大手ゲーム会社の違いを数字で比較

カテゴリ:ゲーム業界
ES研究所 2018年07月07日
かるた

ここでは日本の大手ゲーム会社の

  • ・任天堂
  • ・スクウェア・エニックス(以下:スクエニ)
  • ・コナミ
  • ・バンダイナムコ(以下:バンナム)
  • ・セガサミー(以下:セガ)

の5社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージではなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 主要子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. コスト&研究開発費の比較
  6. 従業員1人あたりの売上&利益の比較
  7. 事業セグメントの比較
  8. まとめ
  9. 志望動機として使えそうな点

主要子会社・関連会社の比較

特に有名な子会社・関連会社がなかったので今回は省略します。

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事業規模の比較(単位:百万円)

表8

売上 順位

  • 1位:バンナム
  • 2位:任天堂
  • 3位:セガ
  • 4位:スクエニ
  • 5位:コナミ

純利益 順位

  • 1位:任天堂
  • 2位:バンナム
  • 3位:セガ
  • 4位:コナミ
  • 5位:スクエニ

売上においては任天堂とバンナムが競り合っているようですが、純利益となると任天堂が他社を全く寄せ付けず圧勝です。

他の2社は売上も純利益も割と似通った数値です。

安全性の比較

表5

流動比率 順位

  • 1位:任天堂
  • 2位:セガ
  • 3位:バンナム
  • 4位:コナミ
  • 5位:スクエニ

自己資本比率 順位

  • 1位:任天堂
  • 2位:スクエニ
  • 3位:バンナム
  • 4位:コナミ
  • 5位:セガ

総じて各社非常に健全な財務体質を有していますが、任天堂だけ財務の健全性の高さが異次元です。

いくら当たり外れが大きいゲーム業界でもここまで資本を積み増す必要性があるのかは疑わしいです。

利益性の比較

表25

純利益率 順位

  • 1位:任天堂
  • 2位:スクエニ
  • 3位:コナミ
  • 4位:バンナム
  • 5位:セガ

任天堂が頭一つ抜けて純利益率が高く、逆にセガが他社と比べて純利益率が低いのが目立ちます。

概ね6%~7%くらいが標準なようです。

ネットFCF 順位

  • 1位:バンナム
  • 2位:任天堂
  • 3位:コナミ
  • 4位:スクエニ
  • 5位:セガ

バンナムと任天堂は売上と純利益を鑑みると順当なランクインなのですが、事業規模では上位2社に遠く及ばないコナミがここにきてその2社と競り合うことが出来るレベルまで自由資金を確保出来ていることがわかります。

実質設備投資/営業CF 順位

  • 1位:任天堂
  • 2位:スクエニ
  • 3位:バンナム
  • 4位:コナミ
  • 5位:セガ

ここでも任天堂がトンデモない効率の良さを見せ、セガがかなりお金を使っていることがわかります。

在庫回転率 順位

  • 1位:スクエニ
  • 2位:コナミ
  • 3位:バンナム
  • 4位:任天堂
  • 5位:セガ

他社と比べたときのスクエニの在庫回転率の異常な高さが目立ちます。

任天堂の在庫回転率はセガと同じくらいのようです。

コスト&研究開発費の比較

表6

販管費/売上 順位

  • 1位:コナミ
  • 2位:バンナム
  • 3位:セガ
  • 4位:スクエニ
  • 5位:任天堂

販管費が各社でそこまで極端な差がないようです。

研究開発費/売上 順位

  • 1位:スクエニ
  • 2位:バンナム
  • 3位:セガ
  • 4位:コナミ
  • 5位:任天堂

在庫回転率の高さに引き続き、研究開発費の抑え方でもスクエニが目立ちます。

他社は概ね8%~12%くらいのようです。

従業員1人あたりの売上&利益の比較

表18

売上/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:任天堂
  • 2位:バンナム
  • 3位:スクエニ
  • 4位:コナミ
  • 5位:セガ

ここでも任天堂バンナムの強さが目立ちます。

この2社はチームとしても個人レベルでも「売る力」は強いようです。

営業利益/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:スクエニ
  • 2位:コナミ
  • 3位:バンナム
  • 4位:任天堂
  • 5位:セガ

