M&A支援大手の違いを数字で比較

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M&A業界
2019年09月10日
PCのマウス

ここでは日本のM&A支援大手の

  • ・日本M&Aセンター(以下:センター)
  • ・M&Aキャピタルパートナーズ(以下:キャピタル)
  • ・GCAサヴィアン(以下:GCA)

の3社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージではなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 主要子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. コスト&研究開発費の比較
  6. 従業員1人あたりの売上&利益の比較
  7. 事業セグメントの比較
  8. まとめ
  9. 志望動機として使えそうな点

①主要子会社・関連会社の比較

表5
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②事業規模の比較(単位:百万円)

表11

売上 順位

  • 1位:センター
  • 2位:GCA
  • 3位:キャピタル

純利益 順位

  • 1位:センター
  • 2位:キャピタル
  • 3位:GCA

売上高に関してはセンターとGCAが競っており、キャピタルは事業規模では他の2社に大きく劣後しているようです。

ただ純利益となると少し話は変わってきており、センターが1位なのは変わりがありませんが、最新年度ではキャピタルがGCAを大幅に引き離しての2位となっています。

「最新年度だけ比較するから順位がそうなるのではないか?」と思い、直近3年間の純利益の経年変化を見たところ、GCAの純利益は減少傾向にあるのですがキャピタルに関しては増加傾向にあるので、直近3年間で立場がほぼ入れ替わったとみて良いと思います。

③安全性の比較

表22

流動比率 順位

  • 1位:キャピタル
  • 2位:センター
  • 3位:GCA

自己資本比率 順位

  • 1位:キャピタル
  • 2位:センター
  • 3位:GCA

各社とも流動比率と自己資本比率はかなり充実しています。

中でもキャピタルの財務は3社の中でもかなり健全なようです。

④利益性の比較

表21

※各社在庫を保有していないため、在庫回転率は省略します。

純利益率 順位

  • 1位:センター
  • 2位:キャピタル
  • 3位:GCA

センターとキャピタルがとてつもない純利益率を叩き出しています。

GCAの純利益率も一般的な企業と比べると割とある方なのですが、業界から見るとあまり良くないようです。

ネットFCF 順位

  • 1位:センター
  • 2位:GCA
  • 3位:キャピタル

純利益額と純利益率が他の2社と比べて大きく劣後していたGCAですが、ネットFCFに関しては2位につけています。

ただ細かく見ていくとGCAは「有形固定資産の売却」で実質設備投資が大幅なプラスになっていたために2位につけている形になっており、キャピタルと比べると営業CFの額も設備投資額もだいたい同じくらいとなっています。

実質設備投資/営業CF 順位

  • 1位:GCA
  • 2位:センター
  • 3位:キャピタル

先述の「有形固定資産の売却による大幅なプラス」によってGCAが1位(設備投資比率がプラスになると言う珍事が発生)となっています。

なので平常時はキャピタルと同じくらいの設備投資比率です。

ただセンターの異常なお金の使わなくても良さがかなり目立ちます。

⑤コスト&研究開発費の比較

表6

※各社研究開発費を計上していないため、研究開発費/売上は省略します。

販管費/売上 順位

  • 1位:センター
  • 2位:GCA
  • 3位:キャピタル

販管費に関しては3社間でそこまで極端な差がある訳ではないようです。

それなりにお金がかかっている印象。

⑥従業員1人あたりの売上&利益の比較

表7

売上/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:キャピタル
  • 2位:センター
  • 3位:GCA

営業利益/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:キャピタル
  • 2位:センター
  • 3位:GCA

