企業の実態を丸裸!~有価証券報告書を使った企業研究~ 「伊藤園編」

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食品業界
2018年06月29日
お茶

はじめに

この記事では「就活生=投資家」「就職=自分という資本を企業に投資する」と定義した上で、就活生に人気がありそうな上場企業を「有価証券報告書」という上場企業なら毎年提出しなければならない成績表に書かれている「数字」という客観的事実のみで見てみようとするものです。

なのでここに書かれていることは、あくまで企業に対する直感を補足するものないしは裏付けるものとして捉え、就活に役立ててもらいたいと思っています。

では就活人気企業として、伊藤園を取り上げます。

目次

  1. どんな仕事の種類があるのか
  2. どこの国で仕事をしているのか
  3. 会社の安定性を測る指標
  4. 会社の成長性を測る指標
  5. 投資家目線で見た魅力的な会社とそうでもない会社の違い
  6. まとめ
  7. ES・面接での想定訴求ポイント

伊藤園はいったいどんな商売をしているのでしょうか?

最新の有価証券報告書から抜粋すると、3つの事業に分けることが出来ます。

リーフ・ドリンク関連
緑茶・麦茶・ウーロン茶等の製造・販売、乳類の処理加工販売、発酵乳等の製造販売など
飲食関連
タリーズコーヒージャパンの経営・フランチャイズ展開
その他
サプリメントの製造及び販売
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どんな仕事の種類があるのか

各セグメントの直近3年間の平均数値は以下になります。

表4

売上 順位

  • 1位:リーフ・ドリンク関連
  • 2位:飲食関連
  • 3位:その他

利益 順位

  • 1位:リーフ・ドリンク関連
  • 2位:飲食関連
  • 3位:その他

研究開発費 順位(少ない順)

  • 1位:飲食関連・その他
  • 2位:リーフ・ドリンク関連

設備投資額 順位(少ない順)

  • 1位:その他
  • 2位:飲食関連
  • 3位:リーフ・ドリンク関連

順位をまとめると以下のようになります。

表8

セグメント 総合順位

  • 1位:リーフ・ドリンク関連、飲食関連
  • 2位:その他

特に何か珍しいことはなく、売上・利益ともに「リーフ・ドリンク関連」が稼いでいるようです。

ただ「リーフ・ドリンク関連」は研究開発費と設備投資に関してかなりの額を投下しているので総合的には「飲食関連」と同程度の事業のクオリティということになっています。

次に従業員1人あたりの売上と利益について見てみましょう。

表2

※売上/従業員数・利益/従業員数の単位は百万円

売上/従業員数 順位

  • 1位:リーフ・ドリンク関連
  • 2位:飲食関連
  • 3位:その他

売上規模は圧倒的に大きかった「リーフ・ドリンク関連」ですが、個人技となると2位とそこまでの差はついてはいません。

利益/従業員数 順位

  • 1位:飲食関連
  • 2位:その他
  • 3位:リーフ・ドリンク関連

そして利益の個人技となると「飲食関連」と「その他」の強さが際立ちます。

逆に「リーフ・ドリンク関連」の利益における個人技は他の2事業と比べてかなり劣ります。

1人あたり利益/売上 順位

  • 1位:その他
  • 2位:飲食関連
  • 3位:リーフ・ドリンク関連

利益率でも「リーフ・ドリンク関連」はあまり効率が良くないことが確認出来ます。

順位をまとめると以下のようになります。

表5

従業員1人あたり 総合順位

  • 1位:飲食関連
  • 2位:その他
  • 3位:リーフ・ドリンク関連

(参考)

セグメント 総合順位

  • 1位:リーフ・ドリンク関連、飲食関連
  • 2位:その他

売上と利益における実際の貢献度は「リーフ・ドリンク関連」が圧倒的だけれども、チーム力でも個人技でも総合的にクオリティが高いのは「飲食関連」ということになるようです。

