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日用品大手の比較

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生活用品業界
2018年06月27日
窓ふき

ここでは日本の日用品大手の

  • ・花王
  • ・ユニ・チャーム
  • ・ライオン
  • ・アース製薬
  • ・エステー

の5社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージではなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 主要子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. コスト&研究開発費の比較
  6. 従業員1人あたりの売上&利益の比較
  7. 事業セグメントの比較
  8. まとめ
  9. 志望動機として使えそうな点

主要子会社・関連会社の比較

表23
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事業規模の比較(単位:百万円)

表2

売上 順位

  • 1位:花王
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:ライオン
  • 4位:アース製薬
  • 5位:エステー

純利益 順位

  • 1位:花王
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:ライオン
  • 4位:アース製薬
  • 5位:エステー

売上も純利益も順位は同じですが、共通して言えるのが花王の絶対王者ぶりです。

2位に2倍以上の差をつけて圧勝しています。

安全性の比較

表4

流動比率 順位

  • 1位:エステー
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:花王
  • 4位:ライオン
  • 5位:アース製薬

自己資本比率 順位

  • 1位:エステー
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:花王
  • 4位:ライオン
  • 5位:アース製薬

2位~4位まではそこまで極端に差がついていませんが、1位のエステーと5位のアース製薬の間には大きな隔たりがあります。

特に流動比率ではアース製薬はエステーの2分の1程度しかありません。

相対的にはエステーは財務の健全性は高いということになりそうです。

利益性の比較

表10

純利益率 順位

  • 1位:花王
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:ライオン
  • 4位:エステー
  • 5位:アース製薬

花王とユニ・チャームの純利益率の高さが突出しています。

ネットFCF 順位

  • 1位:花王
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:ライオン
  • 4位:エステー
  • 5位:アース製薬

ネットFCFの金額も順当に花王とユニ・チャームが突出して多いです。

規模が他と違うので当たり前っちゃ当たり前だとは思いますが。

実質設備投資/営業CF 順位

  • 1位:ライオン
  • 2位:エステー
  • 3位:ユニ・チャーム
  • 4位:花王
  • 5位:アース製薬

ただ設備投資額の少なさではライオンとエステーがガンと順位を上げています。

この2社は営業CFのうち7割以上を自由資金として手元に残せているようです。

そしてアース製薬はお金を使い過ぎなようです。

在庫回転率 順位

  • 1位:ユニ・チャーム
  • 2位:ライオン
  • 3位:花王
  • 4位:エステー
  • 5位:アース製薬

在庫回転に関しては各社ともそこまで差がないようです。

コスト&研究開発費の比較

表26

販管費/売上 順位

  • 1位:ユニ・チャーム
  • 2位:アース製薬
  • 3位:エステー
  • 4位:花王
  • 5位:ライオン

販管費は概ね売上の3割前後みたいですが、ライオンだけその割合が5割を超えています。

設備投資に関しては抑えているものの、人件費や広告費などにはけっこうコストをかけているようです。

研究開発費/売上 順位

  • 1位:ユニ・チャーム
  • 2位:エステー
  • 3位:アース製薬
  • 4位:ライオン
  • 5位:花王

ユニ・チャームの割合の小ささが目立ちます。

そういう意味ではライオンと花王はけっこう研究開発費にお金をかけているようです。

従業員1人あたりの売上&利益の比較

表6

売上/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:ライオン
  • 2位:エステー
  • 3位:花王
  • 4位:アース製薬
  • 5位:ユニ・チャーム

売上においてはライオンの個人技がけっこう強いようです。

エステーもそれに続きますが、少し隔たりがある印象です。

営業利益/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:花王
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:ライオン
  • 4位:エステー
  • 5位:アース製薬

ただ営業利益となると花王とユニ・チャームが他の3社を圧倒します。

1人あたり営業利益/売上 順位

  • 1位:花王
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:ライオン
  • 4位:エステー
  • 5位:アース製薬

花王とユニ・チャームの圧倒具合は営業利益率にも表れています。

ライオンとエステーは同じくらいで、アース製薬の営業利益率の低さが悪目立ちしています。

事業セグメントの比較

花王

表1
表18
表17

「ビューティケア」
化粧品、スキンケアなど
「ヒューマンヘルスケア」
特定保健用食品、サニタリーなど
「ファブリック&ホームケア」
衣料用洗剤など
「ケミカル」
油脂製品、ハードディスク関連商品など

「洗剤の会社」のイメージが強めなこの会社ですが、売上において最も高いウェイトを占めているのが「ビューティケア」です。

つまり化粧品の売上貢献度が高いということになっています。

ただ営業利益となると洗剤を売るセグメントの「ファブリック&ホームケア」が全体の4割を占めているのと、利益率においても最も高い利益率を示しているので実態はイメージ通りのようです。

