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就活で自己分析の意味が無い3つの理由

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カテゴリ:就活の基本戦略
ES研究所 2024年06月05日
就活で自己分析の意味が無い3つの理由

もくじ

  1. はじめに
  2. 一般的な就活の自己分析の定義
  3. 一般的な就活の自己分析の意味が無い3つの理由
  4. 意味のない自己分析をしないために
  5. まとめ

1.はじめに

このページでは、自己分析を行おうとしたものの

  • 「就活の自己分析が出来ない」
  • 「就活の自己分析が終わらない」
  • 「就活の自己分析に自信がない」
  • 「就活の自己分析は意味がないと思う」

という就活生に向けて、「自己分析の意味が無い理由」を3つにわけて解説する。このページでは

  • 「一般的な自己分析が何故就活の成果に意味をなさないか」
  • 「就活において本来行うべき自己分析の目的は何か」

がわかってもらえればと思う。

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2.一般的な就活の自己分析の定義

就活において最初にやれと言われる自己分析の目的は

「一般的な自己分析の目的=自分に最適な企業を知るために自分を知ること」

と定義する。

就職活動のゴールを「自分に最適な企業に入社すること」と置き、そのためには「自分に最適な企業はどこか」を知らなければならず、「自分に最適な企業」を知るためには、「自分がどんな人物なのか」を知らなければならない

という論理の下、一般的な自己分析の目的は語られる。もちろん、この論理自体は正しい。企業にも個性があり、人間にも個性がある。両者の個性が活かしあえるように仕事と求職者はマッチングされるべきだ。

しかし、どれほど納得がいくレベルで「自分に最適な企業」を知ることが出来たとしても、入社することが出来なければ本末転倒だ。この一般的な自己分析が、自分に最適な企業を導くことが出来ないどころか、就活生を内定に1歩も近づけることが出来ない理由について以下の3点から説明する。

3.一般的な就活の自己分析の意味が無い3つの理由

上記で定義した「自分に最適な企業がどこか」を知ることを目的とした“一般的な自己分析”が就活において意味が無い理由を以下の3つに分けて説明する。

理由1.自己分析の結果が正しくない

1つ目の理由は、自己分析によって導き出した「自分はどんな人間か?」という問いに対する回答が正しくないからだ。この回答が正しくなければ、そこから導かれる「自分に最適な企業」は最適ではない可能性が高い。この自己分析の結果が正しくならない理由としては

  • ■ “願望バイアス”が掛かってしまうから
  • ■ ”働かざるを得ない“という経験がないから

の2点があげられる。

■ “願望バイアス”が自己分析には掛かる

おそらく大半の就活生が”自己分析”という言葉は、就職活動を意識するようになってから耳にするようになったものだと思う。就職活動においては、優秀で、企業が求める人材から順番に多くの希望通りの内定を得ていく。この就職活動という場面において、「もしかして自分に合ってる企業って無いのではないか?」という苦しい結論を導かないように、

「自分はこういう人間である」

という実体が、「こんな人間でありたい」という“願望”フィルターを通過することで

「自分はこんな人間であるはずだ」

という情報にすり替えられてしまう。もちろん全部がこれに当てはまるとは言わないが、自己分析の結果として得られがちな「負けず嫌い」や「人のために尽くせる」といった分析結果は、実体を伴った中身のあるものだろうか?就職活動における必要性に迫られて焦ってとりあえずウケの良さそうなものを言葉にしたものだったり、願望フィルターがかかってしまって「自分自身の実態」ではなく「自分自身の願望」になってしまってはいないだろうか?もしそれが“願望”であって実体ではないとするならば、そこから導かれる「自分にとって最適の企業」は間違った企業である可能性が高い。

■ ”働かざるを得ない“という経験がないから

自己分析の結果を誤ったものにさせるもう1つの理由は、「そもそも働いたことがない」という事実にある。アルバイトやインターンの経験があると言う学生もいるかもしれないが、生活を続けるために辞めるハードルが高い社会人の「働く」とは大きく異なる。嫌でもやらないといけないこともやりきり、嫌でも協働しないといけない人と協働し、稼いだ金の多くは生活するために消えていき自由に使えるお金は学生時代と大差がないというのが「働く」という行為の大半のリアルだ。こうした行為を続ける中で、少しずつ見えてくるのが働くという行為における自分自身だとすれば、働いた経験のない学生から「働くという行為における自分自身」が正しく導かれることはありえない。

