これまで見てきた規模感や預金額では三菱が圧倒的なトップでしたが、その商売の効率を見ていくとそうでもないことがわかります。

特になんとなく3位の印象があったみずほは利益率・ネットFCFでトップに立っていることから、規模感は3社中一番小さいが、効率の良い商売をしていることがわかります。

ちなみに実質設備投資額/営業CFの順位で三井住友がトップに立っている理由は、2016年度に「営業CFのマイナスを事業の売却による収入で埋めているため」です。

事業セグメントの比較

各グループの粗利益と業務純益の構成を見てみましょう。

三菱

※2015年度はセグメントの区分けが異なるため表示してありません

表20

粗利益順位(2年平均)

  • 1位:国際事業
  • 2位:リテール事業
  • 3位:法人事業
  • 4位:市場事業
  • 5位:受託財産事業
  • 6位:その他

※2015年度はセグメントの区分けが異なるため表示してありません

表21

営業純益順位(2年平均)

  • 1位:国際事業(粗利益:1位)
  • 2位:法人事業(粗利益:3位)
  • 3位:市場事業(粗利益:4位)
  • 4位:リテール事業(粗利益:2位)
  • 5位:受託財産事業(粗利益:5位)
  • 6位:その他(粗利益:6位)

三井住友

表22

粗利益順位(3年平均)

  • 1位:コンシューマーファイナンス
  • 2位:銀行業 ホールセール部門
  • 3位:証券業
  • 4位:銀行業 リテール部門
  • 5位:銀行業 国際部門
  • 6位:銀行業 市場営業部門
  • 7位:銀行業 その他
  • 8位:リース業
  • 9位:銀行業 本社管理
  • 10位:その他
表23

業務純益順位(3年平均)

  • 1位:銀行業 ホールセール部門(粗利益:2位)
  • 2位:銀行業 市場営業部門(粗利益:6位)
  • 3位:銀行業 国際部門(粗利益:5位)
  • 4位:コンシューマーファイナンス(粗利益:1位)
  • 5位:リース業(粗利益:8位)
  • 6位:銀行業 その他(粗利益:7位)
  • 7位:証券業(粗利益:3位)
  • 8位:銀行業 リテール部門(粗利益:4位)
  • 9位:銀行業 本社管理(粗利益:9位)
  • 10位:その他(粗利益:10位)

みずほ

※2015年度はセグメントの区分けが異なるため表示してありません

表24

粗利益順位(2年平均)

  • 1位:リテール・事業法人
  • 2位:グローバルマーケッツ
  • 3位:大企業・金融・公共法人
  • 4位:グローバルコーポレート
  • 5位:アセットマネジメント
  • 6位:その他

※2015年度はセグメントの区分けが異なるため表示してありません

表25

業務純益順位(2年平均)

  • 1位:グローバルマーケッツ(粗利益:2位)
  • 2位:大企業・金融・公共法人(粗利益:3位)
  • 3位:グローバルコーポレート(粗利益:4位)
  • 4位:アセットマネジメント(粗利益:5位)
  • 5位:リテール・事業法人(粗利益:1位)
  • 6位:その他(粗利益:6位)

まとめると以下のようになります。

(三井住友に関しては他の2社とセグメント区分が少し違うので、だいたい同じだろうというセグメントを記してあります。)

まずは粗利益からです。

表26

三菱の特徴

国際事業が他2社と比べて突出している

三井住友の特徴

粗利益の稼ぎ頭は「コンシューマーファイナンス(カードや消費者金融)」

みずほの特徴

市場事業が他2社と比べて突出している

次に業務純益です。

表2

三菱の特徴

リテール事業・国際事業が他2社と比べて突出している

三井住友の特徴

法人事業・市場事業がメインの稼ぎ頭

みずほの特徴

市場事業が他2社と比べて異常に突出している

ついでに地域別の収益も見てみましょう。

三菱

表3

三井住友

表4

みずほ

表5

まとめると以下になります。

表6

三菱の特徴

海外売上比率が高い

三井住友の特徴

日本が主戦場

みずほの特徴

日本が主戦場

まとめ

これまで見てきた3社の特徴をまとめると以下のようになると思います。

三菱

  • ・規模感は預金額も含めて3社の中で最大
  • ・利益効率は3社の中でそんなに良くない部類に入る
  • ・リテール事業の安定感は3社の中で突出して高い
  • ・海外売上比率が高く、利益への貢献度も高い
  • ・法人事業・国際事業・市場事業が利益の3本柱

三井住友

  • ・3社の中で色々と中間の印象
  • ・利益では法人事業と市場事業が稼ぎ頭だが、粗利益ではカード事業や消費者金融事業が一番の稼ぎ頭
  • ・リテール事業が3社の中では弱めの印象

みずほ

  • ・3社の中で規模感は一番小さい
  • ・しかし利益効率は3社の中で一番良い
  • ・市場事業(グローバルマーケッツ=ディーリング業務と証券ブローカー業務)が一番の稼ぎ頭
  • ・リテール事業は全然儲かっていない

志望動機として使えそうな点

三菱

  • ・国際事業が強いという事実をベースにして「日本の銀行でありながら、グローバルに仕事がしたいこと」をアピールする。
  • ・リテールや法人の事業はみんなが狙ってくるところだと想定して、穴場であろう市場事業(おそらく株や債券のディーリング業務)で働きたいことをアピールする。

三井住友

  • ・コンシューマーファイナンス事業が粗利益の大きな部分を占めるという事実をベースにして、「人の生活に密着した部門で働きたい」とかそういった志望動機の元にコンシューマーファイナンス事業に関わりたいことをアピールする。

みずほ

  • ・一番の弱点であるリテール事業で働きたいことをアピールする。
  • ・一番の稼ぎ頭である市場事業で働きたいことをアピールする。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人にあったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。