大手水産会社の違いを数字で比較

カテゴリ:水産業界
ES研究所 2018年12月21日
海中の魚

ここでは日本の大手水産会社の

  • ・マルハニチロ
  • ・日本水産
  • ・極洋

の3社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージではなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 主要子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. コスト&研究開発費の比較
  6. 従業員1人あたりの売上&利益の比較
  7. 事業セグメントの比較
  8. まとめ
  9. 志望動機として使えそうな点

①主要子会社・関連会社の比較

表25
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②事業規模の比較(単位:百万円)

表19

売上 順位

  • 1位:マルハニチロ
  • 2位:日本水産
  • 3位:極洋

純利益 順位

  • 1位:日本水産
  • 2位:マルハニチロ
  • 3位:極洋

事業規模ではマルハニチロが2位の日本水産に大差をつけて1位となっていますが、純利益だと逆に日本水産に追い抜かれています。

そして極洋は大手は大手だけれども事業規模という面では他の2社に遠く及ばないようです。

③安全性の比較

表5

流動比率 順位

  • 1位:極洋
  • 2位:マルハニチロ
  • 3位:日本水産

自己資本比率 順位

  • 1位:日本水産
  • 2位:極洋
  • 3位:マルハニチロ

流動比率と自己資本比率で順位が全てバラバラですが、総じて財務基盤はそこまで強固ではなさそうです。

④利益性の比較

表15

純利益率 順位

  • 1位:日本水産
  • 2位:マルハニチロ
  • 3位:極洋

純利益率では日本水産が1位となっています。

ただし総じて低めの数値ではあります。

ネットFCF 順位

  • 1位:マルハニチロ
  • 2位:日本水産
  • 3位:極洋

純利益額では日本水産の後塵を拝していたマルハニチロですが、自由資金は日本水産よりも多く残せているようです。

実質設備投資/営業CF 順位

  • 1位:マルハニチロ
  • 2位:日本水産
  • 3位:極洋

マルハニチロが日本水産よりも自由資金を多く残せている理由は設備投資負担の相対的な少なさにあるようです。

そして極洋は使い過ぎです。

在庫回転率 順位

  • 1位:極洋
  • 2位:マルハニチロ
  • 3位:日本水産

在庫回転率は3社間でそこまで極端な差はないようです。

⑤コスト&研究開発費の比較

表4

販管費/売上 順位

  • 1位:極洋
  • 2位:マルハニチロ
  • 3位:日本水産

研究開発費/売上 順位

  • 1位:マルハニチロ
  • 2位:極洋
  • 3位:日本水産

日本水産は販管費と研究開発費に割とお金を注ぎ込んでいる印象を受けます。

⑥従業員1人あたりの売上&利益の比較

表10

売上/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:極洋
  • 2位:マルハニチロ
  • 3位:日本水産

極洋は事業規模では他の2社に遠く及びませんでしたが、個人技では1位となっています。

単純に投下人員数などの問題なのだと思います。

営業利益/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:日本水産
  • 2位:マルハニチロ
  • 3位:極洋

ただ営業利益では日本水産が1位に躍り出ます。

そしてマルハニチロと極洋はそこまで大差がありません。

1人あたり営業利益/売上 順位

  • 1位:日本水産
  • 2位:マルハニチロ
  • 3位:極洋

営業利益率は段階がついていますが、これもまた総じて利益率は低めです。

⑦事業セグメントの比較

マルハニチロ

表14
表8
表7

「漁業・養殖」
はえ縄、まき網などの漁業、クロマグロやカンパチなど付加価値の高い魚の養殖、海外合弁事業を柱に、直接、水産資源の調達を行う。
「商事」
国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ「水産商事」「畜産商事」、市場流通の基幹を担う「荷受」、及び量販店、コンビニエンスストア、生協、外食などの業態に特化した「業務用食品(商事)」から構成されている。
「海外」
中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化している「海外」、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する「北米」から構成されている。
「加工」
家庭用冷凍食品の製造・販売を行う「家庭用冷凍食品」、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート・調味料・フリーズドライ製品等の製造・販売を行う「家庭用加工食品」、業務用商材の製造・販売を行う「業務用食品(加工)」、及び化成品の製造・販売を行う「化成」から構成されている。
「物流」
冷凍品の保管及び輸配送を行う。
「その他」
飼料等の保管業、海運業、不動産業及び毛皮・ペットフードの製造販売業等を行う。

売上では「商事」が全体の5割を占めているため存在感がありましたが、営業利益ではその割合を減じており、「海外」が貢献度を増しています。

そして意外にも「物流」が営業利益率ではダントツの1位であり、「商事」はあんまり利益が出ない事業のようです。

日本水産

表20
表16
表3

「水産」
漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業
「食品」
加工事業およびチルド事業
「ファイン」
医薬原料、機能性原料、機能性食品、および医薬品、診断薬の製造及び販売
「物流」
冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業
「その他」
船舶の建造・修繕、運航、エンジニアリング等

