MARCH層の就活戦略のはじめに
就職活動を行う中で、微妙な立ち位置に居るのがMARCH層(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)じゃないでしょうか?(学習院大学、関関同立、成成明学獨國武あたりの学歴層も似たような立場にいるといえるかもしれませんね。)
在学中の皆さんはなんとなく感じているかもしれませんが、内定長者とNNTの二極化が最も大きいのがMARCHの学歴層です。
学歴フィルターに引っかかりそうで人気企業へのエントリーに腰が引けてしまう一方で、先輩の中には高学歴層を差し置いて人気企業への内定者もいる。そして何より、大学受験のリベンジを果たしたい…。そんな微妙な立ち位置をにある『MARCH層の就活における戦い方』を今回は解説します。
MARCHは高学歴に含まれるのか?
結論から言うと、MARCH層は就活では高学歴に含まれません。
全国民という範囲で見れば超高学歴
しかし、全国民という母集団で見れば確かにMARCHは高学歴といえます。まず、国民の大学への進学率は50%です。(以外でしょ?)次に、全国の私立大学が約500校、その中で『誰でも名前を知っている様な大学』が約50校と言われています。この中で『中堅』と呼ばれるMARCHは確かに全国民という範囲で見れば超高学歴です。
就活という範囲では高学歴ではない
しかし、就活で高学歴と分類されるのは『早稲田の商学部以上』です。この分類については、リクルート伝説の人事マネージャーである『曽和 利光』(現人材研究所 代表取締役社長)さんも『就活「後ろ倒し」の衝撃』という著書で中で高学歴は『早稲田の商学部以上』だと語られています。従って、早稲田の社学や教育、スポ科・人科などは基本的に高学歴に分類されません。
従って、MARCHという学歴に属する人は『自分の大学は高学歴としての優遇はされない』という認識に基づく戦略をもってMARCH層は就活に臨む必要があります。
MARCHは学歴フィルターにひっかかるのか?
ではまず、最大の関心事である『MARCH』は学歴フィルターに引っかかるのか?について解説していきます。
学歴フィルターは存在するのか?
大前提として学歴フィルターは存在します。人事も志望する全員のESを読み、面接をするわけにはいかないからです。限られた採用予算と人員で効率よく自社で定めたスペックの人材を採用するには、どうしても学歴という母集団で区切らざるを得ないのが実情です。
MARCHは学歴フィルターに引っかかるのか?
MARCHで学歴フィルターに引っかかることはあまり多くありません。多くの企業が『最低でもMARCHまでは欲しい』という形で学歴フィルターを形成しています。
なぜかというと、人事のノルマの1つに『充足率』というものがあります。これは『多すぎず、少なすぎず予定通りに採用ができたか?』という指標で100%に近いほど評価が高まります。
このノルマを課されている中で、早慶上智以上だけで学歴フィルターを掛けてしまうと選考に参加してくれる学生の数がかなり絞られてしまう。
更に、早慶上智の学生にはやはり優秀な学生の含有率が高く、内定を出しても競合他社に持って行かれてしまうことも少なくありません。
そこでMARCHまでは学歴フィルターを掛けないという判断に至っている企業が多く、ES・面接でのでき次第では人気企業への内定は可能といえます。
MARCHの学歴層は3つに分類することができる
一口にMARCHという学歴でくくっても様々なタイプの学生がいます。MARCHの学生は就活の現場では3つのパターンに分類されて選考されることが多く、属性によっては選考における有利度が変わります。
MARCH+体育会
体育会に所属しているMARCH層は一般のMARCH層とは別のルートが開かれることが多いです。とりわけ、ストレス耐性と目標達成意欲が高い体育会系人材と親和性の高い人気業界(商社、広告代理店、ビール、鉄鋼等)の業界下位企業は現実的にこの層をターゲットに採用活動を行っています。
人気業界の業界下位企業とは、総合商社でいえば豊田通商や双日の様な企業があげられます。どちらも企業としての優劣とは別に、知名度・待遇・業界におけるポジション等を考慮すると、どうしても三菱商事や三井物産等の財閥系商社には劣る面があるのは事実です。
就活における最高人気層である早慶の体育会は根こそぎ5大商社にもっていかれてしまうため、MARCH層の体育会にインターンやリクルーター採用などで早期にアプローチし、早目に内定を出して自社に入社させるといった動きが活発に見られます。
特権階級『体育会出身』が就活で有利な理由と裏口ルートの入り方
MARCH+帰国子女or長期留学者
英語が話せるMARCH層も一般のMARCH層とは別評価となることが多いです。英語ができるとは
- ・TOEICの一定スコアを獲得している
- ・帰国子女(英語ネイティブ)
- ・半年以上の留学経験者(TOEICスコア有前提)
のどれかの特徴を持っているMARCHの学生を指します。これらの学生は、海外進出を目論みながらも、グローバルなイメージが乏しく採用に苦しんでいる企業と『本当は早慶のグローバル人材が採りたいけど採れない企業』が欲しがる傾向が強いです。
具体的には、ゼネコンや部品メーカー、専門商社などです。このあたりの企業も、早々に上記スペックに該当する就活生にアプローチを図り入社を促す傾向にあります。
普通のMARCH層
上記2つに属さないMARCHの学生です。これらの学生は優秀であればインターンから、一般的な学生であればESを出して面接を受ける通常選考から就活に臨むことになります。
いずれにせよ、MARCHという学歴が人気企業の就活においてフィルターに引っかからないギリギリの学歴であり、決してアドバンテージにはならないという認識に基づいた戦略をもって就活に臨む必要があります。
学歴MARCH層は就活でどう動けばよいか?
