製薬大手の違いを数字で比較

カテゴリ:製薬・MR業界
ES研究所 2018年04月20日
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水のしぶき

はじめに

ここでは日本の製薬大手の

  • ・武田薬品(以下:武田)
  • ・アステラス製薬(以下:アステラス)
  • ・第一三共
  • ・大塚HD
  • ・エーザイ

の5社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージではなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 主要子会社・関連会社の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. コスト&研究開発費の比較
  6. 従業員1人あたりの売上&利益の比較
  7. 事業セグメントの比較
  8. まとめ
  9. 志望動機として使えそうな点
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主要子会社・関連会社の比較

表8

事業規模の比較(単位:百万円)

表20

売上 順位

  • 1位:武田
  • 2位:アステラス
  • 3位:大塚HD
  • 4位:第一三共
  • 5位:エーザイ

純利益 順位

  • 1位:アステラス
  • 2位:武田
  • 3位:大塚HD
  • 4位:第一三共
  • 5位:エーザイ

売上は上位3社が競っている状況ですが、純利益に関してはアステラスが頭一つ抜けているようです。

安全性の比較

表13

流動比率 順位

  • 1位:第一三共
  • 2位:大塚HD
  • 3位:エーザイ
  • 4位:アステラス
  • 5位:武田

自己資本比率 順位

  • 1位:アステラス
  • 2位:大塚HD
  • 3位:第一三共
  • 4位:エーザイ
  • 5位:武田

武田はちょっと短期の資金繰りで苦戦しそうな感じですが、それ以外は十分な流動比率を有しています。

自己資本比率に関しても各社とも十分に高い数値ですが、やはり武田はあんまりお金を持っていないようです。

利益性の比較

表14

純利益率 順位

  • 1位:第一三共
  • 2位:アステラス
  • 3位:エーザイ
  • 4位:大塚HD
  • 5位:武田

アステラスと第一三共のスバ抜けて高い純利益率と武田のズバ抜けて低い純利益率が目立ちます。

ネットFCF 順位

  • 1位:アステラス
  • 2位:エーザイ
  • 3位:第一三共
  • 4位:大塚HD
  • 5位:武田

こちらはアステラスの圧勝です。

そして事業規模では下位グループだったエーザイと第一三共がしっかりと自由資金を残しており、上位グループだった大塚HDと武田がお金を使い過ぎて自由資金が残っていないことがわかります。

実質設備投資/営業CF 順位

  • 1位:エーザイ
  • 2位:アステラス
  • 3位:第一三共
  • 4位:大塚HD
  • 5位:武田

エーザイの異常なコスト効率性の良さがわかります。

同業種でこれだけ違うのは珍しく、エーザイの経営の特殊性が垣間見えます。

在庫回転率 順位

  • 1位:大塚HD
  • 2位:アステラス
  • 3位:武田
  • 4位:エーザイ
  • 5位:第一三共

この項目に関しては各社そこまで差がないようです。

コスト&研究開発費の比較

表4

販管費/売上 順位

  • 1位:第一三共
  • 2位:エーザイ
  • 3位:武田
  • 4位:アステラス
  • 5位:大塚HD

販管費とは正式には「販売費及び一般管理費」と言い、ざっくり言うと人件費・広告宣伝費・運送費などの商品を販売するのにかかった費用のことです。

この項目も各社であまり差がないようです。

研究開発費/売上 順位

  • 1位:大塚HD
  • 2位:アステラス
  • 3位:武田
  • 4位:第一三共
  • 5位:エーザイ

またまた各社でそこまで目立った差はないようです。

在庫回転率・販管費・研究開発費では差はつきにくいようです。

従業員1人あたりの売上&利益の比較

表25

売上/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:アステラス
  • 2位:第一三共
  • 3位:武田
  • 4位:エーザイ
  • 5位:大塚HD

アステラスが一歩リードしていて、大塚HDは逆に一歩遅れているようです。

営業利益/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:エーザイ
  • 2位:アステラス
  • 3位:第一三共
  • 4位:大塚HD
  • 5位:武田

売上/人の項目ではどちらかと言うと普通だったエーザイがこの項目ではトップに躍り出ています。

そして相変わらずアステラスは優秀なようです。

1人あたり営業利益/売上 順位

  • 1位:エーザイ
  • 2位:アステラス
  • 3位:大塚HD
  • 4位:第一三共
  • 5位:武田

エーザイの異常な利益効率の良さと武田の異常な利益効率の悪さが目立ちます。

ここでもやはり優秀なアステラス。

事業セグメントの比較

武田

表24
表22
表2

3年平均で見ると売上貢献度トップの医療用医薬品が利益ではそこまででもないように見えますが、単年度で見ていくと2015年度のひどい落ち込みの影響が大きくそれ以外の年度は売上貢献度と利益貢献度が概ね一致します。

