もくじ
1.はじめに
志望動機の質問と答え方は就活の面接において最も差がつくパートである。そこで、今回は志望動機についてよく聞かれる質問を15個あげて、答え方を解説する。面接で全般的に聞かれる質問集と、自己PR・ガクチカに焦点をあてた質問集も公開しているので確認して欲しい。
2. 志望企業や志望業界ついての質問
(1) 現在受けている業界を教えて下さい。
この質問の目的は
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1. 他社選考状況から内定受諾の確度を図る
2. 他に選考に参加している企業から就活生の価値観を知る
の2点にある。業界2位や3位の企業であれば、内定受諾率を担保するためにその就活生が競合他社を受けているかどうかは内定を出す前に把握しておく必要がある。また、他に選考に参加している企業から就活生の就活の価値観(リスク志向なのか、安定志向なのか、国内志向か海外志向か等)を把握するとともに就活の軸の信ぴょう性を確認している。
この質問の答え方
就活の軸と矛盾しないように併願するのが妥当な業界を受けていると伝える。例えば、安定的な電力・ガス等のインフラ業界を受けているとしても、リスク志向なベンチャー企業の面接では言わない方が良い。また、他に受けている業界を何故受けようと思ったのかという質問も重ねて聞かれる可能性が高いため、必ず解答を用意しておくこと。
(2) 当社の属する◯◯業界を志望する理由を教えてください
複数の業界の中からなぜ自社が属する業界を志望するのかを尋ねる質問である。相手に伝わるように論理的な内容で、就活の軸と照合した時に矛盾の無い内容になっているかどうかを確認している。また、業界の志望理由とする根拠がきちんと調べられた事実にもとづいているかどうかも納得感を出す上での鍵となる。
この質問の答え方
選考に参加している業界の特徴を羅列し、面接中の企業が属する業界が最も自分にとって魅力となる理由を伝える。具体的には、『Aの業界はA’に魅力を感じ、Bの業界はB’に魅力を感じました。しかし、私はXが将来やりたいと考えております。そこで、B’の方がYという観点から魅力に感じ、貴社の業界を志望しました。』といった具合に答える。また、内容が『商品が好き、サービスが好き、昔からのあこがれ』といった、働き手として企業の売上・利益に貢献しない内容はNGとなるので注意。
(3)現在受けている企業を教えて下さい。
質問の目的や答えるべき内容は『質問(1) 現在受けている業界を教えて下さい。』と同様である。他に受けている企業同様、他に受けている企業は正直に全てを伝えない場合が良いこともある。『業界』の軸(人材、食品、商社等)でグルーピングした企業を受けていると伝えるパターンと、『特徴』の軸(ベンチャー気質、グローバルに強み等)でグルーピングした企業を受けていると伝えるパターンがある。業界2位以下の企業の選考に参加する場合は、『何故業界1位のA社ではなく、自社なのか?』という質問に答えやすくなるため、後者の方が納得感の高い内容で面接を終えられる。
(4) 当社を志望する理由を教えて下さい。
いわゆる『志望動機』である。言い換えると『なぜ他の企業ではダメなのか?』という質問の解答に相当する。一口に『志望動機を考える』と言う場合、ここまでの業界の志望理由や他社選考状況に対する説目位等も準備する必要があるため注意が必要である。相手に伝わる論理性があるかどうかと、きちんと企業理解を深めた上で選考に参加しており、内定を受諾する可能性が高いかどうか、早期に離職しないかどうかを見定めている。志望理由事態でNG判断を受けることは少なく、志望動機から派生する質問に対する解答の納得度で通過の是非が決まってくるので注意が必要である。
この質問の答え方
IRや新聞データベースを活用し、客観的事実に基づく論理性の高い内容にすることが必要である。また、就活の軸や業界の志望動機と矛盾する内容にすることもしてはいけない。『御社が~な企業だからです。』という結論からはじめ、そのように捉える根拠となる事実を羅列して説明する。(別ページ参照)『商品への愛』『憧れ』といった売上・利益創造に無関係な内容のみではNGである。『社風に魅力』『理念に共感』『人の良さに魅力』といった抽象度の高い内容だと理由として伝わらないため、具体的にどのような客観的事実に社風・理念・人の魅力を見出したのかを合わせて伝える必要がある。
