土石製品大手の違いを数字で比較

カテゴリ:土石製品業界
ES研究所 2018年12月28日
土石

ここでは日本の土石製品大手の

  • ・太平洋セメント(以下:セメント)
  • ・TOTO
  • ・日本ガイシ(以下:ガイシ)
  • ・日本特殊陶業(以下:NTK)

の4社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージではなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 主要子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. コスト&研究開発費の比較
  6. 従業員1人あたりの売上&利益の比較
  7. 事業セグメントの比較
  8. まとめ
  9. 志望動機として使えそうな点

①主要子会社・関連会社の比較

表17
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②事業規模の比較(単位:百万円)

表15

売上 順位

  • 1位:セメント
  • 2位:TOTO
  • 3位:ガイシ
  • 4位:NTK

純利益 順位

  • 1位:ガイシ
  • 2位:NTK
  • 3位:セメント
  • 4位:TOTO

事業規模はセメントが頭一つ抜けて大きくそのあとにTOTOが続きます。

しかし純利益ではガイシがトップに立ち、売上で最下位だったNTKが2位につけているなど、売上と純利益の順位に逆転現象が起きています。

③安全性の比較

表3

流動比率 順位

  • 1位:ガイシ
  • 2位:NTK
  • 3位:TOTO
  • 4位:セメント

ガイシとNTKが圧倒的な手元流動性を持っていることがわかります。

セメントは微妙。

自己資本比率 順位

  • 1位:NTK
  • 2位:ガイシ
  • 3位:TOTO
  • 4位:セメント

NTK、ガイシ、TOTOはそれなりの財務基盤を持っていますが、こちらもセメントは微妙です。

④利益性の比較

表14

純利益率 順位

  • 1位:ガイシ
  • 2位:NTK
  • 3位:TOTO
  • 4位:セメント

ガイシの利益効率の良さが目立ちます。

ただNTKもガイシにそこまで負けていないようです。

ネットFCF 順位

  • 1位:セメント
  • 2位:TOTO
  • 3位:ガイシ
  • 4位:NTK

純利益では下位だったセメントとTOTOがワンツーフィニッシュしています。

逆に純利益では上位だったガイシとNTKはなんとも微妙な額しか自由資金を残せていません。

実質設備投資/営業CF 順位

  • 1位:TOTO
  • 2位:セメント
  • 3位:ガイシ
  • 4位:NTK

TOTOとセメントが純利益の順位に反してネットFCFで上位にいるのは設備投資にかけるお金の相対的な少なさにあるようです。

在庫回転率 順位

  • 1位:セメント
  • 2位:TOTO
  • 3位:NTK
  • 4位:ガイシ

在庫の回転でもセメントとTOTOは3位以下を大きく引き離しています。

在庫回転数の多さが売上高の多さにつながっている可能性が高いので、NTKとガイシもここを頑張れば事業規模でもっと上に行ける可能性があるように思えます。

⑤コスト&研究開発費の比較

表4

販管費/売上 順位

  • 1位:ガイシ
  • 2位:セメント
  • 3位:NTK
  • 4位:TOTO

1位~3位まではそこまで差がついていませんが、4位のTOTOは他の3社と比べて販管費にけっこうお金を使っているようです。

研究開発費/売上 順位

  • 1位:セメント
  • 2位:TOTO
  • 3位:ガイシ
  • 4位:NTK

セメントは研究開発費にほぼお金を使っていないようです。

そしてNTKは他の3社と比べてけっこうお金を使っているようです。

⑥従業員1人あたりの売上&利益の比較

表1

売上/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:セメント
  • 2位:NTK
  • 3位:ガイシ
  • 4位:TOTO

セメントの圧倒的な個人技の強さが目立ちます。

TOTOはあまり強くないです。

営業利益/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:セメント
  • 2位:NTK
  • 3位:ガイシ
  • 4位:TOTO

