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企業の実態を丸裸!~有価証券報告書を使った企業研究~ 「セブン&アイホールディングス編」

※本サイトでは、プロモーションが含まれている場合があります。
小売業界
2018年10月30日
おでん

はじめに

この記事では「就活生=投資家」「就職=自分という資本を企業に投資する」と定義した上で、就活生に人気がありそうな上場企業を「有価証券報告書」という上場企業なら毎年提出しなければならない成績表に書かれている「数字」という客観的事実のみで見てみようとするものです。

なのでここに書かれていることは、あくまで企業に対する直感を補足するものないしは裏付けるものとして捉え、就活に役立ててもらいたいと思っています。

では就活人気企業として、セブン&アイホールディングス(以下:セブン&アイ)を取り上げます。

目次

  1. どんな仕事の種類があるのか
  2. どこの国で仕事をしているのか
  3. 会社の安定性を測る指標
  4. 会社の成長性を測る指標
  5. 投資家目線で見た魅力的な会社とそうでもない会社の違い
  6. まとめ
  7. ES・面接での想定訴求ポイント

セブン&アイはいったいどんな商売をしているのでしょうか?

最新の有価証券報告書から抜粋すると、7つの事業に分けることが出来ます。

「国内コンビニエンスストア」(以下:国内コンビニ)
セブンイレブン・ジャパン、タワーベーカリーなど
「海外コンビニエンスストア」(以下:海外コンビニ)
セブンイレブン
「スーパーストア」
イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ライフフーズ、天満屋ストアなど
「百貨店」
そごう・西武、池袋ショッピングパークなど
「金融関連」
セブン銀行など
「専門店」
赤ちゃん本舗、バーニーズジャパン、オッシュマンズ・ジャパン、ロフト、ニッセンHD、シャディ、タワーレコード、Francfrancなど
「その他」
セブン&アイ・アセットマネジメント、セブン&アイ出版、八ヶ岳高原ロッジ、ぴあなど
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①どんな仕事の種類があるのか?

各セグメントの直近3年間の平均数値は以下になります。

表7

※研究開発費は計上されていないので今回は省略します。

売上 順位

  • 1位:スーパーストア
  • 2位:海外コンビニ
  • 3位:国内コンビニ
  • 4位:百貨店
  • 5位:専門店
  • 6位:金融関連
  • 7位:その他

セブン&アイと聞くと「コンビニ」のイメージが強いですが、売上に関しては「スーパーストア」が1位で2位が「海外コンビニ」ということになっており、「国内コンビニ」の売上は上位2事業の約半分程度となっていることがわかります。

利益 順位

  • 1位:国内コンビニ
  • 2位:海外コンビニ
  • 3位:金融関連
  • 4位:スーパーストア
  • 5位:その他
  • 6位:百貨店
  • 7位:専門店

ただ営業利益となると「国内コンビニ」が圧倒的な強さを発揮します。

逆に「スーパーストア」は存在感がかなり薄くなっており、「金融関連」が台頭してきています。

設備投資額 順位(少ない順)

  • 1位:その他
  • 2位:専門店
  • 3位:百貨店
  • 4位:金融関連
  • 5位:スーパーストア
  • 6位:海外コンビニ
  • 7位:国内コンビニ

「国内コンビニ」「海外コンビニ」「スーパーストア」の3事業で設備投資費の大半を使っているようです。

順位をまとめると以下のようになります。

※各数値の偏差値を基準として順位を算出しています。偏差値の平均は50です。

※下位項目を赤字で示しています。

表4

※研究開発費は計上されていないので、今回は省略します。

セグメント 総合順位

  • 1位:スーパーストア(偏差値:65)
  • 2位:国内コンビニ(偏差値:59)
  • 3位:海外コンビニ(偏差値:58)
  • 4位:百貨店(偏差値:49)
  • 5位:専門店(偏差値:42)
  • 6位:金融関連(偏差値:40)
  • 7位:その他(偏差値:37)

