もくじ
はじめに
就活の面接で「逆質問」を取り入れている企業が増えています。
以前は最終面接で儀礼的に行われていた逆質問ですが、最近は一次面接から取り入れられる様になってきています。
就活生としては本音では「そもそも逆質問なんてない」中で、どんな質問をどのようにすれば良いか?悩んでいることだと思います。
そこで今回は、
- ■ 「逆質問で見られていること」
- ■ 「逆質問でしてはいけない質問」
- ■ 「逆質問の例と対策」
について解説していきます。
逆質問とは
「逆質問」とは、面接の終盤等の時間が余った際に面接官からされる「当社について何かご質問はありますか?」というやりとりのことです。
通常の面接では面接官からの質問に解答するのが中心であるのに対し、逆質問では就活生側からセンスの良い適切な質問をする必要があります。面接の対策は多くの就活生が実施しますが、逆質問までは対策が行き届いていないことが多いです。
逆質問は実は難しい
一見「ただ質問すればいいだけ」と簡単に思われてしまいがちなのですが、逆質問においてセンスの良い質問をすることは非常に難易度が高いです。
詳しくはこの記事の後半で説明しますが、正直に「ない」と答えてしまえば「志望度が低い」「質問力が低い」とみなされてしまい、選考の通過率は下がってしまいます。
かといって、準備不足で的を外した質問をしたり、常識はずれな質問をしたりしても、面接での評価が下がってしまいます。
また、面接官が答えづらい様な抽象度が高い質問なども質問力が低いという評価に繋がるためNGです。
普段の面接で聞かれてることを聞けばいいわけじゃない
「逆質問は面接でされる質問を面接官にすれば良いだけ」といった解説も多々見られますが、面接官と就活生は質問の目的が異なるため、逆質問は面接とは別に準備する必要があると認識した方が良いです。
面接官は「自社に入社意欲がある優秀な学生かどうか?」を判断したいのに対し、就活生は「その企業が自分に適しているかどうか?」を判断したい立場にあります。
質問の目的が変わってくるので、「逆質問は面接でされる質問を面接官にすれば良いだけ」という認識だと高評価に繋がる逆質問を行えずに選考通過率が下がってしまう可能性があります。
逆質問を通じて面接で見ていること
では、面接官はわざわざ限られた時間の中で就活生に逆質問をさせることを通じて何を見ているのでしょうか?
それは主に
- (1)自社の企業分析が十分になされているか?
- (2)適切な質問を行う論理的思考能力とコミュニケーション能力はあるか?
の2つです。
(1) 自社の企業分析が十分になされているか?
逆質問をする際に最もやってはいけないのは「調べればわかることを質問してしまうこと」です。
例えば、すでに採用ホームページに書いてある内容や、Googleなどで検索すればすぐに出てくる様な有名な取り組みについてなどです。
自社の取り組みについて十分調べた情報に基づいた質問が出来ているかどうかで、自社のことをきちんと調べているかどうか?ひいては、自社に対する志望度が高いかどうか?を判断しています。
(2) 適切な質問を行う能力はあるか?
質問の内容と表現から
- ・何を知ろうとしているか?
- ・その情報を得るために論点が明確な質問文を作れているか?