ユニ・チャーム

表9
表24
表13

「パーソナルケア」
ベビー用紙おむつ、大人用紙おむつ、生理用ナプキンなど
「ペットケア」
ペットトイレタリー、ペットフードなど
「その他」
産業用資材、育児動画配信サービスなど

この会社は世間一般のイメージと実態がピッタリと一致しています。

セグメントの内容から割とニッチなマーケットを専門にしていることがわかります。

ライオン

表22
表7
表14

「一般用消費財」
歯磨き、柔軟剤、洗濯用洗剤、台所用洗剤、住居用洗剤、バファリン、通信販売商品、ペット用品など
「産業用品」
タイヤ防着剤、半導体搬送材料向け導電樹脂、業務用洗浄剤、野菜洗浄システムなど
「その他」
自社等の設備の設計・施工・保全、商品の運送・保管、不動産・保険関係業務、福利厚生業務

売上と利益の構成比がだいたい同じなので、利益が出るものを順当に売っているということになります。

利益効率を見てみると自社の管理業務と思わしき「その他」以外の3つのセグメントは利益率がそこまで極端に差がないことから、割とバランスが取れた事業構成をしていることがわかります。

アース製薬

>

表25
表11
表3

「家庭用品」
虫ケア用品、口腔衛生用品、入浴剤など
「総合環境衛生」
食品・医薬品関連工場の総合環境衛生管理業務および環境衛生に関するコンサルティングなど

売上に関しては約9割を防虫剤などの「家庭用品」が占めていますが、営業利益となるとその割合は減少して代わりにコンサルティングなどの「総合環境衛生」の存在感が大きくなっています。

利益率を見てみてもコンサルティングの利益効率は防虫剤の約3倍なので効率の良い商売であることがわかります。

エステー

表16

※単一セグメントでまとめられている為に営業利益と従業員数の記載がなかったので、ここでは商品別の売上のみ記載します。

商品別の売上比率はここ3年間ではほとんど変化していないことがわかります。

そしてその内訳もイメージ通りの「消臭剤の会社」という感じです。

まとめ

これまで見てきた 社の順位を「利益性」「コスト」「安全性」「チーム力」「個人技」の括りで下記します。

(総合点と平均が低ければ低いほど各項目について「優れている」ということになります。)

表21

利益性 総合順位

  • 1位:花王
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:ライオン
  • 4位:エステー
  • 5位:アース製薬

在庫回転率と従業員一人あたりの売上では少し順位を落としましたが、それ以外の項目では圧勝して花王が1位です。

チャンクで分けるとユニ・チャームとライオンが同じくらいで、エステーとアース製薬が同じくらいということになっています。

表5

コスト 総合順位

  • 1位:ユニ・チャーム
  • 2位:エステー
  • 3位:ライオン・アース製薬
  • 4位:花王

コストにおいてはユニ・チャームの圧勝ですが、エステーも割と頑張っているようです。

表20

安全性 総合順位

  • 1位:エステー
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:花王
  • 4位:ライオン
  • 5位:アース製薬

財務の健全性ではエステーが頭一つ抜けています。

表15

チーム力 総合順位

  • 1位:花王
  • 2位:ユニ・チャーム
  • 3位:ライオン
  • 4位:アース製薬
  • 5位:エステー

チーム力でも花王の圧勝です。

事業規模においても利益効率においても他社の追随を許していません。

表12

個人技 総合順位

  • 1位:花王
  • 2位:ライオン
  • 3位:ユニ・チャーム
  • 4位:エステー
  • 5位:アース製薬

個人技においても花王が1位です。

「利益を稼ぐ」という面においては花王は日用品大手の中では圧倒的なトップランナーのようです。

個人技においては意外とユニ・チャームが順位を落としていて、エステーが健闘していることが特徴的です。

表19

総合順位

  • 1位:ユニ・チャーム
  • 2位:花王
  • 3位:ライオン
  • 4位:エステー
  • 5位:アース製薬

今までの流れだと「花王の圧勝ムード」が漂っていましたが、総合的に見ると僅差でユニ・チャームが1位になっています。

ユニ・チャームは他社を圧倒するものは「コスト効率の良さ」くらいしかありませんでしたがまんべんなく高順位を取っているために1位という結果になり、逆に花王は「多面的な利益性の高さ」においては圧倒的だったのですがそれ以外の項目が全体の足を引っ張ったために2位ということになっています。

そして3位のライオンと4位のエステーですが、事業規模においては売上も純利益もライオンの10分の1程度しかありませんが数字上の総合的な会社のクオリティではライオンに肉薄していることがわかります。

