もくじ
1. はじめに
ここでは就活におけるKGIとKPIについて解説する。ここでは
- 就活おける成果とは何か
- 就活において見るべき指標は何か
- なぜそれらを見るべきなのか
について理解してもらえればと思う。
2. KGI・KPIとは何か?
ここで先に、用語の解説をしておく。
- ■ KGI(Key Goal Indicator)
- → 組織やプロジェクトが達成すべき目標を定量的な指標で表したもの。
抽象的な理念や目的のようなものではなく、「いつ、どの指標がどのレベルに到達したら目標達成とみなすのか」を定義したもの(例:3年後に売上高を10億円以上にする)で、その際に選択された指標自体(例:売上高)のことをKGIと呼ぶ場合もある。IT用語辞典より
- ■ KPI(Key Performance Indicator
- → KPIはプロセスの実施状況を計測するために、実行の度合い(パフォーマンス)を定量的に示すものである。KGI達成に向かってプロセスが適切に実施されているかどうかを中間的に計測するのが、KPI。
ITmediaエンタープライズより
例えば、1ヶ月で3件の新規顧客開拓を目標としたプロジェクトを行うとき、
- KGIは
- 1ヶ月で3件の新規顧客受注
- KPIは
- そのための商談数・商談成功率・アポイント成功率・営業電話の件数
等になる。学校の勉強と異なり、仕事には誰かが作った明確な正解の指標は無い。そこで、自分たちでなにをもって成果とするかを定義し、それを実現するために必要なプロセスの達成条件を数値に落としこむ。
3. 就活をKGIとKPIで捉える
では早速、上記におけるKGIとKPIの考え方を就活にも落とし込んでみる。
就活における目的とは何か?
まず、就活の成果を定義するために目的を整理する。就活の目的は「行きたい企業にいくこと」である。この時“行きたい企業”がどのような企業とするのかは人による。
就活の目的の参考記事
就活のKGIは第一志望合格ではない?
就活の目的を考えると、就活のKGIは「第一志望からの内定」としてしまいがちである。しかし、個々にスタンスが異なる企業が独自の”採用基準“をもって選考を行うため就活偏差値の様な単一のものさしで企業を並べるのは難しい。具体的には、各社「何を持って良しとするか」の基準が異なるため、「優秀だからといって特定の企業から内定を獲得できるとは限らない」という現象が発生する。例えば、電通に内定するがJR東海には1次選考で落ちてしまう、戦略コンサルには内定出来たがプラント・エンジニアリングの会社には2次選考で落ちてしまったといった事例は非常に多い。就活では能力に応じて相応の企業から内定が獲得できる可能性は高いが、”適性(合う、合わない)“の指標がある異常、特定の企業からの内定確率を高めていくのは非常に難しい。
就活におけるKGIとは何か?
そこで、就活におけるKGIはKGI=第一志望群からの内定数に設定することをすすめる。なぜなら、内定を獲得できていなければ入社することが出来ない以上、まずは選択肢の数を意味する内定数の最大化を目的に行動する方が合理的だからである。
第一志望群の定義は「その1社からしか内定を獲得できなかった時に、入社するな」と思える企業群のことである。選考に参加できる期間は有限であるから、「この企業からしか内定を獲得できなかった時、なんだかんだいくんだろうな。」と思える企業は一通り選考に参加し、獲得可能な内定を獲得しきった上で、選択肢を比較検討し入社先を決定する方が合理的である。
就活におけるKPIとは何か?
では、KGIを設定した上で、内定獲得数を最大化するために重要な指標はなにか。それは
KPI=ESの提出数
である。
内定数=選考機会数×選考通過率
まず、内定の獲得数は選考に参加した企業のうち、どれだけ多くの企業の選考に通過出来るかで定まる。ビズリーチの南壮一郎さんが「採用は確率論」と語る様に、就活も「確率論」である側面は否定出来ない。従って、当たり前だが、10社受ける就活生より100社受けた就活生の方が最終的な内定獲得数(選択肢の数)は多くなる可能性は高いと言える。「この企業しか内定を獲得できなかった時には入社以外の道を選ぶな」という企業以外は積極的な選考参加を推奨する。
選考通過率=成長係数α×経験機会数
次に選考通過率は、1回1回の経験機会からどれほど多くのことを学び、合理的に次の機会に活かせるかどうかで定まる。この1回の経験から多くを学び、次に活かす器用さのことを”成長係数”と定義した。この成長係数は個々の人間によって異なる。経験的にご理解頂ける様に、10回やって覚える人間もいれば、100回やってようやく覚える人間もいる。しかし、成長係数が0にならない限り、経験は必ず成長を生み、ちりの様な成長を継続させることで最終的には”器用なやつ”に勝つ人間もいる。自分の成長係数が他人と比べて高いかどうかは憶測の域を脱さないため、経験機会を1回でも多く確保したほうが自らの選考通過率を高めることに繋がる。
経験機会数=ESの提出数×ESの通過率
上記で1回でも多く確保したほうが良いとした経験機会数は出したESのうちどれだけ多くのESが書類選考を通過したかによって定まる。ESの提出数以上に経験機会を得ることは出来ない。ここでもESの通過率を絶対に100%にする方法が無い以上、1枚でも多くのESを提出して、経験機会数を担保することが、最終的な内定獲得数、すなわち選択肢の総量を増やしてくれる。
なぜESの提出数をKPIとしたのか?
ESの提出数を就活のKPIとする理由は次の2つである。
■ESの提出数が選考通過率と内定数の両方に影響するから
ESの数を出さないと経験機会(選考の練習機会)が確保できない。練習機会が無いから面接やGDのスキルが上がらない。選考に参加した企業の数も少なく、参加できた選考でも実力が不足しているため通過率が低く通らない。この負のサイクルを経てNNTに陥る可能性が高まってしまう。
■自分の意志と努力だけでコントロール出来る唯一の数字
KGIである内定獲得数や経験機会(選考機会)は、外的要素(例:たまたま人事との相性が悪い、たまたまテストで本領発揮出来なかった等)により自身の努力でコントロールできない。しかし、ESの提出数だけは唯一誰にも邪魔されず自分の努力だけで数字を上げていくことが出来る。このKPI目標の未達は単に自分が頑張っていないだけということを意味する。
就活のKGIとKPIのまとめ
いかがだったろうか。就活のKGIとKPIについてまとめる。
最終的な内定獲得数は様々な要素によって決まるため、運や偶然に左右されてしまうことも無いとは言いきれない。しかし、ESの提出数は自身の努力量そのものである。興味が無いだとか、何を書けばいいかわからないとか、業界は絞らないといけないからといった「やらない理由」を並べるのではなく、合理的に成果を追求し、後悔ない就活を送るために積極的なKPIの設定と追求を推奨する。