もくじ
- はじめに
- 人材紹介業のビジネスモデル
- 人材紹介業の市場規模と成長性
- 人材紹介業の種類
- 片面と両面のメリット・デメリット
- RA業務に求められる力
- CA業務に求められる力
- 人材紹介業の代表的な企業まとめ
- まとめ
1 はじめに
こんにちは。エントリーシート研究所の見谷です。記事を書いている時の貧乏ゆすりを止めようと、足に重りをつけようかと検討している今日この頃です。さて、今回は人材紹介についてお話ししていきます。「人の転職をサポートする仕事って、人と接するのが好きな私に向いてるかも…」と思う方もいるかもしれませんが、地味な部分も伝えていくことで理想と現実のギャップを埋めながら、理解を深めて頂けたらと思います。
2 人材紹介業のビジネスモデル
ここで、人材紹介について軽くおさらいしておきますと、
紹介会社は求職者の転職と企業の中途採用を成功させることで売上を上げる(求職者の想定年収の2~3割くらいが相場です)、成功報酬型のビジネスです。具体的に行っていることは次の2点になります。
- ・求職者に対し、キャリアプランをヒアリングし、それに最適な企業を紹介(面接の対策などを行うこともあります)。
- ・企業に対し、経営戦略から逆算し、今どのような人材を獲得すべきか顕在化させ、それに適した人材を紹介
詳しくは業界理解篇をご覧ください。
3 人材紹介業の市場規模と成長性
まず人材紹介の業界規模ですが、リーマンショック以降は、景気回復に連動して年々拡大しています。
数字が右上がりであることの要因として「業界・職種別の専門分化が進んだことが考えられます。例えば医療系であれば、医師・看護師・薬剤師・放射線技師など、より転職を支援するターゲットの専門性を高めたことで業界が成長したと言えると思います。
とはいえ、企業が業績不振に陥ったときに、最も削りやすい経費は販促費(広告費)と人件費(社員はそう簡単に解雇できないので主に採用費)です。従って、インフラ業界などとは違って景気の影響を非常に受け易い業界ということはおさえておきましょう。
4 人材紹介業の種類
求められる能力の前に人材紹介会社の仕組みについて簡単に知っておきましょう。人材紹介会社では、企業担当(RA:リクルーティングアドバイザー)と求職者担当(CA:キャリアアドバイザー)で仕事をする相手が変わってきます。RAは企業の人事を相手にその会社の経営戦略からどのような人が必要かをコンサルティングし、明らかにします。CAは求職者に対しどのようなキャリアプランを描きたいかをヒアリングし、転職活動のサポートを行います。このようにRAとCAで担当が分かれて業務を遂行していく体制のことを人材業界では”片面”と言い、RAとCAを1人の人間が担うことを”両面”と言います。
5 片面と両面のメリット・デメリット
では片面と両面のメリットとデメリットについてお話します。
片面のメリット
RAとCAが分かれるということは、RAはたくさんの企業と関わることができ、CAはたくさんの求職者と関わることが出来、「量」をこなすことができます。これによって、RAとCAはその専門性を高めることができます。
片面のデメリット
RAは求職者のことをCA伝えで聞き、CAは企業のことをRAから聞くことになります。これによって情報の欠落や双方のことを深く理解した上でのマッチングが難しくなる可能性があります。
両面のメリット
これは片面のデメリットと反対で、企業と求職者のことを深く理解した上でのマッチングがしやすくなり、一貫性を担保することができます。つまり一言で言うと、マッチングの「質」が高まります。
両面のデメリット
マッチングが1人の人間によって行われるので、片面に対して「量」で劣ってしまうことが両面のデメリットです。
以上のことから片面も両面も一長一短であることがお分かり頂けたかと思います。自分が人材紹介を行うにあたり、どのような存在でありたいかを考えた上で企業を選ぶ必要がありますね。
6 RAに求められる力
ここまでお読み頂き、CAを志望されている就活生の方も多いと思うのですが、新卒の配属の大半はRAになります。理由は2点あり、
- まず企業を知らなければ求職者に対し正しいキャリアパスを描き、導くことが出来ない。
- 報酬を支払うのは企業であるため、企業側のニーズの把握から入らないと売上をあげられる人材に育ちづらい
という観点があるからです。
さて、本題の求められる能力についてです。幾つか求められる能力はありますが、私が考える大事な能力は主に3つです。
1 経営に入り込む力
企業から、”本当の経営課題”とはそう簡単に教えてもらえるものではありません。企業の経営における課題を直近、3年後、10年後ときちんと経営陣から聞き出し、そこに提案をして存在感を作り上げていく力が求められます。
2 求める人材像を描き、伝える力
上記の経営戦略の実現にあたり、3年後、10年後を見越して、どういう人材が必要かを分析し、相手に伝える力。往々にして企業は、採用する人材に対して”カンペキ”を求め過ぎます。その中で、“何が最も優先すべき能力・スタンスなのか?”ということを担当者と共有できる力。この優先順位が明確になっていないと、紹介すべき人材像がわからなくなり、いつまでたっても求人が決まりません。
3 CAを動かす力(片面の場合)
企業側から人材採用の募集を獲得した後、CAのサイドに求人票を投げる。この時、ニーズが明確な求人票を投げられていることと、CAさんも人間なので、常日頃からの社内での働き方がCAさんが優秀な(決まりやすい)人材を紹介してくれるかどうかが変わってきます。自分がCAを担当する場合は”RAさんを動かす力”に置き換えることが出来ます。
7 CAに求められる力
1 ヒアリング力・課題発見力
目の前の転職希望者が「そもそも何故転職をしたいのか?」、それは「何故なのか?」というヒアリングを重ね、本質的な課題に近づいていきます。場合によっては、”転職しない方が良い”という結論に行き着くこともあり、このヒアリングがおろそかになると往々にして”転職がいつまでたっても決まらない”という事態や、”転職には成功するも、転職先を再び間違えてしまった”といった事態を引き起こしてしまいます。また、転職には成功したものの早期に再転職してしまう等の事態も発生します。
2 言語化能力・伝える力
転職者は、漠然とした理由で転職カウンターや、エージェントとの面談にやってきます。その人の漠然とした理由を、1つ1つ噛み砕き、言葉にしてあげる力が求められます。また、転職者が触れ合ったこともない業界・企業を紹介することも多々あるので、転職希望者が明るい未来を思い描けるように、紹介する企業のことを伝える力も求められます。
8 代表的な企業まとめ
ここで、実際の人材紹介業の代表的な企業をご紹介します。
- リクルート
- 売上 94,442(百万)
- 従業員数 3,039名
- 平均年収 700万程度(openworkより)
- 創立年 2012年
- インテリジェンス
- 売上 806,60(百万)
- 従業員数 3,976名
- 平均年収 482万円(年収ラボより)
- 創立年 1989年
- JACリクルートメント
- 売上 9,279(百万)
- 従業員数 574名
- 平均年収 583万円(年収ラボより)
- 創立年 1988年
- エン・ジャパン
- 売上 19,623(百万)
- 従業員数 1,952名
- 平均年収 453万円(年収ラボより)
- 創立年 2000年
9 まとめ
いかがだったでしょうか。人の転職をサポートするというカッコイイ仕事の裏側には求人を開拓するという泥臭い仕事があるということをお分かり頂けたでしょうか。しかし、泥臭い仕事ではありますが、これによって企業と人の双方から「ありがとう」と言ってもらえる珍しい仕事であり、とてもやりがいを感じられると思います。私事ですが、この記事を読んだ皆さんが、「人材紹介…ありだな。」と思って頂けることが私のやりがいです。笑