なので基本的な認識としては医療用医薬品が一番売れるし儲かるということで良いと思うのですが、割とムラがある事業だということも理解しておいた方が良さそうです。

アステラス

表11
表6
表5

特に言うことはありませんが、しいて言えば医薬品の利益効率は普通よりかは良いように思えます。

第一三共

表21
表18
表9

この会社も言及し辛いのですが、利益効率は普通よりも少し劣後するといった感じでしょうか。

大塚HD

表17
表3
表23

各セグメントの売上貢献度と利益貢献度が概ね一致しているので、事業としては非常にわかりやすい印象です。

そしてその他の事業を除いては利益効率はどのセグメントもだいたい同じくらいなのでけっこうバランスが取れた事業ポートフォリオを有していることがわかります。

エーザイ

表15
表12
表19

この会社の特徴はやはり「圧倒的な利益効率の良さ」ということになりそうです。

医薬品事業は言わずもがな他社の医薬品事業と比べて異常な利益率を叩き出しているだけでなく、売上と利益の貢献度がほとんどないその他の事業に関してもかなり高い利益率を誇っています。

まとめ

これまで見てきた 社の順位を「利益性」「コスト」「安全性」「チーム力」「個人技」の括りで下記します。

(総合点と平均が低ければ低いほどこの項目について「優れている」ということになります。)

表27

利益性 総合順位

  • 1位:アステラス
  • 2位:エーザイ
  • 3位:第一三共
  • 4位:大塚HD
  • 5位:武田
表1

コスト 総合順位

  • 1位:エーザイ
  • 2位:アステラス
  • 3位:第一三共・大塚HD
  • 4位:武田
表7

安全性 総合順位

  • 1位:第一三共・大塚HD
  • 2位:アステラス
  • 3位:エーザイ
  • 4位:武田
表10

チーム力 総合順位

  • 1位:アステラス
  • 2位:武田
  • 3位:第一三共
  • 4位:大塚HD
  • 5位:エーザイ
表28

個人技 総合順位

  • 1位:アステラス
  • 2位:エーザイ
  • 3位:第一三共
  • 4位:大塚HD
  • 5位:武田
表16

総合順位

  • 1位:アステラス
  • 2位:エーザイ
  • 3位:第一三共
  • 4位:大塚HD
  • 5位:武田

各社の特徴をまとめると以下のようになります。

武田

  • 利益性:5位
  • コスト:4位
  • 安全性:4位
  • チーム力:2位
  • 個人技:5位
  • 総合:5位
  • ・事業規模こそ国内トップだが、それ以外の項目は概ね微妙な感じ
  • ・主力は医療用医薬品だが、年度によってその利益貢献度は大きく変わる

アステラス

  • 利益性:1位
  • コスト:2位
  • 安全性:2位
  • チーム力:1位
  • 個人技:1位
  • 総合:1位
  • ・事業規模も大きく、それでいて利益性や財務の健全性などのだいたいの項目でトップ評価を受ける超優等生
  • ・製薬会社のクオリティは国内大手の中で文句なしのトップ

第一三共

  • 利益性:3位
  • コスト:3位
  • 安全性:1位
  • チーム力:3位
  • 個人技:3位
  • 総合:3位
  • ・財務の健全性は非常に高いが、それ以外は概ね普通

大塚HD

  • 利益性:4位
  • コスト:3位
  • 安全性:1位
  • チーム力:4位
  • 個人技:4位
  • 総合:4位
  • ・製薬大手の中では全体的にパッとしない印象
  • ・事業ポートフォリオは効率的でバランスが取れたものとなっている

エーザイ

  • 利益性:2位
  • コスト:1位
  • 安全性:3位
  • チーム力:5位
  • 個人技:2位
  • 総合:2位
  • ・事業規模は5社の中では一番小さいが、それ以外の項目ではかなり優秀
  • ・何よりも5社の中で圧倒的に利益効率が良い

志望動機として使えそうな点

武田

事業規模が一番大きい点

国内大手の看板を背負って働きたい」と考えている人には向いているかもしれません。

アステラス

会社として総合的に優れている点

事業規模も大きく、それでいて会社としてのクオリティが高いので「大手の良い会社で働きたい」と考えている人には向いているかもしれません。

第一三共

5社の中では全体的に普通な点

地味だけれど目立ってやり玉に挙げられる可能性も割と低いと想定されるので、どちらかと言うと堅実な会社で働きたいと考えている人には向いているかもしれません。

大塚HD

バランスが取れた事業ポートフォリオを有している点

売上と利益の貢献度は各セグメントでバラツキがありますが、それぞれの利益効率はどれも同じくらいということを鑑みると、おそらく各セグメント間で事業の優劣はそこまでなく、会社内ではどのセグメントも同じくらい大事だということが推測されます。

なのでどのセグメントに配属されても「自分は花形の事業に配属された」とか「自分は会社にとってあまり重要でない事業に配属された」といったいわゆる「社内ヒエラルキー」はあまり存在しないと思うので、そういった余計なことに左右されたくない人には向いているかもしれません。

エーザイ

小粒だけど非常に優秀な会社である点

「製薬大手の中では」という括りはありますが、この会社は「隠れた優良企業」だと思います。

なので事業規模はあまり気にしないで、とにかく「製薬の優良企業で働きたい」と考えている人には向いているかもしれません。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人に会ったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。