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スーパーゼネコン5社の違いを数字で比較

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建設業界
2018年05月07日
工事現場

はじめに

ここでは日本の大手ゼネコン、中でもスーパーゼネコンと言われている

  • ・竹中工務店(以下:竹中)
  • ・清水建設(以下:清水)
  • ・大林組(以下:大林)
  • ・大成建設(以下:大成)
  • ・鹿島建設(以下:鹿島)

の5社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージではなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

※竹中工務店は非上場企業ですが、有価証券報告書を作っており閲覧出来るようになっていたのでそこから各数値を引っ張ってきました。

目次

  1. 主要子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. コスト&研究開発費の比較
  6. 従業員1人あたりの売上&利益の比較
  7. 事業セグメントの比較
  8. まとめ
  9. 志望動機として使えそうな点
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主要子会社・関連会社の比較

特に有名な子会社・関連会社が見当たらないので、今回は省略します。

事業規模の比較(単位:百万円)

表19

売上 順位

  • 1位:大林
  • 2位:鹿島
  • 3位:清水
  • 4位:大成
  • 5位:竹中

純利益 順位

  • 1位:鹿島
  • 2位:清水
  • 3位:大林
  • 4位:大成
  • 5位:竹中

5社間で大幅に差がある、という感じではないようですが多少なりとも差があります。

売上と純利益の2つを見る限りでは事業規模という面では鹿島が質・量ともに充実しているようです。

安全性の比較

表18

流動比率 順位

  • 1位:清水
  • 2位:竹中
  • 3位:大成
  • 4位:鹿島
  • 5位:大林

自己資本比率 順位

  • 1位:竹中
  • 2位:大成
  • 3位:清水
  • 4位:大林
  • 5位:鹿島

株式を上場させて資本(純資産)を調達している4社よりも、資本を調達していない竹中が資本が一番充実しているという謎の現象が起こっています。

大まかに見てどこもかしこも財務的にはマズくはないけれども、割とギリギリのバランスを保っていることがわかります。

利益性の比較

表22

純利益率 順位

  • 1位:竹中
  • 2位:大成
  • 3位:清水
  • 4位:鹿島
  • 5位:大林

各社間にそこまでの差はなく、あったとしても微々たるものです。

ネットFCF 順位

  • 1位:大成
  • 2位:大林
  • 3位:鹿島
  • 4位:清水
  • 5位:竹中

ですが、ネットFCFとなるとかなり差がついてきます。

1位の大成と5位の竹中だと約3倍の差がついています。

実質設備投資/営業CF 順位

  • 1位:大成
  • 2位:清水
  • 3位:鹿島
  • 4位:大林
  • 5位:竹中

ネットFCFの差の謎は大成の圧倒的な設備投資費用の少なさが一つの要因としてあるようです。

清水・鹿島・大林の3社の設備投資の比率は似たようなものですが、竹中はけっこう設備投資にお金をかけざるを得ないような状況のようです。

在庫回転率 順位

  • 1位:竹中
  • 2位:大林
  • 3位:鹿島
  • 4位:清水
  • 5位:大成

しかし在庫回転率では竹中が他の4社を全く寄せ付けずに1位になっています。

この数値から推測するに、おそらく竹中は他の4社と比べて受注額が少ない代わりに規模が小さく、工期が短い案件を多く扱っているのではないかと思います。

そういう意味では大成・清水は5社の中でも受注額が大きい代わりに規模が大きく工期も長い案件を扱っており、大林・鹿島はその中間の案件を扱っているのではないかという推測が出来ます。