営業利益でもセメントの個人技は強いですが、NTKとガイシが猛烈な追い上げを見せています。

そしてTOTOはやはり個人技は強くないようです。

1人あたり営業利益/売上 順位

  • 1位:ガイシ
  • 2位:NTK
  • 3位:TOTO
  • 4位:セメント

ガイシとNTKの営業利益率の良さが目立ちます。

個人技が弱めなTOTOは利益効率に関してはセメントを上回っているようです。

⑦事業セグメントの比較

セメント

表25
表2
表5

「セメント」
セメント、生コンクリート
「資源」
骨材、石灰石製品
「環境事業」
廃棄物リサイクル、脱硫材
「建材・建築土木」
コンクリート二次製品、ALC(軽量気泡コンクリート)
「その他」
不動産、エンジニアリング、情報処理、金融、運輸・倉庫、化学製品、スポーツその他

明らかに「セメント」がメイン事業のようですが、利益効率自体は「資源」と「環境事業」の方が良いようです。

ただ他の事業もメインの「セメント」と同じくらいの利益効率を記録していることから、事業ポートフォリオはかなり上手く組まれている印象を受けます。

TOTO

表24
表28
表23

「日本住設」
衛生陶器、温水洗浄便座、ユニットバス、システムキッチン、洗面化粧台、水栓金具・電気温水器・手すり・浴室換気暖房乾燥器等、腰掛便器用シート、プラスチック・ゴム成形部品、プラスチック浴槽、マーブライトカウンター、アフターサービス業務、住宅設備機器の施工・販売・設計・請負
「中国住設」
衛生陶器、衛生設備関連商品、浴槽、水栓金具及び部品、住宅設備機器の販売
「アジア・オセアニア住設」
衛生陶器等の製造・販売、温水洗浄便座の製造、住宅設備機器の販売
「米州住設」
衛生陶器の製造、住宅設備機器の販売
「欧州住設」
腰掛便器用シートの製造・販売
「セラミック」
セラミック製品の製造
「環境建材」
タイル建材製品の製造、塗料の開発、タイル製品の販売
「その他」
事務所など不動産の賃貸業等

売上では「日本住設」がメインとなっていますが、営業利益では「中国住設」と「アジア・オセアニア住設」が存在感を増してきています。

利益効率に関しても「中国住設」と「アジア・オセアニア住設」が「その他」を除いた事業と比べてズバ抜けた営業利益率を誇っています。

そして「欧州住設」と「環境建材」については苦戦中のようです。

営業利益率の経年変化を見ると日本と欧州の営業利益率が年々下がっているのに対して、中国とアジア・オセアニアと米州の営業利益率は年々上がっていっていることがわかります。

ガイシ

表12
表8
表16

「電力関連」
がいし・架線金具、送電・変電・配電用機器、がいし洗浄装置・防災装置、電力貯蔵用NAS®電池(ナトリウム/硫黄電池)
「セラミックス」
自動車用セラミックス製品、化学工業用耐食機器、液・ガス用膜分離装置、燃焼装置・耐火物、放射性廃棄物処理装置
「エレクトロニクス」
半導体製造装置用製品、電子工業用製品、ベリリウム銅製品、金型製品

明らかに「セラミックス」がメイン事業となっていることがわかります。

営業利益率を見てもそのクオリティは圧倒的に良く、「利益効率が高いものを多く売っている」という非常に合理的な商売をしているようです。

そして「電力関連」はこのまま行くと目下リストラ対象になりかねません。

NTK

表6
表10
表20

「自動車関連」
スパークプラグや排気ガスセンサ等、主として自動車に組み付けられる部品の製造販売
「半導体関連」
CPU用ICパッケージをはじめ、移動体通信、各種OA機器、自動車部品等に使われる各種パッケージや多層回路基板等の製造販売
「セラミック関連」
切削工具、産業機器部品、半導体製造装置用部品等の製造販売
「その他」
治工具等の販売、運送業、福利厚生サービス

NTKも明らかに「自動車関連」がメイン事業であることがわかります。

そういう意味では車業界の業績に左右される部分が大きそうです。

そして「半導体関連」は全体の足を引っ張っているようです。

海外売上比率ですがセメントとTOTOは国内中心なのに対して、ガイシとNTKは海外中心であることがわかります。

土石製品に関しては国内より海外の方が利益効率が良いのでは?という印象を受けます。

表21

⑧まとめ

これまで見てきた 社の順位を「利益性」「コスト」「安全性」「チーム力」「個人技」の括りで下記します。

※各数値の偏差値を基準として順位を算出しています。偏差値の平均は50です。

※平均以下の項目を赤字で示しています。

表26

利益性 総合順位

  • 1位:セメント(偏差値:57)
  • 2位:ガイシ(偏差値:55.3)
  • 3位:NTK(偏差値:54.6)
  • 4位:TOTO(偏差値:52)

