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企業の実態を丸裸!~有価証券報告書を使った企業研究~ 「旭化成編」

※本サイトでは、プロモーションが含まれている場合があります。
化学業界
2018年03月16日
青空

はじめに

この記事では「就活生=投資家」「就職=自分という資本を企業に投資する」と定義した上で、いわゆる就活生に人気の上場企業を「有価証券報告書」という上場企業なら毎年提出しなければならない成績表に書かれている「数字」という客観的事実のみで見てみようとするものです。

なのでここに書かれていることは、あくまで企業に対する直感を補足するものないしは裏付けるものとして捉え、就活に役立ててもらいたいと思っています。

では就活人気企業として、旭化成を取り上げます。

目次

  1. どんな仕事の種類があるのか
  2. どこの国で仕事をしているのか
  3. 会社の安定性を測る指標
  4. 会社の成長性を測る指標
  5. 投資家目線で見た魅力的な会社とそうでもない会社の違い
  6. まとめ
  7. ES・面接での想定訴求ポイント

旭化成はいったいどんな商売をしているのでしょうか?

最新の有価証券報告書から抜粋すると4つのセグメントに分けることが出来ます。

マテリアル

繊維事業
化合繊及び不織布の製造・販売
ケミカル事業
各種石油化学製品、汎用樹脂、合成ゴム、機能樹脂、樹脂加工品、家庭用消費財、機能膜、機能化学品、化薬、電子材料等の製造・販売

住宅

住宅事業
へーベルハウス等の請負住宅の受注・施工、分譲住宅の開発・販売、リフォーム、不動産流通、住宅ローンの貸付
建材事業
軽量気泡コンクリート「へーベル」・フェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」等の製造・販売

ヘルスケア

医薬事業
医療用医薬品、診断薬品酵素、診断薬の製造・販売
医療事業
人口腎臓、血液浄化器、白血球除去フィルター、ウイルス除去フィルター等の製造・販売、救命救急医療領域における各種医療機器並びにソフトウェアの製造・販売

その他

電気供給等の業務、各種産業設備の計画・設計・施工等の建設業務及び保全業務、人材派遣・紹介等の業務

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どんな仕事の種類があるのか

各セグメントの直近3年間の平均数値は以下になります。

表5

売上 順位

  • 1位:マテリアル
  • 2位:住宅
  • 3位:ヘルスケア
  • 4位:その他

利益 順位

  • 1位:マテリアル
  • 2位:住宅
  • 3位:ヘルスケア
  • 4位:その他

売上・利益ともに順位は変わりません。

いずれにせよマテリアルが全体の約半分を占めているようです。

研究開発費 順位(少ない順)

  • 1位:その他
  • 2位:住宅
  • 3位:ヘルスケア
  • 4位:マテリアル

設備投資額 順位(少ない順)

  • 1位:その他
  • 2位:住宅
  • 3位:ヘルスケア
  • 4位:マテリアル

その他のセグメントは研究開発費も設備投資費もほとんどかかっていないようですが、住宅もあまりお金がかかっていないことがわかります。

これらの2項目においてはマテリアルとヘルスケアで全体の中のほとんど全てのコストを占めているようです。

順位をまとめると以下のようになります。

表6

セグメント 総合順位

  • 1位:住宅
  • 2位:マテリアル・その他
  • 3位:ヘルスケア

売上や利益の構成比率が高かったマテリアルでしたが、コスト等を鑑みた総合的な事業のクオリティは住宅が高いようです。

そして意外とヘルスケアが順位を落としています。

次に従業員1人あたりの売上と利益について見てみましょう。

表4

※売上/従業員数・利益/従業員数の単位は百万円

売上/従業員数 順位

  • 1位:住宅
  • 2位:マテリアル
  • 3位:ヘルスケア
  • 4位:その他

売上だと住宅とマテリアルが2強といった感じです。

利益/従業員数 順位

  • 1位:住宅
  • 2位:マテリアル
  • 3位:ヘルスケア
  • 4位:その他

売上では住宅とマテリアルの2強でしたが、利益となると住宅が2位以下に圧倒的な大差をつけての1位となっています。

1人あたり利益/売上 順位

  • 1位:その他
  • 2位:ヘルスケア
  • 3位:住宅
  • 4位:マテリアル

ただし利益効率となるとまた順位は変動し、その他のセグメントが圧倒的に利益効率が良いことがわかります。

ここでは住宅は全社としては平均的な利益効率で、マテリアルの利益効率は全社としては悪い部類に入るようです。

順位をまとめると以下のようになります。

表3

従業員1人あたり 総合順位

  • 1位:住宅
  • 2位:マテリアル・ヘルスケア
  • 3位:その他

(参考)