を推察し、評価することが出来ます。
質問は「何かを考えたり、判断したりする時に不足する情報を入手する手段」として行われます。
既に知っていることをわざわざ質問する人は居ませんし、判断や思考に関係ない質問をする人も居ません。
つまり、言い換えれば「その人がした質問から、その人がどんなことを考えているか?」を知ることが出来ます。
従って「ボーナスの主な使いみちはなんですか?」等の「それを知ってどうするの?」という反応をせざるを得ない様な質問をすると、評価が下がってしまいます。
また、次の章で詳しくは説明しますが、論点(分かろうとしていること)が不明確な質問をしてしまい、面接官が「何をどう答えていいか分からない」状態になってしまわない様にすることも重要です。
「社風について教えてください。」といった抽象度が高い質問や、「やりがいをおしえてください」等の、「何の業務の、誰にとっての、何に対するやりがいなのか?」といった具体性に欠けた質問は、面接官として非常に回答しづらく、コミュニケーション能力が低いと判断されてしまいます。
面接でしてはいけない逆質問の5つの例
では、実際に逆質問で評価を下げてしまうセンスの悪い質問と質問の仕方を紹介していきます。
就活の面接に限らず、普段の何気ないコミュニケーションでも活かせる内容だと思いますので、是非参考にしてみて下さい。
(1)貰うことばかりを考えた逆質問はしない
企業が採用したいのは、「自らの強みを活かして、事業を通じて社会に貢献し、事業ともに自らを成長させて行こうとする利潤最大化に繋がる人材」です。決して、「あまり働きたくはないけれど、できるだけ会社からいろんな恩恵を受けたい」といったぶら下がり社員ではありません。
そこで、「給与、福利厚生、勤務地、育休・産休」といった成果をあげれば後からついてくる様な「会社から受け取るもの」についての質問はわざわざ選考中にすることは控え、内定を獲得してからじっくりとさせて貰うことをおすすめします。
(2)調べればわかることは逆質問しない
採用ホームページに書いてあることや、少しGoogleで調べれば分かる様なことを質問すると「自社についての企業研究が不十分であり、志望度が低い可能性が高く、ミスマッチリスクが高い」と判断されてしまいます。
最低限、
- ・採用HP
- ・IRの中長期経営戦略
- ・Googleニュースの上位記事
には目を通し、そこに書いてあることについての逆質問は控えるべきでしょう。
(3)回答内容が1つしか無い様な逆質問はしない
質問する時点で「こういう回答をするしか無い」という逆質問も、質問としての価値が乏しいためするべきではありません。
例えば、
「仕事のやりがいはありますか?」や、「女性に対してもフラットな評価がされていますか?」
といった「はい」としか解答するしか無い様な質問のことです。
(4)「それを聞いてどうするの?」という逆質問はしない
質問とは何かしらの判断をする際に不足する情報を得るための手段です。
従って、何からの判断に繋がることについて質問はされるべきです。
本来、就活生が就活・選考を通じて行う判断は「その企業は自分に適しているかどうか?」であるはずです。従って、この判断を行うことに無関係な情報を得るための逆質問は「的はずれな質問」といえます。例えば、「主なボーナスの使いみちはなんですか?」などです。
また、ここで逆質問する内容によってあなたの「本当の就活の軸」が明らかになってしまいます。例えば、「社食は美味しいですか?」という質問の裏には「社食がおいしい企業に入りたい」という企業選びの軸があることが伺えます。
従って、質問内容から推察される就活の軸が陳腐な内容にならない様に注意しましょう。
(5)抽象度が高い質問はしない
例えば
「社風について教えてください」
などです。
社風は、社員1人1人によって感じ方は違いますし、実際にそこで週に5日、何年も働かないと感じられない社風もあるでしょう。
この様に、個人によって感じ方、見え方が違うことや、言語化が難しい抽象度が高い質問は面接官としても非常に答えづらいため控える方が良いでしょう。
(6)論点が不明確な質問はしない
例えば
「発展途上国の貧困を減らしたいが、格差は埋まっていません。依然として人身売買は横行し、教育環境は行き届いて居ません。人々の衛生環境を整えていく必要があると考えているのですが、今の御社で何が出来ると思いますか?」
といった質問です。
- ・発展途上国の貧困を減らしたいのか?
- ・格差を是正したいのか?
- ・人身売買を減らしたいのか?
- ・教育環境を整えたいのか?
- ・衛生環境の整備をしたいのか?