順位はついていますが、1位~4位までの差はほとんどありません。

セメントとガイシは良いところ・悪いところの差がハッキリしていて、TOTOとNTKは目立った良いところ・悪いところはない、といった感じです。

表30

コスト 総合順位

  • 1位:セメント(偏差値:60)
  • 2位:TOTO(偏差値:53.9)
  • 3位:ガイシ(偏差値:53.8)
  • 4位:NTK(偏差値:52)

コスト効率ではセメントが他の3社と比べて頭一つ抜けています。

そして2位~4位まではほとんど差がありません。

表13

安全性 総合順位

  • 1位:NTK(偏差値:59)
  • 2位:ガイシ(偏差値:58)
  • 3位:TOTO(偏差値:54)
  • 4位:セメント(偏差値:48)

僅差でNTKが1位となっていますが、ガイシも負けてはいません。

ここでは3位のTOTOと4位のセメントに少し差がついています。

表19

チーム力 総合順位

  • 1位:ガイシ(偏差値:58)
  • 2位:NTK(偏差値:55.5)
  • 3位:セメント(偏差値:54.3)
  • 4位:TOTO(偏差値:52)

チーム力ではガイシが1位ですが、ここも1位~4位までほとんど差がついていません。

事業規模では上位2社だったセメントとTOTOは純利益と純利益率で順位を落としています。

表22

個人技 総合順位

  • 1位:セメント(偏差値:57.2)
  • 2位:NTK(偏差値:56.3)
  • 3位:ガイシ(偏差値:56.1)
  • 4位:TOTO(偏差値:49.6)

1位~3位までかなりの接戦でしたが、セメントが1位となっています。

そしてNTKとガイシはほぼ同じくらいのようです。

TOTOは個人技は相対的には他の3社よりも弱いようです。

表7

総合順位

  • 1位:セメント(偏差値:56.6)
  • 2位:ガイシ(偏差値:55.5)
  • 3位:NTK(偏差値:54.7)
  • 4位:TOTO(偏差値:53)

総合でも1位~4位までほとんど差がついていませんが、何だかんだでセメントが1位となっています。

こうして見るとこの4社は事業規模や利益効率が違ったりするけれども、総じては会社のクオリティは同じくらいのようです。

各社の特徴をまとめると以下のようになります。

表29
  • 強み:コスト効率、個人技
  • 弱み:財務の健全性
表27
  • 強み:特になし
  • 弱み:特になし
表11
  • 強み:財務の健全性、チーム力
  • 弱み:特になし
表18
  • 強み:財務の健全性
  • 弱み:特になし

⑨志望動機として使えそうな点

セメント

業界最大手の事業規模を誇る点

利益効率や財務の健全性では不安が残りますが、それでも事業規模は圧倒的に業界最大手なので「業界最大手の看板を背負って働きたい」という人には向いているかもしれません。

TOTO

色んな意味で「普通の会社」である点

目立った特徴はないことを確認してきましたが、裏を返せば目立った弱点もないという捉え方も出来ると思います。

なので「それなりに知名度もあってなおかつガツガツもしてなさそうな会社で働きたい」という人には向いているかもしれません。

ガイシ

相対的に優れたチーム力を誇る点

どの項目も一定の数値を記録しており全体的に弱点がないこの会社ですが、チーム力は4社の中で最も優れています。

なので「個人のスタンドプレーよりもチームプレーの中で力を発揮出来る」という人の方が向いているかもしれません。

NTK

財務基盤的に最も安定している点

この会社もガイシと同じくどの項目も一定の数値を記録していて弱点がないですが、財務基盤の強さが4社の中で最も優れています。

なので「財務が安定した会社で腰を落ち着けて働きたい」という人には向いているかもしれません。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人に会ったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。