(5) 業界1位のA社ではダメな理由を教えて下さい
業界2位以下の企業でよく質問される。内定受諾の確度を確認するとともに、十分な企業研究に基づく企業理解の上に選考に参加、入社の意志を伝えているかを確認している。解答の難易度は高いが、選考終盤になるに連れて質問される可能性はどんどん高まっていくので、業界2位以下の企業の面接を受ける際には必ず準備しておく必要がある。答え方は以下の記事にて説明している。
3.就活の軸についての質問
(6) 就活の軸は何ですか?【再掲】
就職活動においては、「そもそも就職するのか?どの業界にするか?どの企業にするか?どの職種にするか?」と、いくつかの判断を求められる。これらの判断において立ち返る軸が就活の軸である。答え方はES研究所で紹介している方法で就活の軸を再考し、『就活の軸は3つあります。1つ目は~、2つ目は~…』と回答すれば良い。
(7) なぜそれらを就活の軸としましたか?
就活の軸の決め方(就活の軸をどのように決めたのか)について問う質問である。論理的で多角的な思考を行った上で自身のキャリアについて考えられているかという地頭の良さと、就活生の価値観(どんな考え方や価値を重視するのか)を確かめるための質問である。『成長』や『社会貢献』など耳あたりの良い免罪符的なワードを多用して『こう言っとけば良い』的に場当たり的に就活の軸を話していると判断された場合、選考の通過確率は激減する。
この質問の答え方
将来の在りたい姿(to be)、もしくは将来やりたいこと(to do)を明示した上で、自身のキャリア形成に対して必要となる要素を羅列し、それらに対応させるように就活の軸を述べていく。具体的には『私は将来Xの様な人間になりたいorXがしたいと考えています。そのためには、A.Bの能力を身につけ、Cの視点を持てる人材になる必要があると考えます。Aを満たすために就活の軸1、Bを満たすために就活の軸2,Cを満たすために就活の軸3を設定いたしました。』という具合である。
4. 職種・キャリアプランについての質問
(9) 当社で志望する職種を教えて下さい。
具体的な働くイメージが持てているかどうかを確認する質問。職種とは、営業(法人・リテール)や生産管理、商品開発、商品企画、マーケティング、人事等、企業内における役割分担のことである。『企業に入ることが目的』ではなく、『企業に入って役割をはたすことで自身の成長と事業への貢献を果たすこと』まで見据えていれば即答できるはずである。
この質問の答え方
端的に希望する職種を解答すればよいが、文系の場合は単純に募集母数が最も多いため内定獲得確率が高まる“営業”を志望職種とすることを推奨する。良いか悪いかはさておき、顧客との距離が近い営業での経験なしに、企画やマーケティングで成果をあげるのは難しいと考える企業は少なくない。
(10) その職種を志望する理由を教えて下さい
この質問を、言い換えると他の職種をファーストキャリアとするのがダメな理由はなぜかという質問となる。正しい企業・職種理解にのっとり、論理的に自身の考えを伝えられるかどうかを確かめている。『企業に入ることが目的』ではなく、『企業に入って役割をはたすことで自身の成長と事業への貢献を果たすこと』まで見据えているかどうかを確かめることもできる。
この質問の答え方
職種を志望する理由として、次の2点を説明する。
- (1) 自身の強みが活かせるポイント
- (2) キャリアプランから逆算した時の妥当性
まず、事業の売上・利益に対する貢献意欲を伝えるために、具体的事実(過去の経験)に基づく、自分にならできる理由を説明する。ただ、それだけだと『向いていると思うからやりたい』という消極的(自らの意志が無い)と捉えられてしまう可能性があるため、『やってみたいと思う理由』(自らの意志)も説明する。
(11) 希望の職種・勤務地に配属されなかった場合どうしますか?