こういうことは実際に関係者に会ってみて仮説をぶつけてみて答え合わせをしてみるといいかもしれません。

コスト&研究開発費の比較

表10

販管費/売上 順位

  • 1位:大林
  • 2位:清水
  • 3位:鹿島
  • 4位:大成
  • 5位:竹中

研究開発費/売上 順位

  • 1位:鹿島
  • 2位:大林
  • 3位:竹中
  • 4位:清水
  • 5位:大成

販管費・研究開発費ともに5社とも同じような感じです。

従業員1人あたりの売上&利益の比較

表26

売上/従業員(単位:百万円)順位

  • 1位:大林
  • 2位:大成
  • 3位:鹿島
  • 4位:清水
  • 5位:竹中

そこまで差がある訳ではありませんが、大林が一歩リードといった感じでしょうか。

営業利益/従業員(単位:百万円)順位

  • 1位:大成
  • 2位:大林
  • 3位:清水
  • 4位:竹中
  • 5位:鹿島

ただ営業利益となると大成が抜け出ます。

大林も健闘はしているものの惜しくも2位です。

1人あたり営業利益/売上 順位

  • 1位:大成
  • 2位:竹中
  • 3位:清水
  • 4位:鹿島
  • 5位:大林

利益率も極端な差はありませんが、得てして言えば鹿島・大林が5社の中では利益効率の面で若干劣る、といった感じです。

事業セグメントの比較

竹中

表20
表25
表5

言及するまでもなく、ちゃんと建設会社な内容です。

「開発」は利益貢献度は少ないながらも利益効率に関してはかなり良いようです。

清水

表1
表7
表24

ここもまた然りでちゃんと建設会社をやっています。

そして「投資開発」の利益率もやはり良いです。

大林

表4
表11
表28

海外に進出してはいるものの、あまり上手く行っていない印象があります。

「不動産(≒開発)」の利益率の良さが光ります。

大成

表14
表2
表9

今まで見てきた3社の「開発」は利益効率がかなり良かったのですが、なぜかこの会社の「開発」の利益効率はそんなでもないようです。

むしろ土木の利益効率が一番良いくらいなので「メイン事業の利益効率が良い」というけっこう幸せな会社なように見えます。

鹿島

表8
表27
表13

この会社の「開発」の利益効率は例のごとく良いようです。

「国内関係会社」とか「海外関係会社」とか分かれていますが、ざっくりとそのセグメントも「土木・建築関連」なので、やっぱりちゃんと建設がメインの会社です。

ちなみに各社の日本・海外の売上比率は以下のようになります。

表23

やっぱりここもそこまで差がある訳ではありません。

ここまで見たところで5社とも割と全般的に似たり寄ったりな感じです。

まとめ

これまで見てきた 社の順位を「利益性」「コスト」「安全性」「チーム力」「個人技」の括りで下記します。

(総合点と平均が低ければ低いほどこの項目について「優れている」ということになります。)

表3

利益性 総合順位

  • 1位:大成
  • 2位:大林
  • 3位:鹿島
  • 4位:清水
  • 5位:竹中

微妙なところではありますが、大成がわずかに大林に競り勝って1位になっています。

その差は個人技と利益効率の差だと思われます。

表21

コスト 総合順位

  • 1位:大林・鹿島
  • 2位:清水
  • 3位:大成
  • 4位:竹中

ここでは大林・鹿島・清水が上位にランクインしています。

大成・竹中はコスト面においては他の3社よりも割と劣るようです。

表6

安全性 総合順位

  • 1位:竹中
  • 2位:清水
  • 3位:大成
  • 4位:大林・鹿島

安全性では竹中の圧勝です。

資本調達していないのにも関わらずこの結果ということは竹中が会社としていかに慎重にお金を管理しているかを示しています。

表16

チーム力 総合順位

  • 1位:鹿島
  • 2位:清水
  • 3位:大林
  • 4位:大成
  • 5位:竹中

鹿島が清水に競り勝って1位です。

鹿島は純利益率はあんまり高くないけれども、純粋な事業規模という面で高順位なことで1位になり、清水はそこまで目立たないけれども安定した順位を獲得した結果2位ということになっています。

逆に言えば他の3社は極端に良い項目と極端に悪い項目を合わせ持った結果、全体的な順位を落としたということになります。

表15

個人技 総合順位

  • 1位:大成
  • 2位:大林
  • 3位:清水
  • 4位:竹中
  • 5位:鹿島

個人技は大成が抜群の安定感を見せ、2位にダブルスコアをつけての圧勝です。

チーム力はそれほどでもないですが、かなり優秀なプレイヤーを揃えてはいるようです。

表17

総合順位

  • 1位:大成
  • 2位:大林
  • 3位:清水
  • 4位:鹿島
  • 5位:竹中

あまり極端には差はついていませんが、大成が総合1位ということになっています。

印象としてはコスト効率の良さと個人技の強さで1位になった感じです。

各社の特徴をまとめると以下のようになります。

竹中

  • 利益性:5位
  • コスト:4位
  • 安全性:1位
  • チーム力:5位
  • 個人技:4位
  • 総合:5位
  • ★5社の中で財務は一番健全
  • ★しかしそれ以外の項目では他の4社と比べてかなり見劣りする

