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大手テレビ会社の違いを数字で比較

※本サイトでは、プロモーションが含まれている場合があります。
テレビ・ラジオ業界
2018年02月02日
夜景

はじめに

ここでは日本の大手テレビ会社の

  • ・フジ・メディアHD(以下:フジテレビ)
  • ・テレビ朝日HD(以下:テレビ朝日)
  • ・日本テレビHD(以下:日本テレビ)
  • ・東京放送HD(以下:TBS)
  • ・テレビ東京HD(以下:テレビ東京)
  • ・NHK(以下:NHK)

の6社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージだけでなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

※NHKは上場していませんが「決算報告書」が公開されているためその数字を記載しました。

目次

  1. 有名子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. 事業セグメントの比較
  6. まとめ
  7. こういう人がおそらく向いていると思われる点
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有名子会社・関連会社の比較

2017年3月時点

表26
表6

説明兼注意点としては、今回の比較は上記に記載した子会社・関連会社を含めたグループ全体の数字に基づいて比較を進めていくので、我々が見ている「テレビ」のみの数字でないことをご了承下さい。

事業規模の比較(単位:百万円)

フジテレビ

表23

テレビ朝日

表19

日本テレビ

表21

TBS

表1

テレビ東京

表22

NHK

表13

売上高 順位(2017年度)

1位:NHK
2位:フジテレビ
3位:日本テレビ
4位:TBS
5位:テレビ朝日
6位:テレビ東京

純利益 順位(2017年度)

1位:日本テレビ
2位:NHK
3位:フジテレビ
4位:TBS
5位:テレビ朝日
6位:テレビ東京

売上高においてはNHKとフジテレビが競っている状態で(といってもNHKは受信料による安定した収入でフジテレビは主にテレビの広告収入なので単純比較するのは気が引けますが)、そのあとに日本テレビが追随するといった形になっています。

純利益は日本テレビが単独トップといった形です。

そして見てのとおり、テレビ東京は規模的には他と比べて圧倒的に小さいことがわかります。

安全性の比較

フジテレビ

表30

テレビ朝日

表7

日本テレビ

表9

TBS

表27

テレビ東京

表32

NHK

表20

流動比率 順位(3年平均)

1位:テレビ朝日
2位:日本テレビ
3位:テレビ東京
4位:フジテレビ
5位:TBS
6位:NHK

自己資本比率 順位(3年平均)

1位:日本テレビ
2位:テレビ朝日
3位:TBS
4位:テレビ東京
5位:NHK
6位:フジテレビ

日本テレビはこの2つの項目でも上位にランクインしています。そういう意味では事業規模と財務の安全性のバランスを上手く取っていると言えるでしょう。

そしてさきほどの事業規模のランキングでは下位だったテレビ朝日が上位に来ているので、テレビ朝日は事業規模こそ小さめだけれども財務の安全性は割と良いということになるでしょう。

逆に国営放送のNHKは資金をあまりため込んでいないことがわかります。

利益性の比較

フジテレビ

表12

テレビ朝日

表5

日本テレビ

表25

TBS

表33

テレビ東京

表11

NHK

表31

利益率 順位(3年平均)

1位:日本テレビ
2位:テレビ朝日
3位:NHK
4位:TBS
5位:フジテレビ
6位:テレビ東京

ネットFCF 順位(3年平均)

1位:NHK
2位:TBS
3位:日本テレビ
4位:テレビ朝日
5位:フジテレビ
6位:東京テレビ

実質設備投資/営業CF 順位(3年平均)

1位:TBS
2位:テレビ朝日
3位:NHK
4位:日本テレビ
5位:フジテレビ
6位:テレビ東京

利益率こそ日本テレビは良いようですが、ネットFCFに関してはそこまででもないようです。

そしてNHKのネットFCFは他の5社と比べて圧倒的に多いことがわかります。(約443億円)

実質設備投資/営業CFを見るとTBSは事業の維持に全然お金をかけてなくても回っていくようです。

これまで見た項目ではいまいちパッとしなかったですが、ネットFCFの順位もNHKに次ぐ2位にランクインしています。

そしてやはりテレビ東京は色々な意味で圧倒的に小さいですね。

事業セグメントの比較

フジテレビ

表18
表29

グループ全体での売上を見る限りではイメージ通りに「放送事業」が稼ぎ頭になっていますが、利益を見るとまさかの「都市開発事業」との2本柱(なんなら近年では構成比率が完全に逆転している)であることがわかります。