営業利益貢献度では存在感が薄くなっていた「スーパーストア」ですが、売上貢献度の大きさと設備投資費の多寡を含めると総合的には一番効率が良い事業のようです。

そして「国内コンビニ」は僅差で「海外コンビニ」に勝っています。

設備投資費はかかるもののそれに見合う営業利益を稼げていることがポイントだと思います。

次に従業員1人あたりの売上と利益について見てみましょう。

表3

※売上/従業員数・利益/従業員数の単位は百万円

売上/従業員数 順位

  • 1位:百貨店
  • 2位:スーパーストア
  • 3位:海外コンビニ
  • 4位:金融関連
  • 5位:専門店
  • 6位:国内コンビニ
  • 7位:その他

ここまでであまり目立ってこなかった「百貨店」が他の事業より頭一つ抜けた形で1位となっています。

2位~4位まではだいたい横並びですが、全体を俯瞰すると「スーパーストア」と「その他」以外の事業はそこまで極端な差がついていないようにも見えます。

利益/従業員数 順位

  • 1位:金融関連
  • 2位:国内コンビニ
  • 3位:海外コンビニ
  • 4位:その他
  • 5位:スーパーストア
  • 6位:百貨店
  • 7位:専門店

個人技での売上では全体的にあまり差がついていませんでしたが、営業利益となるとその差は歴然としており、「金融関連」と「国内コンビニ」が2大巨頭として君臨していることがわかります。

そして意外と「その他」も個人技ベースでは稼いでいる方のようです。

1人あたり利益/売上 順位

  • 1位:金融関連
  • 2位:国内コンビニ
  • 3位:その他
  • 4位:海外コンビニ
  • 5位:スーパーストア
  • 6位:百貨店
  • 7位:専門店

営業利益率では「金融関連」「国内コンビニ」「その他」のスリートップとなっており、他の事業と比べた時の圧倒的な効率性がわかります。

順位をまとめると以下のようになります。

※各数値の偏差値を基準として順位を算出しています。偏差値の平均は50です。

※下位項目を赤字で示しています。

表6

従業員1人あたり 総合順位

  • 1位:金融関連(偏差値:69)
  • 2位:国内コンビニ(偏差値:60)
  • 3位:百貨店(偏差値:49)
  • 4位:海外コンビニ(偏差値:47)
  • 5位:スーパーストア(偏差値:44)
  • 6位:その他(偏差値:41)
  • 7位:専門店(偏差値:39)

(参考)

セグメント 総合順位

  • 1位:スーパーストア(偏差値:65)
  • 2位:国内コンビニ(偏差値:59)
  • 3位:海外コンビニ(偏差値:58)
  • 4位:百貨店(偏差値:49)
  • 5位:専門店(偏差値:42)
  • 6位:金融関連(偏差値:40)
  • 7位:その他(偏差値:37)

個人技では営業利益と営業利益率で圧倒的な強さを見せつけた「金融関連」が圧勝で1位となっており、「国内コンビニ」もかなりの強さを見せて2位となっています。

「百貨店」は目立ちはしないものの安定した印象で、「スーパーストア」と「海外コンビニ」は投下人員数の多さで個人技の弱さを補っていることがわかります。

「専門店」に関してはもはやあってもなくてもそこまで会社全体に影響は無さそうなように思えます。

②どこの国で仕事をしているのか

表1

地域別 順位

  • 1位:日本
  • 2位:北米
  • 3位:その他

売上の大半は日本なのでドメスティックな企業であることに違いはないのですが、けっこう海外でも売上を挙げていることがわかります。

③会社の安定性を測る指標

  • A:流動比率&自己資本比率
  • B:CF計算書

A:流動比率&自己資本比率

表12

この3年間でほとんど変わっていないようです。

可もなく不可もなく、といった感じです。

B:CF計算書

表5

※単位は百万円

純利益と比べると膨大な営業CFを稼いでおり、投資CFも財務CFも問題なさそうなので、非常に堅実な経営をしているのではないかと思います。

④会社の成長性を測る指標

表9

※単位は百万円

一概に成長をしているとは言い難い数値が並びます。

どちらかというと業績は頭打ちなのではないかという印象を受けます。

⑤投資家目線で見た魅力的な会社とそうでもない会社の違い

  • A:ROE(自己資本利益率)
  • B:FCF(フリーキャッシュフロー)
  • C:不況時の売上・純利益・営業CFの推移

A:ROE(自己資本利益率)