では、ここからは具体的に学歴がMARCHぐらいの就活生がどの様に就活に臨めば良いかを解説していきます。
MARCH層が就活で持つべき心構え
MARCH層から人気企業への内定は不可能ではありません。キーエンスや総合商社といった超人気企業であってもです。
しかし、ここまで説明してきたように学歴面でのアドバンテージは無い状態で旧七帝大や早慶上智といった、おそらく多くのMARCH層が受験で敗れた名門校の学生を追い抜かねばなりません。
ちなみに慶応大学の卒業生でも約40%しか東証一部上場企業に入社することは難しいというデータがあります(慶応大学卒業後進路調査)。従って、並々ならぬ努力と考え抜かれた戦略にもとづいて、ESとwebテストと面接での評価を圧倒的に高めることが必要となります。
MARCH層がエントリーの際に気をつけること
まず、業界を安易に2〜3つに絞るようなことは控えることをおすすめします。特に人気業界”しか”受けない戦い方はまずおすすめしません。
例えば、総合商社と広告代理店とメガバンク”のみ”。といった戦い方や、”食品と化粧品と一般消費財のみ”といった戦い方です。この戦い方をすると、以下のデメリットが発生します。
人気業界に絞った就活のデメリット
- (1)他業界のことも知らないと志望業界の通過率が高まらない
- (2)ESやテストで落ちてしまった時にメンタルが崩壊してパフォーマンスが落ちる
- (3)ESやテストで落ちた時に面接の練習回数が減る
詳しくは以下の参考記事を読んでみてください。
業界は絞るべきか、絞らない方が良いか?と合理的な業界の絞り方
MARCH層は人気企業を受けてはダメなのか?
MARCH層の就活において人気企業”だけ”しか受けない就活は危険です。もちろん、一生に1回の大切なイベントなので志望企業を受けるのは全然OKなんです。エントリーしなければ内定するということはありえないんですよ。ただ、落ちる確率の方が極めて高い認識を持って戦うべきです。
人気企業の倍率はどのぐらい?
例えば、味の素の倍率は350倍です。合格率に直すと約0.3%です。豊田通商の倍率は約120倍。それも当然総合商社7社を全部受ける強者たちです。彼らと競いながら合格率は1%を切ります。こういう試合に臨むわけですから、はっきり言って落ちるのが普通なんです。
MARCH層は企業を”効率的に”沢山受けましょう!