セグメント 総合順位

  • 1位:住宅
  • 2位:マテリアル・その他
  • 3位:ヘルスケア

従業員1人あたりの総合順位はぶっちぎりで住宅が1位でマテリアルとヘルスケアがそれに続き、その他が最下位ですが2位と3位の差はそこまであるように見えません。

セグメントの総合順位と照らし合わせるとわかるのは何にせよこの会社にとっては住宅が飛びぬけてクオリティの高い事業で、それ以外の3つの事業のクオリティはどっこいどっこいだということです。

どこの国で仕事をしているのか

表2

地域別 順位

  • 1位:日本
  • 2位:その他
  • 3位:中国

見ての通りの割とドメスティックな売上構成です。

会社の安定性を測る指標

  • A:流動比率&自己資本比率
  • B:CF計算書

A:流動比率&自己資本比率

表11

流動比率は概ね100%を超えているので短期の資金繰りは問題なさそうです。

自己資本比率も50%程度で安定していることから財務面は割と健全な会社と言えるでしょう。

B:CF計算書

表9

※単位は百万円

営業CFは毎年純利益を上回っているので見た目よりも儲けているようです。

投資CF・財務CFも2016年度を除いて堅実なように見えます。

会社の成長性を測る指標

表12

※単位は百万円

純利益はデコボコしていますが、売上高が徐々に減少しているのが気になります。

いずれにせよ成長軌道に乗っているとは言い難いです。

投資家目線で見た魅力的な会社とそうでもない会社の違い

  • A:ROE(自己資本利益率)
  • B:FCF(フリーキャッシュフロー)
  • C:不況時の売上・純利益・営業CFの推移

A:ROE(自己資本利益率)

ROE、つまり「投資家から預かったお金を使っていかに効率良く利益を出しているか」という観点で企業をチェックする場合、全世界的に見て

  • 5%未満=最悪
  • 5%=微妙に悪い
  • 10%=普通
  • 15%=まあまあ良い
  • 20%以上=素晴らしい

となります。

ではROEの直近3年間の推移を見てみましょう。

表7

だいたい毎年10%弱なのでお金の使い方は普通のようです。

B:FCF(フリーキャッシュフロー)

表8

※営業CF・実質設備投資・ネットFCFの単位は百万円

ネットFCFは辛うじて平均でプラスを維持していますが、稼いだ営業CFのうちほとんど全てを設備投資に回さなければいけない状況となっていることから会社が自由に使えるお金はあまり無いようです。

C:不況時の売上・純利益・営業CFの推移

表1

※単位は百万円

純利益や営業CFはデコボコですが一貫して売上高が減少しています。

さきほどのセグメントの項目でも確認したとおり、この会社のメインは住宅事業なので会社としては割と景気に左右される傾向にはあるようです。

まとめ

これまで旭化成を数字で見てきたことをまとめると、

  • ・メイン事業は住宅事業
  • ・2番手にマテリアル事業
  • ・財務は健全
  • ・設備投資には毎年かなりのお金を使っている
  • ・成長軌道には乗っていない
  • ・業績は景気の影響を受けやすい

ということになるでしょう。

ES・面接での想定訴求ポイント

ここでは有価証券報告書で調べてきたことを実際のESや面接でどうやって活かしていけるか、という点に絞って想定される訴求ポイントを挙げます。

メイン事業の住宅事業を攻める

旭化成の一般的なイメージは「化学の会社」であながち間違いではないことはこれまで見てきた数値からも確認出来ます。

しかし数値上ではこの会社にとっての「コストがかからず、それでいて儲かる」メインの事業は「化学の会社」のイメージに該当するマテリアル事業ではなく、住宅事業ということになっています。

「会社側の需要へのマッチング」「競合就活生との差別化」といういつもの2パターンを当てはめると、就活生のみなさんが訴求するべきポイントは「住宅事業に携わりたい」という点だと考えます。

そういう意味では住宅メーカーに就職したいと思っている人にとってはこの会社は意外と穴場になりうるのかもしれませんが、普通の住宅メーカーと違いこの会社はマテリアル事業で得た化学技術を使って付加価値のある住宅建材を自ら生み出せることが特色であり、かつ強みであるとも思います。

なので志望動機を書くとするならば、

「貴社は普通の住宅メーカーとは違い、化学技術を使った付加価値のある住宅を製造していると考えています。私はそういったものをお客さんに販売していきたいと考えているので貴社を志望しました。」

といった感じになると思います。

有価証券報告書で調べたことから使えそうなところを捻り出すとしたら、上記のようになると思います。

有価証券報告書だけでなく、企業の「IR情報」という投資家に向けて公表している情報には業績や今後の方針などをわかりやすくパワーポイントでまとめたものもあるので、興味を持たれた方はそちらも見てみると良いかもしれません。