ただ営業利益となるとスクエニ・コナミ・バンナムの3強といった感じで任天堂は出遅れる形になっています。

1人あたり営業利益/売上 順位

  • 1位:コナミ
  • 2位:スクエニ
  • 3位:バンナム
  • 4位:セガ
  • 5位:任天堂

そして際立つコナミ・スクエニの利益効率の高さ

任天堂にいたってはセガに抜かれていてこの項目では最下位なので、チームとしては強いけれども個人レベルではそこまで強くないのかもしれません。

事業セグメントの比較

任天堂

表11

※単一セグメントでの記載だったのでここでは「主力製品ごとの売上」について記述します。

安定して売れている3DSに対してNintendo Switchにその座を取って代わられつつあるWii Uといった印象です。

ひとまずは3DSが安定して稼いでくれているのでその間にポートフォリオの転換を進めたいのではないかと思います。

スクエア

表2
表15
表20

「デジタルエンタテインメント」
コンピューターゲームなど
「アミューズメント」
アミューズメント施設運営など
「出版」
コミック雑誌、単行本、ゲーム関連書籍等の出版など
「ライツ・プロパティ」
二次的著作物の企画・制作・販売及び販売許諾等

デジタルエンタテインメント」は売上も利益も圧倒的な存在感を放ち、利益効率においても高利益率を誇っています。

ただ「出版」と「ライツ・プロパティ」の利益効率はかなり高いのでこの会社にとって重要なセグメントだと思います。

ただ「アミューズメント」は現状利益が出ているからいいものの、あってもなくても正直どうでもよいのではないかという印象です。

コナミ

表26
表7
表14

「デジタルエンタテインメント」
モバイルゲーム、カードゲーム、家庭用ゲーム等
「健康サービス」
スポーツクラブ施設運営、健康関連商品の制作・製造・販売
「ゲーミング&システム」
ゲーミング機器及びカジノマネジメントシステムの制作・製造・販売
「アミューズメント」
アーケードゲーム及び遊技機の制作・製造・販売

売上は「デジタルエンタテインメント」と「健康サービス」の2強で他の2つのセグメントもバランスが取れている印象ですが、利益は「デジタルエンタテインメント」の一本槍です。

おまけに「デジタルエンタテインメント」はメイン事業でありながら利益率も一番高い(かなり高い)超優良事業なのでこのセグメントで働いている人たちは中々幸せなのではないかと思います。

そして「ゲーミング&システム」も「アミューズメント」も利益効率は高いので、この会社は割とバランスが取れた事業ポートフォリオを有していると言えるでしょう。

「健康サービス」は利益貢献度も低いし、利益効率も良くないので会社がピンチに陥った時に真っ先に削られそうな感じですが、現状は広告戦略として使えるから生き残っているのではないかと思います。

バンナム

表12
表21
表1

「トイホビー」
玩具、カプセルトイ、カード、菓子、食品、プラモデルなどの製造・販売
「ネットワークエンターテインメント」
ネットワークコンテンツの企画・開発・配信、家庭用ゲーム・業務用ゲーム等の企画・開発・販売、アミューズメント施設等の企画・運営
「映像音楽プロデュース」
アニメーションの企画・制作・プロデュース、映像・音楽ソフトのの企画・制作・販売、オンデマンド映像の配信、ライブエンターテインメント事業
「その他」
流通・物流、印刷、管理業務等

とりあえず「ネットワークエンターテインメント」が稼ぎ頭で、残りを「トイホビー」と「映像音楽プロデュース」で賄っているようです。

中でも「映像音楽プロデュース」はセグメントにおいて最も高い利益率を誇るのでここをいかに伸ばしていけるかがこの会社にとってのポイントかもしれません。

セガ

表4
表9
表16

「遊技機」
パチスロ遊技機及びパチンコ遊技機の開発・製造・販売
「エンタテインメントコンテンツ」
デジタルゲームを中核にパッケージゲーム・アミューズメント機器における開発・販売、アミューズメント施設の開発・運営、アニメーション映画の企画・制作・販売、玩具等の開発・製造・販売
「リゾート」
統合型リゾート事業やその他施設事業におけるホテルやテーマパークの開発・運営