上記を理由にMARCH層は沢山の業界、沢山の企業にエントリーすることをおすすめします。もちろん根性論ではなく効率的に。あなたが劣っているといいたいのではありません。落ちてしまう確率の方が客観的な事実として多いからです。
就職活動における絶対的な前提は
就活の絶対的前提
内定数=選考参加企業×選考通過率
ということを踏まえると、選考参加企業を増やすことで内定数、つまり就活終了後の選択肢が増えます。選考参加企業を増やすメリットは以下の3つです。
- (1)様々な業界・企業を受けることで志望業界への理解が深まり、通過率があがる
- (2)持ち駒を沢山持つことで落選が続いても精神的安定を保って選考に望める
- (3)面接やGDの練習機会が増えることで本命業界での通過率が高まる
MARCH層が選考参加企業数を最大化する方法
とはいえ、就活の時間は限られています。限られた時間の中で選考参加企業を増やすためには、以下の3つの方法が有効です。
- (1)ES一通あたりの時間を下げる
- (2)スカウトサービスを有効活用する
- (3)エージェントサービスを有効活用する
(1)ES一通あたりの時間を下げる
限られた時間でESの提出数(選考参加企業数)を最大化するにはES1枚あたりの作成時間を最小化するしかありません。このためには、自己PRをコピペで出せるように準備したり、志望動機の書き方をマスターしておいたり、自己PR・志望動機に当てはまらない質問の回答の仕方を知り、書けるようにしたりしておく必要があります。
(2)スカウトサービスを有効活用する
スカウトサービスとは、無料登録の上プロフィールを入力すると企業サイドから学生にスカウトが入るサービスのことです。高学歴が採れるに越したことはないが、現実的にMARCH層をターゲットに採用を行う企業からスカウトが入ることがあります。プロフィール入力1回で持ち駒を増やせるので、活用するに越したことはありません。代表的なスカウトサービスは次の2つです。
キミスカ(デロイトトーマツ、キリン、NTTデータ等が提携)
スカウト型の就活サービス。学生は登録してプロフィールを入力しておくだけで、マッチした企業がどんどん紹介されます。
キミスカ限定の求人情報に加え、スペックに応じてESや筆記、1次2次等の初期選考をパスできるので、効率よく就活が勧められます。もちろん内定後に断るのは自由なのでノーリスクです。
Facebookからの登録も出来ますが、登録情報が名前とメアドのみとなるため、スカウトが届きづらくなる可能性があり本末転倒です。面倒ですが通常登録をおすすめします
Offer Box(カゴメ、コクヨ等が提携)
Offer Boxは『経験や人となりを見て企業からのスカウトを待つ』就活スカウトサービスです。提携企業2180社、登録就活生28000人以上が登録しています。プロフィール入力率60%以上の学生のうち97.2%が企業からのスカウトを受けており、採用担当者が属性で一気にスカウトメッセージを送るのではなく、1つ1つのプロフィールを閲覧しないとスカウトメッセージが送れないのが特徴です。
ニクリーチ(寿司リーチ) ※サービス終了
『ビズリーチ』が運営する『焼肉食べながら就活する』サービスです(笑)高級焼肉店で人事と会食をします。最近は『寿司リーチ』という寿司屋で会食するサービスも始めたようです。
人事は優秀な学生に早期に接触したくてくるわけですが、学生にはそんなこと関係ありません。
気構えずに学生はとりあえず、「肉喰いたいから来ました。」でOKです。
ただし、
無料登録後にログインして”プロフィールを入力しないと企業から焼肉等のお誘いはきません”ので実質登録していないのと同じ状態になります
のでご注意ください。
焼肉好きならとりあえず、登録して息抜きに使うのも手です(笑)
※ニクリーチは2020年7月31日をもってサービス終了しております。
(3)エージェントサービスを有効活用する
エージェントサービスとは、無料登録の上キャリアカウンセラーと無料面談し、その上であなたに適した非公開求人や選考を紹介してくれます。最終的に就活生が提携先企業に入社するとエージェントに企業から報酬が払われる仕組みです。エージェント経由で内定したからといって必ずしも入社しなければならないわけではありません。
登録後の無料面談は面倒かもしれませんが、自己分析や面接練習の良い機会です。一度面談を行えば、2馬力で就活を進めることができるので持ち駒を増やす上では非常に有効になります。エージェントサービスで良いなと思うものは以下の2つです。
キャリアチケット
キャリアチケットは渋谷ヒカリエに本社を構える「レバレジーズ株式会社」が運営する就活エージェントサービスです。学生は全て無料で「独自の自己発見カウンセリング(私服歓迎)」を受け、適正のある企業の選考を紹介してもらうことが出来ます。