この「都市開発事業」は「グランビスタホテル&リゾート」や「サンケイビル」「サンケイ会館」の運営をしているそうです。

テレビ朝日

表17
表28

テレビ朝日に関しては順当に「テレビ放送事業」で稼いでいるようです。

日本テレビ

表8
表2

日本テレビも「メディア・コンテンツ事業(=テレビなど)」が稼ぎ頭ですが、利益に目を向けると「不動産賃貸事業」の貢献度が割とあるようです。

TBS

表10
表4

TBSはさきほどのフジテレビと同様に利益の稼ぎ頭が「不動産」になっています。

そしてカンジンの「放送」は売上貢献度こそ一番高いですが利益貢献度は一番低いことから、TBS全体においてテレビ関連は利益効率が一番悪いということになります。

ちなみに「不動産」のメイン物件は「赤坂Bizタワー」と「赤坂サカス」とのことです。

テレビ東京

表3
表24

テレビ東京はセグメントこそ色々と分かれていますが、要は「地上波放送事業」「放送周辺事業」「BS放送事業」の3つを合わせたものが他社で言う「テレビ事業」になるので、上記で見てみた民放の中では一番テレビ会社っぽいテレビ会社と言えるでしょう。

NHK

表15
表14

NHKはメインこそ「放送事業」ですが、次に来るのが「放送展開事業」となっています。

ざっくり説明すると「制作したテレビ番組の二次利用を手掛けている事業」となります。

具体的にはDVDを販売したり、本にして出版したりCDを売ったりキャラクターグッズを売ったりなどです。

まとめ

これまで見てきた6社の特徴をまとめると以下のようになると思います。

フジテレビ

  • ・事業規模はNHKに次ぐ国内2位
  • ・利益効率はそこまで良くない
  • ・グループ全体では「不動産事業」が稼ぎ頭として近年台頭してきている

テレビ朝日

  • ・事業規模は国内5位とそこまで大きくない
  • ・財務は非常に健全
  • ・事業継続に毎年お金をそこまでかけておらず、堅実な経営をしている印象
  • ・順当に「テレビ事業」で稼いでいる

日本テレビ

  • ・事業規模はフジテレビに劣後するものの、利益効率は6社の中で一番良い
  • ・財務の健全性も高く、6社の中では一番バランスがとれている印象
  • ・グループ全体では意外と「不動産事業」の利益貢献度が高い

TBS

  • ・事業規模は6社の中では下位にランクインする程度
  • ・グループ全体の稼ぎ頭は「不動産事業」で、テレビ事業はそこまで利益効率が良くない
  • ・事業継続に必要なコストが6社の中で最も少ない

テレビ東京

  • ・色々な意味で一番小さい民放キー局
  • ・毎年の事業継続に必要なコストがかなり多く、手元にCFがほとんど残らない
  • ・テレビ事業の一本槍で経営をしている

NHK

  • ・事業規模は国内最大
  • ・他の5社と比べると毎年手元に残るCFが圧倒的に多い
  • ・「受信料収入」というCF安定製造機を保有するビジネスモデルのため、色々と安定している

こういう人がおそらく向いていると思われる点

フジテレビ

NHKを除けば事業規模は民放で国内トップなので、いわゆる「業界最大手の看板を背負って仕事がしたい」と思っている人

テレビ朝日

堅実な会社で働きたいと思っている人

日本テレビ

財務が健全なところで、国内としてはそこそこの予算をもらいながらテレビ番組の制作がしたい人

TBS

「テレビ番組の制作」と「テレビ番組の二次利用としての不動産事業」の2つを念頭においた「フィクションとリアルの融合」みたいなことがしたい人

テレビ東京

いわゆる「下剋上精神」や「ベンチャースピリット」を持っている人(事業収入が少ないので、おそらく低予算でいかに面白いテレビ番組を制作出来るかが力量として問われてくると想定される)

NHK

「受信料収入」という強力な後ろ盾のもとに安定してテレビ番組を制作していきたい人

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人にあったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。