論点が混在し、不明確になることで質問を通じて分かろうとしていることがわかりづらくなっている質問も逆質問ではすべきではありません。
論理的思考能力が低く、コミュニケーション能力も低いという評価に至ってしまう可能性が高いです。
(7)前提条件がはっきりしない逆質問はしない
例えば
「もし仮にXXさんが起業するとしたらどの様な事業を始めますか?」
等の質問です。
- ・起業する時の市場環境はどうなっている前提なのか?
- ・銀行やベンチャーキャピタルからどの程度の資金がある前提なのか?
- ・出資は100%自分なのか?それとも他人の出資が入るのか?
等の前提条件を整理しなければ正確なコミュニケーションは取れません。
この様な逆質問を行いたい場合は、事前に主要な前提条件を明確にした上で逆質問すべきです。
(8)無駄な情報をダラダラ説明してから逆質問をしない
例えば
「私は今、発展途上国への寄付を募るボランティア団体の代表も務めていて、来月シンポジウムに参加します。最近、東南アジアの、特にインドネシアの経済成長が著しいと思うのですが、今後御社が力を入れていきたい海外進出のエリアはどの辺になりますか?」
といった質問です。
序盤のボランティア団体に所属している自己紹介は質問と関係ないし、東南アジアの経済成長情勢についての知識自慢も不要です。かえって何を聞きたいのかわかりづらくしています。端的に「今後御社が力を入れていきたい海外進出のエリアはどの辺になりますか?」とだけ質問すれば十分です。
逆質問の仕方
では、質問を通じて評価されるにはどの様な逆質問をどの様にすれば良いのかをまとめます。
■ 質問の目的を端的に述べてから質問をする
「何のためにこの質問をするのか?」という前提条件を事前に面接官とすり合わせることで、面接官が質問に答えやすくし、求めている情報が手に入る様にすると良いでしょう。
ただし、この時ダラダラと質問の目的を書いてしまうと、何が聞きたいのか?が不明確に鳴ってしまうため、あくまで端的に伝えることが重要です。
例えば、
「入社したからには、自らの強みを活かして成果をあげ、事業とともに成長していきたいと考えています。そこで、入社後にきちんと成果をあげることが出来るかどうかを確かめたいので伺いたいのですが、御社で成果をあげるのに共通する方の特徴をおしえて頂けますか?」
といった逆質問の形を取ると良いでしょう。
■ 面接同様、逆質問は事前に準備しておくこと
「一次面接だから逆質問はされないだろう」といった無根拠な慢心やや、「選考でのやりとりから逆質問を考えればいいや」といった甘い考えではなく、事前に逆質問を2~3つ準備しておくことをおすすめします。
IRや採用HP等に書かれている内容に基づいた質問を準備しておくことで、志望度の高さをアピールすることにも繋がります。
■ 短く、明確に
逆質問を準備する時には、とにかく短く、明確な質問文を作ることを心がけて下さい。
5W2H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どの程度、いくらで)が明確で、必要最低限の要素だけが盛り込まれた質問文です。
例えば、
「IT業界は”ドッグイヤー”と呼ばれるほど変化が激しく、SEという職種に求められる役割も時代とともに変わっていくと思いますが、その様な御社で成果をあげる、または、あげる方をサポートしている方に共通する強みや性格、特徴などがありましたら教えてください。」
といった長ったらしい質問より、
「御社でSEとして成果を上げている方に共通する特徴を教えてください」
といったシンプルで短い質問の方が何を聞きたいかが明確なため答えやすいです。
まとめ
いかがだったでしょうか?逆質問で見ていることと答え方についてまとめました。
「最後に何が質問はありますか?」という会話で行われる「逆質問」は選考の一部として、就活生の
- 1.自社への志望度の高さ
- 2.論理的思考能力とコミュニケーション能力の高さ
を図っています。
面接だけでなく、逆質問についての理解を深め、選考前にきちんと準備しておくことで選考通過率を高めることで納得の行く就活に繋げていきましょう。
もちろん逆質問だけでは対策は十分とはいえません。面接でよく聞かれる質問の答え方や、ESの書き方は、以下の記事集にまとめてあります。参考にしてみて下さい。