売上こそ「エンタテインメントコンテンツ」と「遊技機」で2分していますが、利益を見るとこの会社は「遊技機」が一番の稼ぎ頭だということがわかります。

利益率を見てもその差は歴然としており、いかにパチスロとパチンコが事業として優れているかがわかります。

「リゾート」に関しては早く事業の引き取り手を見つけて可及的速やかに処分した方が良さそうです。

ここで各社の海外売上比率も確認しておきましょう。

表23

海外売上比率 順位

  • 1位:任天堂
  • 2位:スクエニ
  • 3位:コナミ
  • 4位:バンナム
  • 5位:セガ

2位以下はそこまで極端な差がなく、任天堂だけが異質なことがわかります。

任天堂だけは完全にグローバル企業として成熟しているようです。

まとめ

これまで見てきた 社の順位を「利益性」「コスト」「安全性」「チーム力」「個人技」の括りで下記します。

(総合点と平均が低ければ低いほど各項目について「優れている」ということになります。)

表10

利益性 総合順位

  • 1位:バンナム
  • 2位:任天堂
  • 3位:スクエニ
  • 4位:コナミ
  • 5位:セガ

1位~4位までそこまで極端な差はありませんが、僅差でバンナムが1位になっています。

各順位を見ているとバンナムは下位でのランクインが少なく、概ね安定して3位以上をキープしていますが、2位~4位に関しては上位ランクインの項目と下位ランクインの項目が入り乱れてバラツキが激しいことがわかります。

表17

コスト 総合順位

  • 1位:スクエニ、バンナム
  • 2位:コナミ
  • 3位:任天堂、セガ

ここでもバンナムは各項目で安定した順位を獲得しています。

スクエニは同率1位ではありますが、各項目でバラツキがあります。

任天堂のコスト効率は事業規模で圧倒的な差があるセガと同じくらいのようです。

表22

安全性 総合順位

  • 1位:任天堂
  • 2位:バンナム
  • 3位:スクエニ、セガ
  • 4位:コナミ

言わずもがなで任天堂の圧勝です。

2位以下はそこまで差はありません。

表24

チーム力 総合順位

  • 1位:任天堂
  • 2位:バンナム
  • 3位:スクエニ、セガ
  • 4位:コナミ

純利益率の差で任天堂がバンナムを抑えて1位になっています。

スクエニ・セガ・コナミはどこも一長一短で結果としてはそこまで差がありません。

表19

個人技 総合順位

  • 1位:スクエニ
  • 2位:コナミ
  • 3位:バンナム
  • 4位:任天堂
  • 5位:セガ

コナミ・バンナムとの激しい競り合いを制してスクエニが1位となっています。

そしてセガの個人技は5社の中では最弱のようです。

表13

総合順位

  • 1位:バンナム
  • 2位:任天堂
  • 3位:スクエニ
  • 4位:コナミ
  • 5位:セガ

僅差ではありますがバンナムが任天堂を抑えての1位です。

総合的に見てみてもバンナムは各項目で他社より飛びぬけて良いところは売上以外はない代わりに安定感があるのに対して、任天堂は他社より飛びぬけて良いところもあればかなり劣後するところもあるといった印象です。

各社の特徴をまとめると以下のようになります。

任天堂

  • 利益性:2位
  • コスト:3位
  • 安全性:1位
  • チーム力:1位
  • 個人技:4位
  • 総合:2位
  • ・強みは「利益性の高さ」「チーム力の強さ」「財務の健全性の異常な高さ」
  • ・弱みは「コスト効率」「個人技があまり強くないこと」
  • ・海外売上比率が7割を超えるグローバル企業

スクエニ

  • 利益性:3位
  • コスト:1位
  • 安全性:3位
  • チーム力:3位
  • 個人技:1位
  • 総合:3位
  • ・強みは「コスト効率の良さ」「個人技の強さ」
  • ・チーム力はそこまで高くない
  • ・「出版」と「ライツ・プロパティ」という金の卵を抱えている

コナミ

  • 利益性:4位
  • コスト:2位
  • 安全性:4位
  • チーム力:4位
  • 個人技:2位
  • 総合:4位
  • ・数字上の目立った強みは「個人技の強さ」くらいしかない
  • ・しかし事業ポートフォリオはバランスがとれており、中でも中核事業の利益効率が一番良いという幸せな状況にある

バンナム

  • 利益性:1位
  • コスト:1位
  • 安全性:2位
  • チーム力:2位
  • 個人技:3位
  • 総合:1位
  • ・全体的にスキが無く、抜群の安定感を見せる
  • ・「映像音楽プロデュース」が今後金の卵になりうるかもしれない