職種・勤務地による早期退職リスクと、モチベーションリスクについて確認する質問である。安定した収入を得られる被雇用という立場と引き換えに、勤務地や職種につては雇用主の指定に従う義務がある。この事実を理解していることを示すと同時に、あくまで前向きに捉えて自己と事業の成長に貢献していく意志を表明する。
この質問の答え方
具体的な答え方としては『自身の希望がかなわないことは残念ですが、自身の就活の軸、働くうえでの軸となる~に立ち返り、目の前の役割・勤務地をやり切ることで成長を遂げたいと思います。そして、ゆくゆくは、自身が希望する勤務地・職種での活躍がふさわしいとご判断頂けるよう精進したいと思います。』といった具合である。
(12) 当社に入社後に挑戦したいことは何ですか?【再掲】
目の前の就活生にチャレンジ精神があるかどうかを確認するとともに、(2)自社がどんなビジョンをもち、どんな事業を行っている企業なのかを理解しているかどうかを問うことが出来る質問である。就活の軸との整合性を意識しつつ、答え方としてはES研究所で紹介している『挑戦したいこと、実現したいことの書き方と答え方』を参照して欲しい。
(13) 5年後、10年後のキャリアビジョンを教えて下さい【再掲】
5年後、10年後といった中長期的な視点をもって物事を考えられているかどうかと、自社で成長していくイメージがもてているかを問う質問である。ハイプレイヤー、グローバル人材、マネージャーなど、企業の経営計画に対して充足すべき人材の与件や人数も変容する。この質問に対しては、そもそも5年後、10年後に大きく分けてどんな選択肢があるのかを知ることで、社会人に対して納得感のある解答に繋げることが出来る。こちらも就活の軸と整合性を意識しつつ、ES研究所で紹介している内容を参考に答えてみて欲しい。
5. OB訪問・説明会に対する質問
(14) OB訪問・説明会には参加しましたか?
OB訪問の実行と説明会への参加を通じて志望度の高さを図る質問である。参加している場合は参加した旨を伝えれば良い。具体的にどの会に参加したかを質問されることもあるので、面接参加前にどの回に参加したかを確認しておくと良い。参加していない場合は、『御社に興味を持った時点では日程的に参加・実行が出来なかったorすでに説明会が終わっていた、満席だった。その代わり、採用HP,IR、過去の新聞・雑誌の記事から企業研究は重ねさせてもらった。』という形で解答すれば良い。
6. 逆質問
(15) 最後に何か質問はありますか?
いわゆる逆質問である。間違っても『特にありません』と解答することは推奨しない。その企業に対する無関心、ひいては志望度の低さを露呈することになるからだ。質問というのは、知りたいことがあるから聞くのである。従って、質問で聞こうとしたことから質問主がどんなことに興味を持っているか知ることが出来る。また、質問の答えやすさ(聞かれた方が何をどう答えれば良いかすぐわかる)から地頭の良さを垣間見ることも出来る。上記を踏まえ、『入社を検討する際に必要となる情報について』の質問を『相手が何にどう答えれば良いか分かりやすく』することが重要である。
志望動機の質問と答え方まとめ
いかがだったろうか。面接で志望動機についてよく聞かれる質問と答え方について解説した。各企業に対して類似した質問をされ、同一の内容を解答する自己PR・ガクチカはどの就活生も話せるようになる。そこで、最も差がつくのが志望動機の品質と、志望動機から派生する質問への受け答えの品質となる。まずは、上記の質問に対して答える内容を精査し、その上できちんと面接において受け答えができるように練習を重ねることが内定獲得においては必要となる。
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