アース製薬は言わずもがなで、「日用品大手5社」という括りの中では特筆した成果が残せていない印象です。

各社の特徴をまとめると以下のようになります。

花王

  • 利益性:1位
  • コスト:4位
  • 安全性:3位
  • チーム力:1位
  • 個人技:1位
  • 総合:2位
  • ・「利益を稼ぐ」という点においては圧倒的な存在
  • ・売上貢献度は「化粧品・ボディケア製品」が一番高い
  • ・コスト効率や財務の健全性では5社の中で劣後する

ユニ・チャーム

  • 利益性:2位
  • コスト:1位
  • 安全性:2位
  • チーム力:2位
  • 個人技:3位
  • 総合:1位
  • ・そこまで目立った存在ではないが、あらゆる面における水準がまんべんなく高い
  • ・唯一個人技が微妙だが、チーム力の高さで補って余りある印象

ライオン

  • 利益性:3位
  • コスト:3位
  • 安全性:4位
  • チーム力:3位
  • 個人技:2位
  • 総合:3位
  • ・全体的に見て平均的な存在(飛びぬけて優れているところはあまりないが、飛びぬけて劣っているところもあまりない)
  • ・セグメント毎に金額の差はあれども利益効率の差はそこまでなく、バランスが取れた事業構成をしている

アース製薬

  • 利益性:5位
  • コスト:3位
  • 安全性:5位
  • チーム力:4位
  • 個人技:5位
  • 総合:5位
  • ・5社の中ではあらゆる面において劣っている
  • ・セグメントを見ると「日用品を売る」よりも、培ってきたノウハウを活かした「コンサルティング」の方が事業としての効率性が圧倒的に高い

エステー

  • 利益性:4位
  • コスト:3位
  • 安全性:1位
  • チーム力:5位
  • 個人技:4位
  • 総合:4位
  • ・事業規模においては5社の中では小さい方だが、「コスト」や「財務の健全性」と言った「お金回りのこと」に関しては特別気をつかっているように見える

志望動機として使えそうな点

花王

日本企業では業界トップの事業規模を誇る点

最大手の看板を背負って働きたい」という人にとっては最も向いているかもしれません。

ただ外資系のP&Gとジョンソン&ジョンソンという超強力な競合がいることは頭に入れておいた方がいいと思います。

利益性で圧倒的な強さを誇る点

営利企業という面ではこの会社は圧倒的に強いということを確認してきました。

なので「チームとしても個人としてもレベルの高い環境で揉まれてビジネスマンとして成長していきたい」と考えている人には最も向いているかもしれません。

ユニ・チャーム

会社としての総合的なクオリティという面で最も優れている点

「利益性」という面では花王に及びませんが、「総合的な会社のクオリティ」という面では花王に勝っています。

つまりは花王とユニ・チャームを比べたときに会社としてより優良なのはユニ・チャームということになります。

なので「日用品大手の中でも一番の優良企業で働きたい」と考えている人にとっては最も向いているかもしれません。

ライオン

バランスが取れた事業構成をしている点

日用品メーカーとしてこれと言った偏りがなくどの商品も同じくらい利益が出るために、割とまんべんなく日用品を取り扱うことが会社にとって有益なのがこの会社の特徴です。

なので「日用品メーカーとして生活の役に立つ商品をまんべんなく売っていきたい」と考えている人にとっては最も向いているかもしれません。

アース製薬

利益貢献度と利益効率において「コンサルティング」の存在感が大きい点

防虫剤などの日用品を売っている印象が強いこの会社ですが、利益貢献度と利益効率においては「コンサルティング」が大きな存在感を放っています。

なので「競合就活生との差別化」と「会社側の需要へのマッチ」という意味で有効かと思われる戦略は「日用品メーカーに就職するのではなく、コンサルティング会社に就職するつもりで諸々のアピールすること」です。

エステー

財務の健全性が高い点

事業規模でライオンに圧倒的に劣っていながらもその個人技の強さはライオンに匹敵するという、意外と個人技が強いこの会社ですが最大の特徴はその財務の健全性です。

ざっくりとした会社全体の印象は「社員側には個人技で頑張ってもらい、会社側は財務基盤の拡充などのサポートをする」という感じです。

5社の中では「倒産する可能性が最も低い安定した会社」と言うことが出来て、更には「財務基盤に関しては会社が上手くコントロールしてくれるので、社員は自由にのびのびと業務が出来る環境がある」と推測出来ます。

なので「安定した雇用環境」と「のびのびとした業務環境」を望む人にとっては最も向いているかもしれません。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人に会ったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。