理由2.自己分析の分析結果を伝える技術がない

2つ目の理由は、自己分析によって導き出した「自分はどんな人間か?」という情報を、正しく他者に伝える技術を多くの就活生が持っていないからだ。就職活動においてはエントリーシートや面接を通じて、「自分がどのような人間であるか(強みは何であり、どんなスタンスを持つか)」を相手に伝えることになる。この時、伝える相手は、基本的に初対面となる人物で、自分の背景情報を一切知らない。こういった人物に限られた時間で「自分がどんな人間であるか」を伝えることは実は容易ではない。きちんと訓練を積まなければ、複雑で、多面的で、抽象的な自分自身という情報を、初対面の相手に伝えきるということは難しい。採用担当者に伝わらない情報はそもそも存在しない情報とおなじだ。従って、こうした「伝える技術」を持たない就活生が仮に自己分析でどれだけ素晴らしい分析結果を得ることができたとしても、採用担当者にその情報を伝えられないがために、いくら自己分析をしても内定に近づくことは出来ない。

繰り返しになるが

  • 自分はどんな人間かという抽象的情報を
  • 初対面の相手に対して
  • 限られた時間で
  • 伝えて良いと思ってもらう

ことを実践するための技術なしに、いくら「自分がどんな人間か」を分析しても伝わらないのだから意味が無い。

理由3. 内定しない可能性が高い自分に最適な企業を導く

一般的な自己分析が就活生を内定から遠ざける3つ目の理由は、「企業を選ぶ」と「企業に選ばれる」の順序を間違えてしまうからだ。就活生の2つの立場と、2つの自己分析で書いたように就活生は行けるかどうかわからない企業の中から「どの企業に行くべきか?」を考える前に、「どの企業達から内定を獲得するか?」という論点の下、戦略的に行動する方が合理的だ。

しかし、多くの就活生は一般的な自己分析を行った結果、”願望フィルター”にさらされて本来の自分よりも勝手に良くなってしまった自己像をもとに、自身の学歴や能力を無視して「内定が獲得できる見込みが極めて低い人気企業」ばかりに勝手に業界を絞ってしまう。間違いなく「学歴フィルター」は当たり前に存在する(参考記事:うざい学歴フィルターの考え方と回避法)からそもそも実質選考にすら参加できない可能性すらある。企業は自社のビジョン実現や利潤最大化に貢献できる人材を社員として獲得するために採用活動をしているに過ぎない。従って採用活動は、目の前の選考対象が「どれだけ自社に入社したいと思っているか?」ではなく「どれだけ自社に入社するべきか?(利潤最大化と選考対象の幸福最大化の両項を満たすか?)」という論点の下に執行される。

繰り返しになるが、企業から内定を獲得できなければその企業には入社できない。従って、自身の学歴や能力を無視して「内定が獲得できる見込みが極めて低い人気企業」ばかりに勝手に業界を絞り込み、一通り受けた後に1社からも内定を獲得できなければ、必然的に、入社先がないという就活において成果をあげられなかったという事態に陥ってしまう。

以上が、一般的な就活の自己分析が就活生を内定から遠ざけてしまう理由だ。

4.意味のない自己分析をしないために

意味のない自己分析をしないためにはどうするべきか?それは、「行けるかどうかわからない企業のうち、どの企業が自分にあっているか」という議論ではなく、「いかに企業から内定を獲得するか」という論点の下、自己分析を通じて

  • 自分自身の強みは何か
  • 自分自身のスタンスは何か

の2点を明らかにし、それを

初対面の他者が聞いても分かるような言葉と論理に落としこむ

ことが必要だ。その上で、エントリーシートや面接を通じて、上記の情報を他者に伝えられるようになる努力を積み、内定を一通り獲得してから、意志があれば行ける企業の中から「自分にとって最適な企業はどこか?」という分析をじっくりと行えば良い。

就活生の2つの立場と2つの自己分析

5.まとめ

いかがだったろうか。就活での自己分析の意味の無さについてまとめる。

自己分析の意味が無い3つの理由

  • 1.分析結果が正しくない
  • 2.分析結果を伝える技術がない
  • 3.内定しない可能性が高い自分に最適な企業を導く

意味のない自己分析に陥らないためには、まず内定を獲得するために

  • 自分の強みを明らかにする
  • 自分のスタンスを明らかにする
  • この2つを他者に伝わる言葉と論理に落としこむ

ことが必要。

就職活動がはじまると、先輩も、キャリアセンターも、人事も、様々な就活名人たちも、口をそろえて「自己分析が大切です」と説く。だが、自己分析を「自分に最適な企業を知るために自分を知る」目的の下に実践することに終止し、「内定を獲得するために他者に自分がどんな人間かを伝える」目的の下に実践することが出来なければ内定を獲得することが難しく、ひいては希望の入社先に入社することも難しくなる。

このページでは自己分析そのものを否定しているのではない。自分がどんな人物で、どんなことをしたいのかを知りに行くことは重要だし、どうせ生きるなら目的意識をもって生きたほうがいいと考える。ただ、就活において、正しい結果が導けず、導けたとしても殆どの場合伝える技術が無く、下手をすればそもそも内定可能性の極めて低い企業に自らの選択肢を狭めてしまうリスクの有る自己分析を通じて納得の行く成果(行きたい企業への入社)をあげようと考えることに疑問を呈している。