もちろん選考に進むかどうかは、就活生が決めて大丈夫で、万が一内定に至っても学生側に違約金等が発生することは一切ありません。つまり、1度のカウンセリングをすることで、無料・ノーリスクでアツい持ち駒を増やしてくれるサービスです。
場合によっては、MARCH等の学歴であってもこうしたエージェントサービスを利用することで、就職エージェントの推薦が得られれば、早稲田の商学部以上の高学歴層と同じ土俵で就活に挑むことが出来ます。学歴にアドバンテージが無いからこそ、他者を巻き込んで協力してもらうことで成果に繋げていくことが、就活で納得のいく成果を得る上では重要です。
就活エージェントの効率的な使い方!おすすめのエージェント10選
MARCH層が就活でエントリー後に具体的に行うべきこと
学歴・属性においてアドバンテージが無いMARCH層が人気企業への内定を狙ってエントリー後に行うべきことは以下の3つです。
非常にシンプルな話なのですが、スペックでは高学歴層に勝てないので、ES・webテスト・面接でハイパフォーマンスを出さないと人気業界に内定できないという話です。一方で、学歴ステータスに慢心する高学歴層を十分で効率的な努力で追い抜いていける可能性があるということも意味します。
(1)OBOG訪問
説明会に参加するよりもOB訪問を積極的に行ってください。リクルーターに発展することもありますし、企業によってはOB訪問の回数や内容を『現場の意見』として評価に組み込んでいる企業もあります。
就活が本格化するとOB訪問を受ける社会人の方々のスケジュールが埋まってしまうことがあるので、アポイントだけ早目に取得することをおすすめします。この時社会人側が自分の意志でOB訪問歓迎の登録している『ビズリーチキャンパス』を使うと、効率的にOBOG訪問のアポイントがとれます。
新進気鋭の人材メガベンチャー『ビズリーチ』が運営するOBOG訪問支援のサービス。卒業名簿には無いOB/OGに訪問できる他、社会人側が自主的に登録しているため訪問をお願いするハードルがかなり低く、アポが取りやすいですよね。
ただし、”ログインしてプロフィールを入力しないとOB/OGの方々も訪問を受けるかどうか判断しかねる“ので、実質登録していないのと同じ状態になってしまうので注意です。
MARCH層以上の大学がターゲットの様です。
(2)ESの書き方の練習
当たり前ですが高学歴層と同等内容のESであれば高学歴層が通されます。従って、高学歴層をしのぐ内容のESを書かなければ書類選考の通過率が高学歴層と比較して激的に下がることになります。
また、面接はESに基づいて行われるため、ESに変な内容を書いてしまうと選考全て、特に終盤で苦戦し、通過率を下げてしまいます。従って、質の高いESを沢山出す必要があるんです。
ESは
ESの準備すべき4項目
- (1)自己PR(頑張ったこと)
- (2)志望動機(業界・企業)
- (3)研究内容(特に理系)
- (4)それ以外(独自問題)
の4つに大別できます。『ES対策』と一口にくくるのではなく、上記3点それぞれに準備を行うことをおすすめします。
(3)webテスト対策
就活では学歴フィルターに加え、テストでの足切りが行われます。更に、最終選考まで残ってもテストにおける能力結果と性格結果の2つも判断材料の1つとして扱われ、合否が決まります。従って、webテストは足切りさえ通過すれば良いというものではなく、ベストスコアを狙って努力すべきポイントになります。最も対策の優先順位が高いのは『テストセンター』です。採用企業が多く、替え玉が効かないからです。
(4)面接の練習
面接は『話すだけ』とタカをくくって臨み撃沈する就活生が跡を絶ちません。面接も同様です。面接内容と話し方が高学歴層と同じであれば、高学歴層が通ってしまいます。
特に、集団面接の場合、人事から現場の社員に『その集団から最も良いと思った2名を通過させて下さい』といった内容の要望が出ていることが少なくありません。つまり、高学歴層との比較検討のステージに立った時に、高学歴層を追い抜く圧倒的な内容や受け答えがなければ面接が通過せず内定が出ません。裏を返せば、高学歴というステータスに慢心した就活生を、十分かつ効率的な面接準備によってごぼう抜きにできるということでもあります。
MARCH層の就活戦略のまとめ
いかがだったでしょうか。MARCH層は学歴フィルターには引っかからないけれど、学歴面でのアドバンテージはありません。従って、
- ・落選リスクを考慮した企業のエントリー
- ・高学歴層以上のハイパフォーマンスをES・テスト・面接で出す
ことの2点が人気企業内定のためには必要不可欠です。裏を返せばこれら2つの対策でステータスに慢心した高学歴層をごぼう抜きすることだって就活ではできるんです。上記を踏まえて、納得の行く就活と納得の行く成果を出せる様に、集中して就活に臨んでみて下さい。
また、大学の学部ごと就職活動に有利か不利かが決まるのかが気になる就活生の皆さんは、【2024年度最新版】現役大学生の新卒就職先業界を学部別に徹底解説!も参考にしてくださいね。