1人あたり営業利益/売上 順位

  • 1位:センター
  • 2位:キャピタル
  • 3位:GCA

売上と営業利益を見るとキャピタルの個人技の強さが目立ちます。

ただ営業利益率では非常な僅差ながらセンターの方に軍配が挙がっています。

GCAの個人技は他の2社に遠く及ばないようです。

⑦事業セグメントの比較

日本M&Aセンター

表23
表16
表20

特に余分な事業はしていないようです。

それにしても営業利益率40%超えは異常です。

M&Aキャピタルパートナーズ

表3
表4
表17

こちらも余分な事業は行っていないようです。

営業利益率も40%超えなので素晴らしいですが、経年変化を見ていくと減少していっているのが少し気掛かりです。

GCAサヴィアン

表18
表9
表24

他の2社とうって変わってこの会社はM&Aのアドバイザリー以外にも「アセットマネジメント(独立系メザニンファンドの運営)」も行っています。

そしてその「アセットマネジメント」は3年前までは完全なるお荷物だったのですが、今やその営業利益率は本業の「アドバイザリー」をはるかに凌ぐ効率性を誇っています。

そしてメイン事業の「アドバイザリー」は会社の屋大骨であることに変わりはないのですが、営業利益率は毎年かなり下がっています。

次に各社の海外売上比率を見てみましょう。

GCAは売上の大半を海外から稼ぎ出しているので、かなりグローバルな企業となっていますが、センターとキャピタルは思いっきりドメスティックな企業のようです。

表19

⑧まとめ

これまで見てきた 社の順位を「利益性」「コスト」「安全性」「チーム力」「個人技」の括りで下記します。

※各数値の偏差値を基準として順位を算出しています。偏差値の平均は50です。

※平均以下の項目を赤字で示しています。

表1

利益性 総合順位

  • 1位:センター(偏差値:61)
  • 2位:キャピタル(偏差値:52)
  • 3位:GCA(偏差値:37)

個人技の項目ではキャピタルの後塵を拝しましたが、それ以外の項目で安定して1位を獲得し続けたセンターが利益性では1位となっています。

GCAはぶっちぎりの最下位です。

表8

コスト 総合順位

  • 1位:センター(偏差値:58)
  • 2位:GCA(偏差値:57)
  • 3位:キャピタル(偏差値:36)

コスト効率に関しては僅差でGCAをかわしてセンターが1位となっています。

キャピタルはコスト効率に関しては他の2社と比べてかなり劣後するようです。

表2

安全性 総合順位

  • 1位:キャピタル(偏差値:64)
  • 2位:センター(偏差値:46)
  • 3位:GCA(偏差値:40)

コスト効率では他の2社に大きく遅れを取ったキャピタルですが、財務の健全性ではぶっちぎりの1位となっています。

センターとGCAの財務基盤も一般的に見たらかなり良いので、キャピタルに関sにては異常に財務が健全ということになると思います。

表25

チーム力 総合順位

  • 1位:センター(偏差値:64)
  • 2位:キャピタル(偏差値:46)
  • 3位:GCA(偏差値:41)

ただチーム力はぶっちぎりでセンターが1位です。

キャピタルとGCAのチーム力の差はあまりないようです。

表26

個人技 総合順位

  • 1位:キャピタル(偏差値:60)
  • 2位:センター(偏差値:54)
  • 3位:GCA(偏差値:36)

個人技ではキャピタルが1位でセンターが2位となっています。

ただこの2社間はそこまでの差はないようです。

GCAの個人技は他の2社とは比べものにならないようです。

表15

総合順位

  • 1位:センター(偏差値:61)
  • 2位:キャピタル(偏差値:52)
  • 3位:GCA(偏差値:37)

総合ではまんべんなく高順位を獲得したセンターが1位となっています。

キャピタルは財務の健全性や個人技の強さでは1位を獲得したのですが、事業規模とコスト効率で遅れを取った結果2位となっています。

GCAはこれを見るとあまりいいところがないように見えます。

強いて言えば事業規模がそれなりに大きいところと海外展開に成功しているところでしょうか。

各社の特徴をまとめると以下のようになります。

表13
  • 強み:チーム力、コスト効率
  • 弱み:(そんなに弱くないけれども)財務の健全性
表10
  • 強み:財務の健全性、個人技
  • 弱み:事業規模、コスト効率
表12
  • 強み:事業規模、コスト効率
  • 弱み:チーム力、個人技

⑨志望動機として使えそうな点

日本M&Aセンター

業界最大手かつ最優良企業である点

事業規模からして業界最大手かつ最優良企業であることを確認してきました。

なのでとりあえずM&A業界を目指すのであればこの会社を志望するのが合理的なのではないかと思います。

ただこの会社は個人技というよりはチーム力で稼いでいるフシが強いので「チームプレーの中で力を発揮出来る人」の方が向いていると思います。

M&Aキャピタルパートナーズ

個人技が強い点

事業規模では他の2社に遅れを取りますが、何といってもこの会社の特徴は個人技の強さです。

なので「優秀な人材がいる環境の中で揉まれて成長していきたい」という人には向いているかもしれません。

GCAサヴィアン

事業規模がそれなりに大きい点

正直言って数字の面では他の2社を比べてかなり劣後している印象が強く、目立ったセールスポイントに乏しいこの会社ですが、なんだかんだで業界2位の事業規模を誇っているので大手ということに変わりはありません。

なので「個人技よりもチームプレーの中で力を発揮できるけれども、諸々の理由があって日本M&Aセンターはイヤだ」という人の方が向いているかもしれません。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人に会ったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。