どこの国で仕事をしているのか

表7

地域別 順位

  • 1位:日本
  • 2位:海外

特にサプライズはなく、思いっきりドメスティックな企業のようです。

会社の安定性を測る指標

  • A:流動比率&自己資本比率
  • B:CF計算書

A:流動比率&自己資本比率

表3

自己資本比率は手放しで「良い」とは言えないながらもマトモであり、流動比率は高水準を維持しています。

なので財務は健全と言えそうです。

B:CF計算書

表10

※単位は百万円

けっこうキレイなCF計算書です。

投資CFは営業CFより大幅に低く抑えてあり、なおかつ財務CFで安定的に返すものは返していることから、経営は問題なく堅実と言えそうです。

会社の成長性を測る指標

表1

※単位は百万円

直近3年間では各数値を徐々に伸ばしていっているので、成長軌道にあるようです。

ただ2016年→2017年にかけて純利益が大幅に増加しているのにも関わらず営業CFは逆に減っているのは少し気にかかります。

投資家目線で見た魅力的な会社とそうでもない会社の違い

  • A:ROE(自己資本利益率)
  • B:FCF(フリーキャッシュフロー)
  • C:不況時の売上・純利益・営業CFの推移

A:ROE(自己資本利益率)

ROE、つまり「投資家から預かったお金を使っていかに効率良く利益を出しているか」という観点で企業をチェックする場合、全世界的に見て

  • 5%未満=最悪
  • 5%=微妙に悪い
  • 10%=普通
  • 15%=まあまあ良い
  • 20%以上=素晴らしい

となります。

ではROEの直近3年間の推移を見てみましょう。

表6

レンジとしては普通~微妙に悪いの間くらいなので、お金の使い方はそこまで上手くないようです。

ただ近年では年を経るごとにお金の使い方が上手くなってきているようです。

B:FCF(フリーキャッシュフロー)

表9

※営業CF・実質設備投資・ネットFCFの単位は百万円

2015年度のみ設備投資割合が大きいですが、概して営業CFのうちの約40%程度で設備投資を抑えているようなのでかなり余裕を持った経営が出来ていそうです。

C:不況時の売上・純利益・営業CFの推移

表11

※単位は百万円

純利益はデコボコしているので少なからず景気の影響は受けるようですが、売上と営業CFは影響を受けていないのでそこまで景気に左右されるような企業ではなさそうです。

まとめ

これまで伊藤園を数字で見てきたことをまとめると、

  • ・売上と利益の貢献度は「リーフ・ドリンク関連」が大きいが、事業としてのクオリティは「飲食関連」がトップ
  • ・海外進出はほとんどしていない
  • ・財務はけっこう健全
  • ・経営は堅実で余裕すら感じさせる
  • ・ここ数年間は成長軌道に乗っている
  • ・お金の使い方は上手くないが、少しずつ上手くなってきている
  • ・景気の影響はそこまでモロには受けない

ということになるでしょう。

ES・面接での想定訴求ポイント

ここでは有価証券報告書で調べてきたことを実際のESや面接でどうやって活かしていけるか、という点に絞って想定される訴求ポイントを挙げます。

海外売上比率の低さを攻める

この会社は海外売上比率の低さからかなりドメスティックな企業であることを確認してきました。

会社も「対処すべき課題」として「海外事業の強化」を挙げているので、そのニーズに合わせるためにも「海外で働きたいこと」をアピールするのが有効なのではないかと思います。

ちなみに有価証券報告書を読む限りでは現状の海外事業は全米のナチュラルフードマーケットや会員制スーパーマーケットで緑茶や緑茶のティーバックを販売しているようです。

なのでもし海外事業に配属されたら攻略すべき対象は「健康志向」や「高級志向」のスーパーマーケットの担当者になるので、出来れば「自分がなぜそういった取引相手に対して有効か」を示す経験や実績があれば尚良しかと思われます。

有価証券報告書で調べたことから使えそうなところを捻り出すとしたら、上記のようになると思います。

有価証券報告書だけでなく、企業の「IR情報」という投資家に向けて公表している情報には業績や今後の方針などをわかりやすくパワーポイントでまとめたものもあるので、興味を持たれた方はそちらも見てみると良いかもしれません。