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大手ソーシャルゲーム会社の違いを数字で比較

※本サイトでは、プロモーションが含まれている場合があります。
ゲーム業界
2018年02月21日
トランプ

はじめに

ここでは日本の大手ソーシャルゲーム会社の

  • ・ミクシィ
  • ・DeNA
  • ・グリー
  • ・ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下:ガンホー)
  • ・コロプラ

の5社を有価証券報告書に記載されている事柄から比較することで、イメージだけでなくその企業ひいてはその業界の「事実」の確認が出来ればと思っています。

目次

  1. 主要ゲームタイトル・事業の比較
  2. 事業規模の比較
  3. 安全性の比較
  4. 利益性の比較
  5. コスト&研究開発費の比較
  6. 従業員1人あたりの売上&利益の比較
  7. 事業セグメントの比較
  8. まとめ
  9. 志望動機として使えそうな点
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主要ゲームタイトル・事業の比較

表15

事業規模の比較(単位:百万円)

表8

売上 順位

  • 1位:ミクシィ
  • 2位:DeNA
  • 3位:ガンホー
  • 4位:グリー
  • 5位:コロプラ

純利益 順位

  • 1位:ミクシィ
  • 2位:DeNA
  • 3位:ガンホー
  • 4位:グリー
  • 5位:コロプラ

売上と純利益の順位は変わらないですが金額を見るといずれもミクシィが頭一つ抜けているのがわかります。

そしてDeNAとガンホー、グリーとコロプラの間にも事業規模に隔たりがあることがわかります。

安全性の比較

表18

流動比率 順位

  • 1位:グリー
  • 2位:コロプラ
  • 3位:ガンホー
  • 4位:ミクシィ
  • 5位:DeNA

自己資本比率 順位

  • 1位:グリー
  • 2位:コロプラ
  • 3位:ガンホー
  • 4位:DeNA
  • 5位:ミクシィ

さきの事業規模と違い、安全性という観点では順位が逆転しています。

ただ全体的に各社ともお金を大量に持っており、かつ借金が少ないことがわかります。

財務的にはどこもかなり優良です。

利益性の比較

表19

純利益率 順位

  • 1位:ガンホー
  • 2位:ミクシィ
  • 3位:コロプラ
  • 4位:DeNA
  • 5位:グリー

グリーを除いて概ね10%以上の高い純利益率を叩き出していることがわかります。

というよりもグリーの純利益率が異常に低いと言った方が正確かもしれません。

ネットFCF 順位

  • 1位:ミクシィ
  • 2位:ガンホー
  • 3位:コロプラ
  • 4位:グリー
  • 5位:DeNA

売上と純利益の項目では上位にランクインしていたDeNAがこの項目では最下位になっています。

ミクシィはここでも順当に1位ですが、ガンホーがランクアップしています。

実質設備投資/営業CF 順位

  • 1位:ガンホー
  • 2位:ミクシィ
  • 3位:コロプラ
  • 4位:グリー
  • 5位:DeNA

DeNAがネットFCFで最下位だった理由は「お金の使い過ぎ」のようです。

そしてミクシィは設備投資に全然お金を使わずに済んでいるためにネットFCFの順位でも1位になれているようです。

そしてガンホーの実質設備投資/営業CFがプラスなのは子会社の売却によって投資CFが大幅なプラスを計上しているためです。

ただこの子会社の売却によるプラスを差っ引いても、設備投資に全然お金を使わずに済んでいるようです。

在庫回転率 順位

  • 1位:ガンホー
  • 2位:ミクシィ
  • 3位:コロプラ
  • 4位:DeNA・グリー

在庫回転率とは「商品の仕入れから販売に至るまでの速さを示す指標」で、1年間に商品が何回転したかを表しています。

計算式は「売上高÷たな卸資産」です。

例えばガンホーの2,279回は「商品を仕入れる→その商品が完売する」というサイクルが1年間で2,279回転したということを意味しています。

単純に解釈するとこの数字は高ければ高いほど商品がよく売れるということ、逆に低ければ低いほど商品があまり売れていないということになります。

この分析手法は例えば食品などの「販売出来るタイムリミットがあるもの」を扱う会社間を比較するのに特に役に立ちます。

そして今回の場合なのですが、各社が扱っている商品はオンライン上の「ゲーム」や「アプリ」なので賞味期限などの「タイムリミット」がありません。

そして各社の数字にバラツキがひどく、中には在庫回転率が「ゼロ」という会社もあります。

これはなぜかというと、そもそもその会社がオンライン上の「ゲーム」や「アプリ」を開発・販売しているため「在庫の仕入れということを行っていない」からです。

普通のゲーム会社ならば「ゲームの開発→ソフトの製造→在庫の仕入れ→販売」という流れの中で在庫が発生するのですが、今回のソーシャルゲーム会社の場合は「ゲームの開発→販売」という流れなので在庫が発生しません。

