もくじ
1. はじめに
最終面接通過後に内定受諾書という書類の提出を求められることがある。この内定受諾書を提出後もこっそり就活を続け、あとあとより志望度の高い企業から内定を獲得してしまうケースは少なくない。
そこで、このページでは『内定受諾書の提出後の辞退は法的にNGか?』について解説する。
2. 内定受諾書とは
まず、内定受諾書とは、最終面接通過後の内々定を通知・証明するとともに、就活生に対して、自社への入社意志を表明する書面のことである。名前や住所の署名とともに、印鑑を押すことでその意志を表明させることが一般的である。
人事は、一般的に内定受諾率にノルマを課されている。従って、ひとたび内定を出したからにはそうやすやすと内定を辞退されては困る。もちろん社内のルールとして書面でのやりとりを行う企業もあるが、内定の通知と受諾を口頭ではなく、書面で、それも捺印まで行わせることで確かな意思確認を行い、辞退をしづらくさせる目的もある。
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3. 内定受諾書の提出後辞退は可能か
結論から言うと法的には可能である。法的には入社2週間前まで、できれば『内々定』が『内定』となる10月1日までに辞退するのが望ましい。憲法において『職業選択の自由』は保証されている。従って、書類に法的な効力はなく、絶対に内定者の意志のみで辞退できる。
しかし、この内定受諾後の辞退は採用計画に対して大きなズレを生じさせ、迷惑をかけてしまう。入社の意志が無いのであれば1日も早くその旨を人事に伝えるのが好ましい。人事の都合で大切なファーストキャリアを犠牲にしろとは間違っても言わないが、いたずらに誰かの不都合を大きくする様なことはしないに越したことはない。
4. 正しい考え方で自分の身を守ろう
就活生と人事の立場は対等である。もちろん、応募者に対して予定している内定通知数は少ない場合がほとんどだ。従って、就活生は選ばれる立場にある。しかし、憲法で保証された職業選択の自由を有している以上、ひとたび内定を獲得したあとは、自らの意志でどの企業に入社するかを選んで良い。『最近の学生は内定を出しても入社しないから困る』などといった言説もweb上で散見されるが、この考えは就活生は企業(人事)よりも立場が低いという前提に立った意見であり、見当違いだと言える。内定を獲得しきった上で、自分にとって最適な企業を選択することはいたって自然で合理的である。内定の獲得に通知書が条件となる中で、入社・辞退いずれの決断も出来ない状況であれば、いったん通知書に署名・捺印提出し、熟慮の上、決断ができた時点で礼節をもって辞退すれば良い。
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5. 内定受諾書の提出後の辞退の方法
内定受諾書の提出後に辞退をするときは、メールや対面よりも電話が好ましい。メールでの連絡だと内定受諾という行為に対して、少しコミュニケーションの形式が軽薄に思える。また、結局人事サイドから電話がかかってくる。いきなり対面で通知すると、長時間の拘束を受けたり、人事サイドからの詰問に合ったりする可能性がある。辞退の決意ができているのであれば相手の時間を奪ってしまうこともまた迷惑となってしまう。従って、電話がもっとも好ましい。
電話を掛けた上で、礼節をもって辞退の意向を伝えよう。人事側にとっては完全な不都合であるから、言いづらい気持ちはわかるが、内定通知に向け人事の人たちが沢山の時間を使ってくれたのも事実である。しっかりと礼節をもって辞退の意向は伝えよう。もちろん、本当に恩義を感じていて、きちんと対面で辞退を伝えたいのならば説得されることを覚悟の上、訪問するのが好ましい。
オワハラにあったら
辞退の電話をすると、なんとしても入社させるために、
- ■ 採用計画が狂った。損害賠償をせざるを得ない。
- ■ お前のために落とした学生に対して責任を取れ。
- ■ この業界で生きていけ無くさせてやる。
といった脅しをかけてくる採用担当者もいるが、全て法的には無効である。損害賠償も出来ないし、就活生1人を業界で生きていけ無くさせる影響力も人事には無いし、あったとしてもそこまでするメリットがない。また、
- ■ 社会人として対面で断るのが礼儀だから1度来い。
- ■ 交通費や内定者懇親会の費用を全額返金して欲しい。
- ■ 対面で書面を渡してもらわないと辞退を受理できない。
等といって就活生の経験値が低いのをいいことに、あの手この手でとにかく対面での説得・拘束の機会を獲得しようとしてくるが、この手の集団で会おうとする企業に訪問してもろくな目に合わないのは明白なので、取り合わなくて良い。電話で辞退を伝えれば十分である。
6. まとめ
いかがだったろうか。内定受諾書の提出後の辞退の法的に効力についてまとめる。
人事の都合のために自分の人生を犠牲にする必要はない。書類の提出後に、考えが変わることは悪いことでもなければ異常なことでもない。だから、提出後の辞退に負い目を感じることはない。しかし、辞退連絡が遅れることで不必要に人事側を困らせても誰も幸せにならない。決断ができ次第、すぐに辞退連絡を入れよう。