もくじ
1. はじめに
こんにちは。エントリーシート研究所の見谷です。
今回は今後の人材業界について書かせて頂きたいと思います。未来のことは不透明なことが多いですが、だからこそ自分はこう考えているというのを面接官にアピールしてライバルと差をつけていきましょう。
2.日本の人材市場が向き合う課題
人材市場が直面する構造的な問題は、なんといっても少子高齢化です。モノやサービスを消費する人が減れば作る必要が無いので雇用が減ります。雇用が減れば、人材業界にお金を落としてくれるクライアントが減ってしまうことになるのです。御存知の通り、日本は人口は絶賛減少中ですが、大切なのは「この高齢化社会によってどのようなことが起こるのか」ということです。起こることとして、私は主に2つあると考えています。
■人口が減れば雇用が減り、雇用が減れば人材紹介の仕事が減る
1つ目は、先程述べたように、日本の労働力が減少し日本経済が衰退する可能性があります。ここで、再び、日本の人口の推移を数値で確認しましょう。
出典: 人口推計(2023年(令和5年)12月確定値、2024年(令和6年)5月概算値) (2024年5月20日公表)総務省統計局
人口は減少し続け、なかでも15~64歳人口(グラフ青色の箇所)という働ける人々の人口が年々少なくなっています。働ける人々が減るということは、モノやサービスを消費する人が減るということです。モノやサービスが消費されないということは、雇用は減っていくということです。そして再び、働ける人々が減るということは…。従ってこの負のサイクルを続ける日本はジリ貧であると言えます。余談ですが、この少子高齢化の数字は面接やグループディスカッション、フェルミ推定でも応用が効くかと思うので、チェックしておくと良いです。
■医療・福祉・介護業界での人材業界の仕事は増える
2つ目は、「少子高齢化を背景に急激に成長する特定分野での人材不足が加速する」ということです。人材不足が特に懸念されるのが医療・福祉・介護業界です。転職情報サイトの
はたらいくでは、『医療・福祉・介護業界は継続的な成長を遂げているが、マーケットの伸びに対して人材確保が追い付いていない』と指摘しています。既に人材不足が叫ばれてはいますが、労働人口の減少&高齢者の増加によって人材不足はより深刻になる恐れがあります。需要の増加に対して人材の供給が追いつかず、介護というサービスの価格が釣り上がり、特定の富裕層しか豊かな老後を過ごせないという世の中担ってしまう可能性があります。これは社会不安を招くため、非常に問題です。
3. 今後考えられる人材業界の解決策
人口減少への対策を図にまとめてみたのでご覧下さい。今後の対策としては主に2つあります。
労働力の総量を増やす
まず1つ目は、「労働者が減ったなら労働者を増やせばいい」という解決策です。
具体的には
- ■海外から労働力をもってくる。
- ■国内の働いてない人に働いてもらう。
の2つが解決策となります。
■海外から労働力をもってくる
図では海外から労働者を獲得するとありますが、この具体的な策として移民の受け入れがあります。ニュースでよく聞いている人も多いと思いますが、いまヨーロッパでは移民の受け入れが大変重要な課題となっています。では日本はどうなのかというと、内閣府が毎年20万人を受け入れて人口を維持していくという計画を打ち出しています。詳しくは「目指すべき日本の未来の姿について」をご覧下さい、大変興味深いです。
■国内の働いてない人に働いてもらう。
労働力の獲得の方法として、まず働いていない人に働いてもらう」必要があります。働いていない人」とはどういう人かというと、「働ける能力があるが、働いていない人」を指します。(働く能力がない子供や学業を優先する学生は除きます。)働いていない人の働かない理由は様々ありそもそも働く意思があるのに職場が見つからない失業者、家事や育児に追われている主婦、会社の規定によって定年退職をしたサラリーマンなどが挙げられます。彼らが働くことの出来る環境を整えることで労働力の獲得できます。
人材業界はどうやって労働力の総量を高めるのか?