セガ

  • 利益性:5位
  • コスト:3位
  • 安全性:3位
  • チーム力:3位
  • 個人技:5位
  • 総合:5位
  • ・普通に稼いではいるが全体的にいまいちパッとしない印象
  • ・事業内容は広義で言えば「ゲーム会社」だが、狭義で言えば「パチスロ・パチンコの会社」
  • ・明らかな不採算事業を有しており、その処分如何で今後の業績が割と左右される可能性あり

志望動機として使えそうな点

任天堂

海外売上比率が高いこと

海外で仕事が出来る可能性が数字上では5社のうち最も高いので、海外でゲーム関係の仕事がしたい人には最も向いているかもしれません。

異常なまでの財務の健全性の高さ

次にいつ経営不振に陥っても耐えられるように手元に現金を置いてあるものと想定しますが、それにしても異常なまでにお金が企業内にだぶついています。

この状況を少し視点を変えて見てみると「ちょっとやそっとの失敗では揺らがない財務基盤があるので、新規ゲームの開発などでけっこう冒険出来る」と見ることも出来ると思います。

なので積極的にチャレンジをしていきたい人にとってはかなり良い環境が揃っているのではないかと思います。

スクエニ

「出版」と「ライツ・プロパティ」という金の卵を抱えていること

「ドラゴンクエスト」「ファイアルファンタジー」という超強力なタイトルを抱えているこの会社ですが、それを活かした「出版」「ライツ・プロパティ」という超高利益率の事業があることが他社にはない大きな特徴です。

なので大学で法律関係の勉強をしている方にとっては学んだことを活かすのに絶好の環境が用意されていると思うので、そういった方にとってはかなり良い就職先なのではないかと思います。

コナミ

中核事業が最も利益が出る効率の良い事業である点

純粋に「ゲーム作りに関わっていきたい」という人にとってはこの会社は会社側の需要や期待と完全にマッチするので思う存分ゲーム作りに力を入れることが出来る環境があると思うので、そういった人には最も向いているかもしれません。

バンナム

会社としての安定感がある点

玩具メーカーとゲーム会社が合体しているこの会社ですが、そのおかげか会社としての安定感は抜群で、会社としてあまり弱点らしい弱点がありません。

なので「ゲーム会社の中でも安定した企業で安心して働きたい」といういわゆる「安定志向」の人には最も向いているかもしれません。

セガ

「パチスロ・パチンコ事業」という強い相棒がいる点

5社の中で比較すると割とパッとしない印象があるこの会社ですが、事業規模もそれなりにあり、何よりしっかりと利益を出しているので大手5社という括りの中で相対的にパッとしないだけで会社の実力は割とあると思います。

そんな数字上パッとしないこの会社ですが、他社にはないものすごい強みがあります。

それは「パチスロ・パチンコ事業」という多額の利益を出してくれる強い相棒がいることです。

そういう意味ではこの会社の「パチスロ・パチンコ事業」がしっかりと稼いでくれている間は「ゲーム事業」の方は冒険が出来ます。

他の4社はゲーム業界に何がしかの逆風が吹くと会社としてピンチに陥り、それに伴って進行中の新規ゲームの開発などに待ったがかかる可能性が割と高いと想定されますが、この会社に関しては「パチスロ・パチンコ事業」に影響が及ばなければ会社として問題がなく、進行中の新規ゲームの開発などに待ったがかかる可能性は他社より低いのではないかと考えます。

「パチスロ・パチンコ事業がメイン事業」ということで偏見を持たれる可能性も無きにしも非ずですが、それはイメージの問題で内実は他社と比べてかなり特殊かつゲーム開発に有利な環境なのではと思います。

ただESや面接で「パチスロ・パチンコ事業という強力なパトロンのもと、ゲーム作りに邁進したいです。」と明け透けに言うとカドが立つので、

「御社の事業はパチスロ・パチンコ事業とゲーム事業という業界でも特殊な組み合わせなので、ゲーム業界への逆風や景気変動といった不確定な要素をある程度リスクヘッジ出来てしっかりとゲーム作りに取り組める環境があると考えました。なので御社を志望します。」

といった具合になんとなくオブラートに包んで言う方が良いと思います。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人に会ったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。