売上では「水産」と「食品」でほぼ全てを占めていますが、営業利益となると「ファイン」が台頭してきています。

そして営業利益率を見ると「ファイン」と「物流」は他の事業よりも圧倒的に効率が良い事業であることがわかります。

極洋

表9
表12
表24

「水産商事」
水産物の買付及び販売
「冷凍食品」
冷凍食品の製造及び販売
「常温食品」
缶詰・海産物珍味の製造及び販売
「物流サービス」
冷蔵倉庫業
「鰹・鮪」
カツオ・マグロの漁獲、養殖、買付及び加工、販売
「その他」
保険代理店業等

この会社の場合は売上と営業利益では各事業の占める割合はそこまで大きな変化はないようで、いずれの項目も「水産商事」が稼ぎ頭となっています。

ただ営業利益率を見ると他の2社と同じように「物流」が最も効率の良い事業であることがわかります。

海外売上比率ですが、日本水産はマルハニチロ・極洋と比べて海外展開が進んでいることがわかります。

表21

⑧まとめ

これまで見てきた 社の順位を「利益性」「コスト」「安全性」「チーム力」「個人技」の括りで下記します。

※各数値の偏差値を基準として順位を算出しています。偏差値の平均は50です。

※平均以下の項目を赤字で示しています。

表1

利益性 総合順位

  • 1位:日本水産(偏差値:60)
  • 2位:マルハニチロ(偏差値:53)
  • 3位:極洋(偏差値:36)

在庫回転率と個人技の売上では他の2社に劣りましたが、総合的な利益性では日本水産が1位となっています。

逆に極洋は在庫回転率と個人技の売上以外では他の2社に劣っているようで、マルハニチロは押し並べて2位といった印象です。

表2

コスト 総合順位

  • 1位:マルハニチロ(偏差値:61)
  • 2位:極洋(偏差値:52)
  • 3位:日本水産(偏差値:37)

コスト効率ではマルハニチロが1位で、日本水産は最下位ということになっています。

極洋は普通くらいのようです。

表26

安全性 総合順位

  • 1位:極洋(偏差値:60)
  • 2位:日本水産(偏差値:54)
  • 3位:マルハニチロ(偏差値:36)

財務の健全性では流動比率でポイントを稼いだ極洋が1位となっています。

日本水産は流動比率は微妙だけれども自己資本比率で少しリードし、マルハニチロは中道を行っている印象です。

表13

チーム力 総合順位

  • 1位:日本水産(偏差値:59)
  • 2位:マルハニチロ(偏差値:55)
  • 3位:極洋(偏差値:36)

事業規模ではマルハニチロに劣ったものの、それ以外の項目で上回った日本水産がチーム力では1位ということになっています。

極洋は他の2社に全く歯が立たず。

表17

個人技 総合順位

  • 1位:日本水産(偏差値:64)
  • 2位:極洋(偏差値:46)
  • 3位:マルハニチロ(偏差値:40)

個人技では2位の極洋に大差をつけて日本水産が1位となっています。

そして事業規模では圧倒的だったマルハニチロですが、個人技ベースでは極洋に負けているように見えます。

表11

総合順位

  • 1位:日本水産(偏差値:57.2)
  • 2位:マルハニチロ(偏差値:56.9)
  • 3位:極洋(偏差値:36)

激しい競り合いを制して総合では日本水産が1位となっていますが、マルハニチロとの差は全然ないようです。

そして極洋は上位2社に大きく水を開けられています。

各社の特徴をまとめると以下のようになります。

表22
  • 強み:コスト効率
  • 弱み:財務の健全性
表23
  • 強み:チーム力・個人技
  • 弱み:コスト効率
表6
  • 強み:財務の健全性
  • 弱み:チーム力

⑨志望動機として使えそうな点

マルハニチロ

事業規模的に業界最大手である点

総合順位では日本水産に負けましたが、それでも業界最大手であることには変わりはありません。

なので「業界最大手の看板を背負って働きたい」という人には向いているかもしれません。

日本水産

業界の中では優れた利益性を有している点

事業規模ではマルハニチロに及びませんでしたが、利益効率や個人技の強さなど営利企業としての強さは3社の中で最も優れていることを確認してきました。

なので「業界の中では最もお金儲けが上手い企業でバリバリ働きたい」という人にとっては最も向いているかもしれません。

あと他の2社に比べて海外進出が進んでいる方なのでそれもポイントになるかもしれません。

極洋

事業規模は比べるべくもなく小さいが、それなりの個人技の強さと財務基盤を有している点

事業規模は圧倒的に小さく、利益効率も良いとは言えないこの会社ですが、個人技を見てみると業界最大手のマルハニチロを上回る強さを有し、更に財務基盤も相対的には3社の中で最もマシであることを確認してきました。

なので「バリバリ働いて会社の成長とともに自分も成長させていきたい」と考えている人や「業界の中でも財務が比較的マシな会社でちゃんと働いていきたい」と考えている人にとっては最も向いているかもしれません。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人に会ったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。