これに対し、人材企業はどのような動きをするか考えていきましょう。まず海外から人材を獲得するには、やはり海外に支店があるのが重要になってきますね。例を挙げると、ネオキャリアなどが海外への展開を積極的に行っています。今後、海外に支店を設ける人材会社は増加してくることでしょう。
また、主婦や高齢者などをターゲットとした求人サイトも増えてくるのではないかと筆者は考えています。この理由は、まず主婦は働ける能力があるものの育児や家事などの時間的制約を受けており、これを解決できれば働くことが可能でしょう。高齢者も会社の規定によって退職した人はまだ働ける能力が備わっています。これらのことを踏まえると主婦や高齢者をターゲットとする求人サイトが出てくる可能性があります。例えば主婦をターゲットとするならば、自宅でもこなせる仕事を集めた求人サイトが出てくるのではないでしょうか。例えば、現在はいわゆる「まとめ記事」が流行していますが、webライターはネット環境があれば誰でもチャレンジできる仕事です。もしかすると主婦ライターがたくさん生まれるかも…
1人あたりの生産性を上げる
2つ目は、「1人当たりの生産性を上げよう」という話です。具体的には
- ■機械で出来ることは機械にやってもらう
- ■分業と仕組み化
- ■適材適所
この解決策は3つあります。
■機械で出来ることは機械にやってもらう
単純な作業は機械に任せ、人間がやらなければならないことに時間を割きましょうということです。例えば、計算は人間がやっても機械がやっても一緒ですよね、なのでエクセルなどのソフトでサクッと終わらせれば効率がいいですね。情報のやりとりもかつては人が紙を使って物理的に行われていましたが、今はPCとサーバーという機械がこれを行ってくれています。
■分業と仕組み化
分業とは文字通り仕事を手分けして行うことです。当たり前ですが、営業課長が受付の業務を兼任することはないですよね。人の持つ時間は有限なので、そんなことをしたら効率が下がります。もっと具体的な例でいうと、入ったばかりの新人には新規顧客の開拓ためにテレアポを任せ、いざ商談となったら営業課長に任せるといった具合です。何の仕事を誰がやるかというのを的確に割り振ることで生産性を高めることが出来ます。
仕組み化とは誰がやっても同じような結果が出せる仕組みを作ることです。アルバイトを始めたときにマニュアルを貰った人もいるかと思いますが、マニュアルも仕組み化の1つです。仕組み化を行うことで、逐一教育を行う手間も省け且つ1人ひとりが一定の成果を出すことが出来るようになります。ちなみに分業の素晴らしさはアダム・スミス先生も、1776年発行の「国富論」の中で大いに語ってくれています。
■適材適所
その人の長所が発揮できる環境にその人を配置することで生産性を高めることが出来ます。エンジニア志向の社員を、営業に何年か配置したが上手くいかなかった場合、もちろん個人の能力不足も指摘できますが、その社員がエンジニアとして本来生み出せたであろう成果を捨てることになるので誰も得をしません。また、やる気のない中年社員を要所となる管理職につけておくよりかは、やる気も能力もある新進気鋭の若手をその仕事につけたほうが、社会全体の生産性は高まります。個々人が自分のポテンシャルを存分に発揮できる仕事につくことが、個人にとっても、会社にとっても、社会にとってもプラスとなります。従って、適材適所を実現させるために企業側は社員の能力と適性の把握、社員は自らの力を発揮できる場を能動的に求めることが必要です。
4. 人工知能と人材業界
ここからは人材業界に今後大きな変化をもたらすであろう人工知能について書かせて頂ければと思います。すでに、将棋の世界では人間VS機械の対戦が行われていますが、技術の進歩を感じずにはいられない現代ですね。
人工知能とは
“人工知能(AI)とは、人間にしかできなかったような高度に知的な作業や判断をコンピュータを中心とする人工的なシステムにより行えるようにしたもの。”
出典: IT用語辞典e-words
人材業界での人工知能の応用は主に次の2つが考えられます。
- ・企業が求める人材(スキル/経験/性格など)を人工知能が求人サイトから探し出してくれる
- ・求職者が自らのステータス(スキル/経験/性格など)を登録し、希望条件(仕事内容/待遇など)を入力すると、条件に合う求人を探し出してくれる
なぜ人材業界に人工知能が導入されたか
主な理由は
- ■マッチングコストの削減
- ■マッチングスキルの属人性の解消
の2つです。
■マッチングコストの削減
転職を成功させるために人材会社は求職者と面談を行い、その後もメールや電話で転職活動のサポートを続けます。こういった仕事の一部を人工知能に置き換えることでコストの削減をすることが出来、1人あたりの生産性も上げることが出来ます。
■マッチングスキルの属人性の解消
人材業界では性格やコミュニケーション能力といった抽象的な要素によってマッチングが行われています。これではマッチングの精度を担保出来ているとは言えません。そこで、情報の蓄積ができるAIによってこの問題を解決が期待できます。
人工知能の導入で人材業界はどうなるのか
もし、極めて性能の高いAI導入された場合、人材エージェントは不要となり、転職活動が可能になります。「自分で調べて、自分でその会社に足を運ぶ」これが転職のスタンダードとなる時代になるかもしれません。もちろん人材企業の方も人工知能に淘汰され、数自体が減っていく可能性が大いにあります。また、差別化の要因が契約している企業の質と量、そして「どこそこの人工知能は優秀だ」という人工知能の品質に絞られます。従って、この2点において企業の競争が活発っていくと考えられます。
5. まとめ
いかがだったでしょうか。今回はいつもと違ってマクロな視点からお話をさせて頂きました。誰かが誰かの役に立ち、対価として受け取ったお金を通じて、誰かに役に立ってもらうことで世の中は成り立っているのです。どの企業も人によって経営戦略が練られ、人によってそれが実行されます。従って、人材企業は全ての企業と一緒に仕事が出来る可能性が秘められています。これも人材企業の1つの魅力だと思います。
このシリーズを通じて人材企業に興味を持ち、理解を深めて頂けたでしょうか。もしも自分が何をしたいか明確に出来ないときは、「誰にどのような価値を提供したいか」という視点で業界研究をしてみて下さい。またそれはなぜかというのを掘り下げていくと、良い志望動機になっていくと思います。もし、周りの友達で人材業界に興味があるという人がいたら、是非この記事を紹介して下さい。笑
人材業界を受ける就活性の皆さん、応援しております。ご愛読ありがとうございました。