つまりは計算の分母が「ゼロ」の場合は在庫回転率も「ゼロ」になるということです。

コスト&研究開発費の比較

表7

販管費/売上 順位

  • 1位:コロプラ
  • 2位:ガンホー
  • 3位:DeNA
  • 4位:ミクシィ
  • 5位:グリー

販管費とは正式には「販売費及び一般管理費」と言い、ざっくり言うと人件費・広告宣伝費・運送費などの商品を販売するのにかかった費用のことです。

つまりはこの販管費は売上に対する割合が低ければ低いほど商品を売ったあとに手元に残るお金の額が多いということになります。

実際の数値を見るとDeNA・ミクシィ・グリーの3社は商品を販売したら稼いだ売上の約半分しか手元にお金が残らないということになっていますが、コロプラとガンホーは稼いだ売上の80%以上が手元に残るということになっています。

研究開発費/売上 順位

  • 1位:DeNA
  • 2位:ミクシィ
  • 3位:ガンホー
  • 4位:グリー
  • 5位:コロプラ

そもそも研究開発をしていない会社はこの項目が「ゼロ」ということになっていますが、研究開発をしている会社でも研究開発に全然お金を使っていないことがわかります。

従業員1人あたりの売上&利益の比較

表12

売上/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:ミクシィ
  • 2位:ガンホー
  • 3位:コロプラ
  • 4位:DeNA
  • 5位:グリー

数値を見るとミクシィがここでも頭一つ抜け出てており、従業員1人あたり年間で3億6,500万円を売上を会社にもたらしていることになっています。

最下位のグリーが1人あたり年間で5,100万円の売上なので、単純に考えるとミクシィの従業員はグリーの従業員の約7倍の売上を会社にもたらしているということになります。

営業利益/従業員(単位:百万円) 順位

  • 1位:ミクシィ
  • 2位:ガンホー
  • 3位:コロプラ
  • 4位:DeNA
  • 5位:グリー

営業利益とはざっくり言うと「本業のみで稼ぎ出した利益」になります。

純利益は投資先の会社からの配当の受け取り、こちらからの配当支払い、実際にはキャッシュインやキャッシュアウトをしていないが帳簿上は計上しなければならない特別利益や特別損失など「本業以外での利益や損失」を合算したものになります。

要は純利益がマイナスでも営業利益がプラスなのであれば「本業では利益を出せている」ということです。

今回の場合はどこも本業では利益を出せているようです。

ただここでもトップのミクシィの従業員は1人あたり年間1億7,500万円の営業利益を会社にもたらしているのに対して、最下位のグリーは従業員1人あたり900万円の営業利益なので貢献度が文字通り桁違いだということがわかります。

ただ一番気になるのが売上と純利益で共に2位にランクインしていたDeNAがこの項目では共に下位にランクインしていることです。

売上・純利益の規模が同程度のガンホーと比べてみると

売上

ガンホー

従業員1人あたり売上:1億5,200万円

DeNA

従業員1人あたり売上:6,600万円

営業利益

ガンホー

従業員1人あたり営業利益:7,300万円

DeNA

従業員1人あたり営業利益:1,200万円

となり、その差は一目瞭然です。

1人あたり営業利益/売上 順位

  • 1位:ミクシィ・ガンホー
  • 2位:コロプラ
  • 3位:グリー
  • 4位:DeNA

従業員1人あたりの利益効率という観点でもDeNAはグリーと共に下位にランクインしています。

ただ「上位3社の利益効率が良すぎる」ということもあるとは思うので、DeNAとグリーがダメな会社という訳ではなく、あくまでもソーシャルゲーム大手各社の中では従業員1人あたりの利益効率が良くない方という認識が適当かと思います。