清水

  • 利益性:4位
  • コスト:2位
  • 安全性:2位
  • チーム力:2位
  • 個人技:3位
  • 総合:3位
  • ★利益性以外の項目では割と高順位ないしは並みの順位を獲得
  • ★総合すると「スーパーゼネコンの中でも平均的な会社」ということになる

大林

  • 利益性:2位
  • コスト:1位
  • 安全性:4位
  • チーム力:3位
  • 個人技:2位
  • 総合:2位
  • ★5社の中では財務の健全性以外は軒並みレベルが高い
  • ★なんとなく、優等生のイメージ

大成

  • 利益性:1位
  • コスト:3位
  • 安全性:3位
  • チーム力:4位
  • 個人技:1位
  • 総合:1位
  • ★利益性や個人技などの「稼ぐ力」は5社の中でトップレベル
  • ★コスト効率・財務の健全性・チーム力では他の4社に劣るが、「稼ぐ力」の圧倒的な強さがそれらを補っている

鹿島

  • 利益性:3位
  • コスト:1位
  • 安全性:4位
  • チーム力:1位
  • 個人技:5位
  • 総合:4位
  • ★チーム力は5社の中で一番高い
  • ★ただしチーム力以外の項目は軒並み低順位でそれらが総合順位を押し下げている大きな要因になっている

志望動機として使えそうな点

竹中

スーパーゼネコン唯一の非上場企業という点

株式を上場していると企業は株主の為に利益を稼いでこなければならず、すると必然的にいくら営業を頑張って取ってきたとしても利益効率の悪い案件は社内判断で却下される可能性があると思います。

しかし竹中の場合は非上場なので、不特定多数の顔の見えない株主のご機嫌を取るための「何が何でも利益効率の良い案件を取ってこなければならない」というプレッシャーは上場企業と比べて少ないと想定されます。(もちろん株主はちゃんといますし、会社の方針も鑑みなければならないのでそれ次第という側面もありますが)

そういう意味では他の4社と比べて余計なプレッシャーやストレスがより少ない仕事環境がこの会社にはあるのではないかと思うので、「プレッシャーやストレスが多くかかればかかるほど、力が発揮できる人」以外はこの会社が向いているかもしれません。

5社の中では財務が一番健全な点

スーパーゼネコンの中でも、一番安定した会社で働きたいという人には最も向いているかもしれません。

清水

スーパーゼネコンの中では「平均的」な点

「業界トップの会社でゴリゴリに働いていきたい人」や「大手の看板は欲しいけれども、そこまでゴリゴリには働きたくはない人」などがいるかもしれませんが、この会社は数値的にはその中間に位置しています。

なので「大手の看板は欲しいけれども、メリハリつけて働くところは働き、抜くところは抜く」という考えを持っている人には最も向いているかもしれません。

大林

色んなレベルが軒並み高い点

財務の健全性以外は軒並みレベルが高く、なんとなく優等生イメージのこの会社。

そしてなんやかんやで売上高は業界トップなので、あらゆる面から見て会社としてのクオリティは高く、スーパーゼネコンの中では「バランスが取れた優良企業」と言うことは出来るでしょう。

あくまでも「スーパーゼネコンの中では」という括りではありますが。

なので「スーパーゼネコンの中でも優良企業に就職したい」と考えている人には向いているかもしれません。

大成

5社の中では圧倒的に「稼ぐ力」が強い点

チームとしては割とパッとしない印象のこの会社ですが、個人技となると圧倒的に強く、そしてその稼ぐ力は5社の中でも抜きん出ています。

なので「バリバリ働いてバリバリ稼いでいきたい」と考えている人や、「優秀な人材が多くいる環境で揉まれて成長していきたい」と考えている人には最も向いているかもしれません。

鹿島

チーム力が最も優れている点

この会社の場合は色んな項目において軒並み評価が低めなのですが、唯一「チームとして稼ぐ力」は5社の中で最も優れています。

なので「個人として頑張って成果を出すのが得意」な人よりも「チームの一員として自分の役割をこなして貢献するのが得意」な人の方がこの会社には向いているかもしれません。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人に会ったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。