自己PRのNGテーマのもくじ
1. 自己PRのNGテーマのはじめに
大学時代に、学生企業やインターン等あまり意識の高い活動をしてこなかった場合、苦し紛れに自己PRのテーマを選出し、ESの通過率・面接の通過率を劇的に下げてしまうケースが多い。就活でまず追うべき成果が『第一志望群の内定数』であることを考慮すると、選考通過率が低いまま終始してしまうのは本末転倒である。そこでそういった事態に陥ることを防ぐため、このページでは『自己PRで使ってはいけない6つのテーマとその理由』を解説する。
2. 自己PRのテーマとして選ぶべきもの
自己PRとは自身の『優秀さ』と『価値観』を採用担当者に伝えるために行う。自己PRのテーマとはこの2点をより納得感をもって相手に伝えるための根拠となるものであり、その人の強みと価値観が見いだされる事実でなければならない。この様な事実であるためには以下3つの条件を全て満たす必要がある。
- (1) 取り組み期間が一定の長さ
- →ただし、ただ長々と取り組んでいれば良いわけではない。
- (2) 一定の難易度がある目標をもっている
- →ただし、取り組み期間が短すぎると事例としての妥当性に欠ける。
- (3) 現在との時間的距離が近い
- →“今の自分“を説明するためには最近の事柄を使うべき
従って、この3つの条件を満たさないテーマは自身の強み・価値観を採用担当者に伝える際に根拠として機能しなくなる可能性が高いため、自己PRに使われるべきではない。
3. 自己PRで使ってはいけない6つのテーマの具体例
では、早速自己PRで使ってはいけないテーマの具体例を見ていこう。
(1) 短期インターン
短期インターンは、取り組み期間が3ヶ月を下回る場合は自己PRのテーマとしてあまり用いるべきではない。インターンの経験は大学生にとっては非日常的であり、企業ウケも良いと捉えられ、短期インターンであっても使われがちであるが、そもそも、3年間という長い大学生活の中で“頑張った期間”が数日、数週間という時点で活動量が乏しい人材と思われてしまう。また、それだけの短い期間から自分の強みや価値観を相手に伝えるのは難しい。よって、自己PRのテーマとして使うべきではない。
(2) 短期留学
短期留学もインターンと同様に3ヶ月を下回る場合自己PRのテーマとして使うべきではない。グローバル志向やチャレンジ精神を伝えられることから企業ウケが良いと思われがちである。また、文化・言語の違いを乗り越え、その地に根を張って生活することは容易ではないため、自身の大学生活における成功体験として伝えたくなる気持ちもわかる。しかし、短期インターン同様に、あまりにも短すぎる期間から”あたならしさ(他の就活生との違い)“を採用担当者が見出すことは難しく、自己PRのテーマとして選出した時に通過率にマイナスに作用する可能性が見込まれる以上、自己PRのテーマとしては使わない方が良い。
(3) 短期のアルバイト
リゾートバイトや数ヶ月間のアルバイトも短期留学・短期インターン同様に自己PRのテーマとして使うべきではない。ただし、リゾートバイトの場合2年、3年と継続して参加している場合はこの限りではない。続かなかったアルバイトの話は、仕事が続かない人間、仕事を通じて成長できない人間と捉えられてしまうリスクが高く、自己PRのテーマとして使うのは望ましくない。
(4) 中学時代の話
現在との距離が遠すぎるため自己PRのテーマとして使うべきではない。中学生の頃の話を事例として用いて自身の人間性を説明するのは、事例が古すぎて確からしさが不足してしまう。多感で変化が大きい思春期を経て中学生の頃と人格・能力・価値観が変わってきていると考えるのが自然である。従って、“今のあなた”を説明するのにふさわしくないから自己PRのテーマとして使うべきではない。
高校時代の話は、『学生時代に頑張ったこと(※大学時代ではない)』という設問に限っては、受験の話を除いて使っても問題の無い場合が多い。しかし、採用担当者としては『3年もあった大学時代は何してたの?』と疑問を抱くのは自然なことなので、結局大学時代に注力したことも伝えられるようにならなければならない。
(5) 大学受験(高校受験)
大学受験や高校受験は以下の4点から学生時代頑張ったことや自己PRのテーマとして評価されないことが多い。
1. 主体的な活動ではない
→受験は『進学のためにやらなければならないこと』であり、自らが主体的に(自らの意志で)作り出した機会ではない。そのため、主体的に取り組んでいた事柄とくらべて、“その人らしさ“を見出すことがむずかしいと言える。
2.成果定義が明確で、行動を自分で考え無くて良い
→受験には受験科目があり、点数という明確な成果がある。問題の出題形式が固定的であり、『知識の暗記』と『解放の暗記』で一定の成果をあげられてしまう。実際のビジネスでは自ら成果を定義し、自ら行動を設計して取り組む必要があるため受験のテーマは成果の再現性に乏しい。
3. 人を巻き込んでいない
→大学受験における努力は机に向かって単独で行われるため人を巻き込まない。実際のビジネスでは協働(人を巻き込んで働くこと)がメインとなるため、成果の再現性が乏しい。
4. 希少性が乏しい
→大学生の多くが大学受験においては同じように(質的)、同じぐらい(量的)頑張ってきているため、“その人らしさ”を見出すことが難しい。
実際のESでも、『学生時代頑張ったこと(大学受験以外)を教えて下さい。』と、大学受験の経験を明確に除外した形で解答を求めている場合もある。
(6) 目標設計の弱いボランティア
ボランティア活動自体は否定されるべきものではない。しかし、『参加そのものが目的』となっているボランティアの場合は、自己PRのテーマとして用いるべきではない。例えば、募金活動のために毎日特定の場所に立った話は自己PRのテーマとしてふさわしくないが、目標金額10万円の獲得のために試行錯誤した話は自己PRのテーマとしてふさわしい。対価を求めないボランティアの活動と、報酬(=売上)という明確な対価を求めるビジネスの活動は似ているようで異なる。しかし、目標達成というプロセスにおいては共通点が多いため、再現性の高い経験として自己PRのテーマとして用いることができるのだ。具体的に『何がどうなったら成功』と成果が定義され、定量的な目標に向けて一定期間継続的に降り組んだボランティア活動であれば是非自己PRのテーマとして用いるべきであるが、そうでない場合は用いるべきではない。