事業セグメントの比較

※ミクシィとDeNA以外の3社はゲーム事業のみの単一セグメントのため、コメントを省略します。

ミクシィ

表10
表23
表11


エンターテイメント:モンストなどのソーシャルゲーム
メディアプラットフォーム:mixiなど

順当にエンターテイメントで稼いでいますが、意外とmixiなどのメディアプラットフォームでも利益は出ているようです。

DeNA

表22
表6
表25


ゲーム:モバゲーなど
EC:DeNAトラベル、モバオクなど
スポーツ事業:横浜DeNAベイスターズ、横浜スタジアムなど
新規事業・その他:エブリスタ、DeNAライフサイエンス、ロボットタクシーなど

業種は多様ですがゲームとEC以外は利益がほとんど出ていないといった状態です。

ベイスターズはあまり儲からないようです。

グリー

表1
表16
表2

ガンホー

表17
表9
表20

コロプラ

表5
表21
表13

まとめ

これまで見てきた5社の順位を「利益性」「コスト」「安全性」の括りで下記します。

(総合点と平均が低ければ低いほどこの項目について「優れている」ということになります。)

表24

利益性 総合順位

  • 1位:ミクシィ
  • 2位:ガンホー
  • 3位:コロプラ
  • 4位:DeNA
  • 5位:グリー
表3

コスト 総合順位

  • 1位:ガンホー
  • 2位:ミクシィ
  • 3位:DeNA・コロプラ
  • 4位:グリー
表4

安全性 総合順位

  • 1位:グリー
  • 2位:コロプラ
  • 3位:ガンホー
  • 4位:DeNA・ミクシィ
表14

総合順位

  • 1位:ミクシィ・ガンホー
  • 2位:コロプラ
  • 3位:DeNA
  • 4位:グリー

各社の特徴をまとめると以下のようになります。

ミクシィ

財務基盤こそ5社の中では見劣りするが、事業規模や従業員1人あたりの売上と営業利益などの利益性については全般的に他社の追随を許さない圧倒的な数値を叩き出している。

DeNA

事業規模は国内2位だがそれ以外の利益効率・コスト・財務基盤は国内下位クラスで、総合的にはグリーと同程度。

グリー

財務基盤は一番しっかりしているが、それ以外の項目はほとんど良いところがなく、特に利益性において最下位クラス。

ガンホー

事業規模こそ国内3位で1位のミクシィの約半分程度だが、他の項目では軒並み優秀。

事業規模を無視すれば総合的な会社のランクはミクシィと互角。

コロプラ

特別秀でたところはないがどの項目でもある程度しっかりした数字を作っている。

そういう意味でも5社の中で中間に位置している。

志望動機として使えそうな点

ミクシィ

事業規模を含めると圧倒的に国内トップ企業である点

「最大手で働きたい人」や「勢いがありそうな企業で働きたい人」には向いているかもしれません。

DeNA

業種が多岐にわたる点

「ゲームだけでなく、色々な事業にも関わってみたい」という人には向いているかもしれません。

特にこの会社はゲーム事業で儲かった分を新規事業に投下していっているようなので、そういったことにチャレンジしてみたい人にとっては良いのではないかと思います。

グリー

財務基盤がしっかりしている点

日本のゲーム市場を席捲していた以前ほどの勢いは今はないこの会社ですが、なんだかんだでまだ利益は出しており(2017年6月期は121億円の純利益)、かつ財務基盤は5社中で最もしっかりしています。

つまりは5社の中では見劣りしますが倒産する心配はほぼほぼないということです。

なので「バリバリと派手に働くよりも、地味だが健全な会社で働きたい」という人には向いているかもしれません。

ガンホー

事業規模を無視すれば会社の経営状態は国内トップと言っても過言ではない点

「ミクシィは嫌いだが、それと同程度の優良ゲーム会社に就職したい」という人には向いているかもしれません。

コロプラ

あらゆる意味で「中間」な点

特に優れているところもない代わりに、特に欠点もないので「バリバリとは働きたくない。

けどもある程度優良である程度安定した会社に就職したい」という人には向いているかもしれません。

これまでまとめてきた事項は数字を元にした会社の実態ではありますが、より正確に実態を掴むためにも説明会で質問してみたり実際に社員の人にあったりして、調べた情報とズレていないかどうかを確認してみた上で、ESや面接で使用することをおすすめします。