ROE、つまり「投資家から預かったお金を使っていかに効率良く利益を出しているか」という観点で企業をチェックする場合、全世界的に見て

  • 5%未満=最悪
  • 5%=微妙に悪い
  • 10%=普通
  • 15%=まあまあ良い
  • 20%以上=素晴らしい

となります。

ではROEの直近3年間の推移を見てみましょう。

表2

総じてお金の使い方はどちらかと言うと下手な部類に入るようです。

B:FCF(フリーキャッシュフロー)

表8

※営業CF・実質設備投資・ネットFCFの単位は百万円

毎年1,000億円以上の自由資金を残せていますが、設備投資費もそれなりに使っているようです。

ただ使い過ぎてはいないようなので、その点は良いと思います。

C:不況時の売上・純利益・営業CFの推移

表11

※単位は百万円

深刻なダメージにはなっていないもののわかりやすく業績が下降していっていることから、景気の影響は割とストレートに受けるようです。

⑥まとめ

これまでセブン&アイを数字で見てきたことをまとめると、

  • ・稼ぎ頭は「国内コンビニ」で、質・量ともに安定している
  • ・総合的に一番効率が良い事業は「スーパーストア」
  • ・個人技では「金融関連」が最強
  • ・「海外コンビニ」は「国内コンビニ」と比べて取り立てて強くはないが、安定している
  • ・基本的にはドメスティックな企業だが、海外展開も進んでいる
  • ・財務基盤は普通
  • ・経営は堅実
  • ・成長軌道にはなく、どちらかというと業績の頭打ち感がある
  • ・お金の使い方は下手な部類に入る
  • ・景気の影響はストレートに受ける(ただしあまり深刻なダメージは受けなさそう)

ということになるでしょう。

⑦ES・面接での想定訴求ポイント

ここでは有価証券報告書で調べてきたことを実際のESや面接でどうやって活かしていけるか、という点に絞って想定される訴求ポイントを挙げます。

「金融関連」を攻める

これまで数字で色々と見てきた結果、世間一般のイメージ通りに「国内コンビニ」が稼ぎ頭で「スーパーストア」が効率が良い事業であることが確認出来ました。

そういう意味では会社側の需要も上記2事業にあることが想定されるので、順当に行けばこの2事業に携わりたいことをアピールするのが良いのではないかと思われます。

しかしこの2事業に携わりたいことをアピールする競合就活生が多くいることは容易に想像がつくので、差別化という面ではあまり得策ではないように思えます。

なので「会社側の需要へのマッチ」と「競合就活生との差別化」という意味では、数ある事業の中でも別格の個人技の強さを誇る「金融関連」に携わりたいことをアピールするのが良いのではないかと思います。

ここからは憶測なのですが、この「金融関連」を事業として行っている理由はセブン&アイが「日用品も買える郵便局」みたいなポジションを確立しようとしているからなのではないかと思います。

その流れで行くと現実的に可能かどうかはわかりませんが、そのうち「保険」や「投資信託」もセブン&アイの店頭で販売するのかもしれません。

もしそういったことに興味がある人がいれば、面接官や採用担当者などに質問してみると、この会社の何がしかの展望が見えてくるのではないかと思います。

有価証券報告書で調べたことから使えそうなところを捻り出すとしたら、上記のようになると思います。

有価証券報告書だけでなく、企業の「IR情報」という投資家に向けて公表している情報には業績や今後の方針などをわかりやすくパワーポイントでまとめたものもあるので、興味を持たれた方はそちらも見てみると良いかもしれません。